米政府筋「ISは化学兵器を製造・使用している」

A Syrian infant girl is treated after an alleged chemical weapons attack
Image caption シリア軍による塩素ガスと思われる攻撃に遭った幼い女の子

米政府の中では、過激派組織「イスラム国」(IS)がイラクとシリアで初歩的な化学兵器を製造・使用しているという見方が強まっていることが分かった。米政府筋がBBCに明らかにした。

関係筋によると、米政府はISがマスタードガスを使ったと思われる状況を少なくとも4回特定したという。ISは粉末状のマスタードガスを迫撃砲など従来型の爆発物に詰めて使用しているもよう。化学兵器専門のチームがいるとみられる。

「連中はマスタードを使っている。絶対そうだ」と関係筋は話した。

トルコ・シリア国境にいるBBCの取材チームも、米政府見解を裏付ける証拠を目にしている。

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Ian Pannell filed this report from the Turkey-Syria border

<英語ビデオ> トルコ・シリア国境にいるイアン・パネル記者が、シリア内で繰り返される化学兵器と思われる攻撃について報告。ショッキングな映像も含まれています。

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米関係筋によると、ISがマスタードガスを入手した方法について情報関係者は3つの仮説を立てているが、研究開発チームを設置して自ら製造している可能性が最も高い。

そのほかは、イラクやシリアの化学兵器の備蓄を見つけた可能性も考えられるが、イラクの備蓄は先にイラク戦争中に米軍が発見した確率の方が高いため、あまり考えにくいと米政府筋は言う。

また2013年に米軍空爆を迫られたシリア政府が化学兵器の備蓄を明け渡す前に、ISがそれを手に入れたとも考えにくい。加えて、マスタードガスは製造が難しい物質ではないため、世間に流布している情報をもとにISが独自に作ったと考える方が可能性として高いという見方だ。

米政府の公式見解は今でも、イラクやシリアでの化学兵器の使用を調査しているという立場だが、米政府筋はBBCに対して、多くの情報機関は使用されていると結論するだけの証拠は十分集まったという見解だという。

政府筋はこの内容について外部に情報提供する権限を持たないために、匿名を希望している。

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Image caption マスタードガスは皮膚や粘膜を傷つけるため、扱う際には防護服が必要

トルコ・シリア国境にいるBBCのイアン・パネル記者は、今年3月にシリア・マーニンの町の住民にマスタードガスが使われたらしいという証拠を得ている。

しかしシリアは2013年10月から翌6月にかけて、国連仲介の合意にもとづき、化学兵器禁止機関(OPCW)に毒性物質やその原料計11810トンを明け渡しているため、本来ならばシリア国内に化学兵器は存在していないはずだ。

パネル特派員によると、2011年初頭の反政府運動をきっかけにシリアが内戦状態に陥って以来、死者は20万人以上だが、化学兵器で死亡した人数の割合はきわめて少ないと考えられている。

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Image caption 「イスラム国」は昨年、イラクとシリア両政府の意表を突くようにして広範囲の地域を制圧した。写真はシリア・ラッカ市内を行進するIS兵士ら

国連は8月にシリア国内で化学兵器の使用に関わる個人や組織や政府を特定しようと調査を開始。米軍は同月、イラク国内の戦闘で見つかるISの迫撃砲から化学兵器の残留物が検出されたと報告している。

キリア米准将は8月末、ISがイラク北部でクルド勢力を攻撃する際に使った迫撃砲に硫黄マスタードの残留物が見つかったと報告したが、最終確認には追加検査が必要だと慎重な姿勢を示していた。硫黄マスタードが化学戦以外に使われることはほとんどないという。