プーチン氏、ISと戦うための協調求める

シリア北西部イドリブ県のヘシュ村で、攻撃跡から生存者を探す民間防衛隊 Image copyright Reuters
Image caption 国際社会が対策を協議し続けるなか、シリア内戦は続く。写真は北西部イドリブ県のヘシュ村で、攻撃跡から生存者を探す民間防衛隊

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、過激派組織「イスラム国」(IS)と戦うため地域レベルでの「協調の機構」の設置を呼び掛けた。米CBSテレビのインタビューで述べた。

プーチン大統領はさらにインタビューで、シリアのアサド大統領を支援する姿勢をあらためて強調。シリア内戦の現場にいる唯一の「正当な正規軍」はシリア政府軍で、テロ組織と戦っているシリア軍と共に「テロ組織に対して共同で行動するための条件が整えばうれしい」と述べた。

これに対してケリー米国務長官は、シリアと共同行動をとれるような協調関係はまだ整備されておらず、アメリカは「どう前進するのか懸念している」とくぎを刺している。

国連総会のために各国首脳がニューヨークに集結するなか、プーチン氏は28日にもオバマ米大統領と会談し、シリア問題を協議する見通し。

ロシアのアサド政権支持とは裏腹に、欧米各国やシリア反政府勢力はアサド大統領の辞任を求めている。しかしキャメロン英首相は国連総会演説で、アサド政権への強硬姿勢をやわらげ、権力移譲期間中の暫定政権のトップとしてアサド氏の留任を認める方針を表明する見通しだ。

キャメロン首相はこれまでオバマ氏やオランド仏大統領と共に、シリアをめぐるいかなる和平合意もアサド氏の退陣が前提条件となると強硬に主張してきた。対してプーチン氏はこの強硬姿勢に一貫して反対している。

シリアにとって中東地域における重要な友好国イランのロウハニ大統領は、シリア政府が弱体化してはISを破れないとニューヨークで述べた。

一方で欧州各国は、シリア難民の大量流入という事態を前に、外交によるシリア内戦の事態妥結を声高に求めている。

ロシアがシリアに対する軍事支援を強化するなかで、シリア内戦の外交的解決は急務となっている。

イラクは27日、ISと戦うためロシア、イラン、シリアと情報共有を進める合意に調印したと発表した。

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Image caption 武器や旗を掲げシリア・ラッカからイラクへ向かう道路を走る「イスラム国」兵の車列。日付不明。
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Image caption ケリー米国務長官(左)とラブロフ露外相

<解説> BBC中東編集長ジェレミー・ボウエン

国連総会のためにニューヨークに集まる各国首脳にとって、シリアが喫緊の課題だ。理由は2つあり、ひとつは「イスラム国」の脅威。もうひとつは、難民危機。シリア内戦の余波が西欧にまで届いているのだ。

軍事面での今の最優先課題は、IS打倒だ。

イギリスは、アサド大統領に対して新たに融和姿勢をとることで、シリアをめぐり紛糾するばかりで、外交的な解決手段を何も見いだせずにいる国連安保理の膠着状態を打破しようとしている。

もし安保理内の分裂が修復できないなら、シリア内戦終結に新たな外交イニシアチブを求めるキャメロン氏の呼びかけは、何の変化ももたらさないだろう。


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出口見えぬ応酬 シリア内線の現場から

フランスは27日、シリア領内のIS拠点に対する初の空爆を実施し、訓練キャンプを破壊したと明らかにした。

アメリカ主導の連合国は1年以上前からシリアとイラク国内のIS拠点を空爆し続けている。フランスはイギリス同様、これまでISへの空爆はイラク領内に限定していた。

イギリス政府はシリア領内のイギリス人IS兵2人を無人機で空爆し殺害したと今年初めに公表したが、シリア領内での有人空爆作戦は展開していない。

Image caption イラクやシリアに対して2015年9月15日までに実施が確認された空爆作戦

2011年にシリア内戦が始まって以来、20万人以上のシリア人が死亡。アサド大統領率いる政府軍は反政府勢力の掌握地域に無差別爆撃を展開し、自国民を大量殺害していると非難されている。2014年にはイスラム国がシリア領内のかなりの部分を制圧した。

こうした事態を受けてこれまでに推定400万人のシリア人が国外に避難。大半はトルコ、レバノン、ヨルダンなどの近隣にいったん逃れ、そのうち大勢が欧州を目指して移動している。

Image caption 近隣諸国や欧州に逃れ、難民登録したり亡命希望を申請したシリア人の人数。国連難民高等弁務官事務所資料より。

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