ネットフリックスが賭けに 提供映画を大幅削減

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Image caption ネットフリックスで観られる人気映画が大幅に減る見通し。ジェニファー・ローレンス主演の「ハンガー・ゲーム」もそのひとつ。

 動画配信大手の米ネットフリックスが、動画提供元Epixとの提携を更新しないと決定したため、数千もの映画タイトルがネットフリックスから消えることになった。中には「ハンガー・ゲーム」や「トランスフォーマー」シリーズなどの人気作も含まれる。

世界中で6000万人が会員登録しているネットフリックスは、独占コンテンツに力を入れていきたいからだと説明している。

Epixが権利を持つ映画ラインアップは、ライバルの動画配信大手Huluが配信することになった。Huluは「もっと新しい大作をもっと見たいという要望が、多くの会員から出ていた。私たちは会員の声を聞き入れた」と説明。「Epixとの新しい提携を通じて、大作巨編や優れた映画を大量に提供できるようにんり、とても誇らしい」と意欲を見せている。

総額10億ドルとも言われたネットフリックスとEpixの配信契約は2015年9月末で終了し、その時点から「ハンガー・ゲーム」など外套の映画はネットフリックスでは観られなくなる。

ネットフリックスのコンテンツ責任者テッド・サランドス氏は今回の決定について、「対象となる映画は確かに人気だが、すでにネットフリックスだけでなく、ケーブルテレビ局やほかの登録プラットフォームで視聴可能で、同じような配信期限の対象となっている」と会員に説明。それよりもネットフリックスでしか観られないコンテンツに力を入れていくとして、例として人気俳優のリッキー・ジャーベイズやイドリス・エルバ、アダム・サンドラーなどによる独自の新作の配信予定があると明らかにした。

サランドス氏によるとさらに、英ロックバンド「ローリング・ストーンズ」のギタリスト、キース・リチャーズについてネットフリックスが独自にドキュメンタリーを製作・配信する予定という。

「データにもとづく決定」

オンデマンドの動画配信サービス業界の競争が激化するなか、ネットフリックスの動きは予想外と見られているが、フォレスターコンサルティングのアナリスト、ジム・ネイル氏は今回の決定は「計算ずくの賭けだ」と評価する。

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Image caption ネットフリックスは、写真のリッキー・ジャーベイズらによる独自コンテンツで、競合各社との競争から抜け出そうとしている。

「ネットフリックスはデータの扱いがとても上手な、頭のいい会社だ」とネイル氏はBBCに述べた。「どれくらいの利用者がどういう動画をどれくらい観ているのか、検討したうえでの決定のはずだ」。

膨大な数の配信作品を抱えるよりも、より品質の高い動画を提供する高級サービスとしてのポジションを獲得しようとしているのだとネイル氏は分析する。

「誰にでも好かれようと言うのではなく、有料コンテンツを観たい利用者を引き付けようとしている。つまりアメリカの全員が会員にならなくてもいいというわけだ」

世界市場でもネットフリックスは同様の競争にさらされている。たとえばイギリスでは、競合相手のSkyテレビが独自のオンデマンドサービスNow TV向けにすでに映画配給各社との関係を確立しているため、ネットフリックスが提供できない映画がたくさんある。

独占権の戦い

今の動画配信サービス各社は、配信契約を結ぶだけでなく、独自コンテンツ製作への投資を重ねている。映画やドラマの製作側では、映画配給会社やテレビ局の意向にばかり縛られずに済む、新しい製作の場ができたと歓迎する意見もある。

配信サービスによる独自コンテンツづくりは、かなりの結果も生み出している。アメリカの優れたテレビ番組に贈られる今年のエミー賞では、ネットフリックス製作の作品が34部門でノミネートされた。配信サービス大手として急進している米アマゾンの独自作品も、12部門でノミネートされた。

業界に参入したばかりの米ヤフーも、ネットワーク局NBCが打ち切ったコメディドラマ「Community」でノミネートを1つ獲得している。

動画配信サービス各社の独自番組は、既存テレビ局と異なる多様で独自色の強い内容を提供する。そのため、ひとつの企業が市場を独占するのは無理だとネイル氏は言う。

「ネットフリックスは、利用者のビデオ消費において自分たちがどういう役割を果たすべきかを考えている。利用者のビデオ消費を自分たちが独占しようとは思っていない。そこが賭けだが、計算ずくだし、ネットフリックスには実績がある」

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