パルミラの神殿、「ISが爆破」

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パルミラの遺跡の中には2000年前のものも。ビンセント・ダウド記者の英語リポート。

シリア当局などによると、過激派組織「イスラム国」(IS)が、シリア中部パルミラの古代都市遺跡の中にあるバールシャミン神殿を爆破した。シリア政府の文化財保護担当者は、神殿は8月23日に爆破されたとしているが、ロンドンを拠点とするシリア人権監視団体は、爆破は1カ月前に起きたことだと説明している。

「IS」は今年5月にパルミラを制圧。以来、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に登録されている古代遺跡をISが破壊するのではないかと懸念されてきた。ISはこれまでにイラクで複数の古代遺跡を破壊している。

シリア文化財保護当局トップ、文化省文化財博物館総局のマムーン・アブドルカリム総裁はAFPに対して、ISが23日に「大量の爆発物をバールシャミン神殿に仕掛け、爆発させ、多大な損害を与えた。神殿内部が破壊され、周りの柱が崩れてしまった」と話した。

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Image caption バールシャミン神殿は紀元1世紀初頭に建てられたとされる。

ロンドンを拠点とする「シリア人権活動団」によると、パルミラから避難した住民たちも、ISが神殿に爆発物を仕掛けたと話しているが、これは約1カ月前のことだと言う。

パルミラはギリシャ・ローマ時代の遺跡が良好な状態で残っていることで有名。

BBCの美術担当ビンセント・ダウド記者によると、2000年近く前に建てられた神殿は主にローマ時代のもので、穀物の豊穣をもたらす嵐や雨のフェニキアの神を祭っていた。「ほとんど無傷で永らえてきた」神殿は「非常に重要は史跡だった」という。

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Image caption パルミラを研究し保護してきた考古学者ハレド・アル・アスアド氏は、パルミラを制圧したISに拘束され、処刑された。

ISは7月、パルミラから盗掘した文化財だというものを兵士たちが破壊している写真を公表。

8月18日には、40年にわたりパルミラの遺跡を保護・研究してきた81歳の考古学者、ハレド・アル・アスアド氏が、ISに首を切られて殺害されたことが明らかになった。

アブドルカリム総裁によるとアスアド氏は、パルミラの宝物を救おうと、ISに問い詰められても場所を教えなかったために処刑されたという。

ISはこのほか、パルミラに近い2つのイスラム教神殿についても「多神教の具現化」だから破壊した証拠と主張する写真を公表している。

地元で「タドムール」と呼ばれる現在のパルミラの町は、シリアの首都ダマスカスと東部の都市デイル・アルズールをつなぐ道路の、戦略的に重要な場所に位置する。

古代都市パルミラはこの現在のパルミラに近い、砂漠の中にあり、ユネスコなどは古代世界の記録をとどめる世界で最も重要な史跡と位置付けている。


2015年にISが破壊した歴史的遺跡や文化財

1月: イラク北部モスルの中東図書館を襲撃し、数千冊の書籍を焼却。

2月: モスルの中央博物館でメソポタミア文明の石像などを破壊したとするビデオが浮上。

3月: イラクでも最も貴重な遺跡のひとつ、古代アッシリアの遺跡ニムルドを爆発物とブルドーザーで破壊。その後まもなく、ハトラの遺跡も破壊。


Image caption 地元が「タドムール」と呼ぶ現代のパルミラの町と古代遺跡パルミラ、刑務所、空港などの位置関係。

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