イランのアメリカ大使館人質事件で外交官助けたカナダ大使、死去

Ken Taylor, former Canadian ambassador to Iran (24 January 2013) Image copyright AP
Image caption カナダのケン・テイラー元駐イラン大使(写真は2013年1月撮影)

イランで1979年に起きたアメリカ大使館人質事件でアメリカ人外交官6人の脱出を助けたカナダのケン・テイラー元大使が15日、ニューヨークの病院で亡くなった。81歳だった。家族が明らかにした。

アメリカ大使館人質事件は1979年11月4日、革命政府を支持する学生たちがテヘランの大使館を占拠したことで発生。アメリカ人52人が人質になった。

そのうち外交官6人が翌1月にテヘラン市外に脱出し、カナダ大使公邸にかくまわれた。テイラー大使はこの6人にカナダ旅券やイランの偽造査証を提供して出国を助けた。米中央情報局(CIA)が6人をハリウッド映画関係者に偽装させて出国させた顛末は、アカデミー賞受賞の2012年映画「アルゴ」にもなった。

一方でアメリカ大使館に残った人質の多くは444日間も拘束されたままで、カーター政権は1980年4月に軍事的な奪還作戦を試みるも失敗。この失敗が同年の大統領選で共和党のレーガン氏に敗れた一因とされる。

カナダのハーパー首相は15日、テイラー氏の功績を称え、「アメリカの外交官たちを助けるため、勇敢に自分の命を危険にさらした」、「ケン・テイラーはカナダ外交のもっとも優れた部分の象徴だ」と高く評価した。

テイラー氏は、人質脱出を助けた功績で1980年に米連邦議会に表彰されている。また映画「アルゴ」については、カナダ政府の貢献を過小評価していると批判していた。

テイラー氏は1984年に外務省を退職し、実業界に身を転じた。

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Image caption イラン大使だった1980年当時のケン・テイラー氏
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Image caption テヘランのアメリカ大使館の壁を乗り越えるイラン人たち(1979年11月4日)