ロシア、カスピ海からシリアのISをミサイル攻撃

ロシア政府は7日、シリア国内の過激派勢力「イスラム国」(IS)拠点に対してカスピ海からミサイル攻撃を展開し、約1500キロ離れた11カ所の標的を破壊したと発表した。ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相によると、カスピ海に展開している巡洋艦4隻から計26発のミサイルを発射。民間人の被害はないという。

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The Russian defence ministry released video it said shows missiles being launched

<ビデオ>ロシア国防省は、ミサイル発射の映像というビデオを公表

一方でシリア当局は、ロシア空軍の援護を受けて、地上軍がIS拠点を攻撃したと説明。

ロシアがシリア領内への空爆を9月30日に開始して以来、ロシアとシリア両軍による連携攻撃は初めてとみられる。

ロシアは、シリアでの攻撃のほとんどがIS以外の標的に対するものだというアメリカなどの批判を否定し、「あらゆるテロリスト」を攻撃していると主張している。

Image caption カスピ海からミサイル攻撃したシリア領内の位置(ロシア国防省、米シンクタンク「戦争研究所」(ISW)資料より)

ロシア、カスピ海からシリアのISをミサイル攻撃


新しい展開――ジョナサン・マーカスBBC防衛問題担当編集委員

カスピ海の艦船から巡航ミサイルでシリア領内のIS拠点を攻撃――。シリア内戦に対するロシア政府の関与が拡大するなかで、ロシアのこの決断は新しい展開を意味する。

空爆ではなくなぜ洋上からの巡航ミサイル発射を選んだのかは不明だが、シリアに到達するにはイランとイラン上空を経てかなりの距離を飛行する必要があった。

洋上からの巡航ミサイルはこれまでアメリカが海外介入の際に好んで使ってきた手段だ。それだけにロシアの今回の動きは、自分たちにもほかの「超大国」と同じくらい、攻撃手段のあらゆる選択肢を備えているのだと世界に披露する意図も含まれていたかもしれない。

しかし洋上からのミサイル発射という攻撃手段の追加によって、シリア上空からの爆撃作戦はさらに複雑化する。なによりシリア政府軍の反攻が、同盟各国の支援を伴い、こうしたロシアの空中戦と連携できるかもしれないと示したのが、今回の動きでは重要なのかもしれない。


Image caption シリア国内でロシア(赤)と米国(青)がそれぞれ空爆した地域(ISWと米軍の情報から)

ロシアのカスピ海艦隊とは

カスピ海艦隊は、黒海艦隊と共にロシアの南部軍管区に所属し、アストラハンが母港。ロシア国防省によると、艦隊は複数の船団や、水上艦や沿岸部隊の師団からなる。

ロシア海軍は2011年、カスピ海艦隊に新造の軍艦とミサイル艦16隻を2020年までに装備すると発表。2011年中にもミサイル艦2隻が到着している。

2014年にはカスピ海沿岸諸国が域外の軍隊による展開を禁止することで合意し、NATO軍が同地域に駐留することができなくなった。

カスピ海は世界で最も大きな塩湖。ただし、周辺国ではカスピ海が海なのか湖なのかで意見が分かれている。これには、海か湖かで領海の範囲や資源開発の権利の取り決めが変わることが背景にある。

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