巡礼者の大量圧死 サウジ国王が安全対策見直しを指示

事故の後も何十万という巡礼者がミナに集まった(24日) Image copyright SPA
Image caption 事故の後も何十万という巡礼者がミナに集まった(24日)

サウジアラビアのメッカ近郊で24日、多数の巡礼者が折り重なって倒れ、少なくとも717人が死亡、863人が負傷した事故を受け、同国のサルマン国王は安全対策の見直しを指示した。

過去25年間で最も大きな犠牲者を出した事故が起きたのは「大巡礼(ハッジ)」の最後の主要な儀式を行う谷ミナで、200万人の巡礼者が参加していた。

サルマン国王は、「組織的な対応の水準や人の誘導を向上させる」ことが必要だと述べた。

【写真で見る】事故後の様子(BBC英語ニュース)

事故を受けた動き

・サウジ政府は事故の調査委員会を発足

・サウジのファリフ保健相は巡礼者が当局の設定した「時刻表を守らず」に移動したことが事故の原因だと語った

・少なくとも95人が犠牲となったイランの最高指導者ハメネイ師は、サウジ政府が「大きな責任を負うべき」とし、「管理ミスと不適切な対応」が問題だったと述べた

・訪米中のフランシスコ法王はニューヨークの聖パトリック教会で行った祈祷会で、イスラム教徒に「心を寄せる思い」を述べた

メッカでは今月、建設用クレーンがモスクを直撃し109人が死亡する事故が起きている。

「大巡礼」では、メッカから約5キロ離れた谷ミナで、悪魔を象徴する「ジャマラート」と呼ばれる柱に巡礼者が石を投げる。言い伝えでは、ジャマラートの立つ場所は、悪魔が預言者アブラハムを誘惑した場所とされる。

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Footage from Saudi TV shows ambulances and people with stretchers tending to injured pilgrims

<ビデオ>負傷者を救助する様子をサウジの現地テレビ局が撮影(音声解説はありません)

事故は、現地時間の午前9時にジャマラートを囲む5階建ての建造物に向かって巡礼者が進むなかで起きた。

サウジ内務省のスポークスマン、マンスール・アルトルキ少将によると、異なる方向から集まった巡礼者の大きな流れが一つの道に合流する地点で起きたという。

現場を撮影した写真には、犠牲者数十人が地面に横たわり、一部は積み上げられた状態になっているのが写っている。大巡礼の参加者がまとう素朴な白い布を着用しているのが分かる。

Image caption 事故が起きたミナとメッカの位置関係(下はミナの拡大図)

エジプトから訪れていたアブドラ・ロトフィさんはAP通信の取材に対し、「誰かが足をとられて車椅子の人物に倒れ掛かり、何人かが続いて倒れた」と語った。「ただ息をするため人々はお互いに乗りかかっていた」という。

BBCアブジャの編集者バシャール・サード・アブドラヒは、現地で「見渡す限り死体が横たわっていた」と話す。BBCが得た情報によると、少なくとも3人のインドネシア人のほか、ナイジェリア人が死亡者に含まれるという。

大巡礼では過去にも大きな犠牲を出した事故が起きている

2006年 ジャマラート橋のたもとで364人が押し倒され死亡している

1997年 風にあおられ広がった火災がミナに立てられたテント群を焼き、340人が死亡

1994年 石を投げる儀式中に人々が押し倒され270人が死亡

1990年 聖地に向かうトンネルで人々が折り重なって倒れ、主にアジアからの巡礼者1426人が死亡

1987年 反米デモを行っていたイランからの巡礼者と警察当局が衝突し402人が死亡

サウジ当局は、事故を防ぐため交通機関などインフラ整備に数十億ドルを投資している。

大巡礼(ハッジ)はイスラム教5行の一つで、健康なイスラム教徒は、金銭的に許される限り人生で1度行わなければならないとされる。

サウジ中央統計情報局によると、ハッジの巡礼者は1921年には5万7000人だったが、2012年には過去最高の320万人まで増加した。

Image copyright AFP/Getty Images
Image caption 犠牲者が横たわる事故現場(24日)
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Image caption 巡礼者は悪魔を象徴する柱に向かって石を投げる