イラン、シリア協議に参加へ

Iranian Foreign Minister Mohammad Javad Zarif (file image) Image copyright AP
Image caption イランのザリフ外相

イラン政府は28日、シリア問題をめぐり週後半からウィーンで始まる多国間協議に参加すると明らかにした。ザリフ外相が出席すると、政府報道官が発表した。シリアのアサド政権を支援するイランが、シリア問題を協議する場で米国と同席するのは初めて。多国間協議にはロシア、サウジアラビア、トルコの代表も出席する。

米政府はこれに先立ち、イランを招待したと発表。欧米が支援するシリアの反政府勢力はこの有効性を疑問視していた。

イラン外務省のアフハム報道官は「招待を受け、外相が出席できると判断した」と述べた。

エジプトとイランの両政府も、多国間協議に招へいされたと確認した。

BBCのジェイムズ・ロビンス外交編集委員は、米国はイランの参加を歓迎してはいないが、その関与を受け入れる姿勢だと指摘する。

イランのファルス通信は、ザリフ外相が27日にロシアのラブロフ外相と電話で、ウィーンでの協議参加について話し合ったと伝えている。

ロシア政府のペスコフ報道官は、ロシアはシリアについての「対話拡大」を望んでいると話した。

一方でシリアの反政府勢力は、イランの参加で協議は複雑になるだけだと警告している。

イランは過去4年間でアサド政権支援に数十億ドルをつぎこみ、軍事顧問を派遣し、武器を提供し、資金や石油の確保も支えてきた。レバノンのヒズボラが親アサド派勢力応援のためにシリアに派兵したのも、イランの影響があったからとみられている。

イランは、シリアに軍事顧問を派遣していることはかねてから認めているが、地上部隊の派兵については否定してきた。しかし今月初めには、イラン兵数百人がシリアに入ったとの未確認情報もあり、レバノンからシリアに派遣されているヒズボラ兵と合同で北部や中部の反政府勢力拠点を攻撃しているという指摘もある。

一方で9月末に軍事介入を開始したロシア政府は、新しい情報に基づき24時間の間にシリア領内で「テロリスト」の標的118カ所を空爆したと明らかにした。24時間以内の攻撃対象として過去最多という。

ロシアとイランは一貫して、シリアでの権力移譲にはアサド大統領の関与が不可欠で、新しい政府はシリア国民が選ばなくてはならないと主張している。

これに対して米国は、短い権力移行期間を過ぎたらアサド氏は退任するべきで、それ以外は受け入れないと主張してきた。


<分析>カスラ・ナジ記者、BBCペルシャ語

イランをウィーンでの協議に招待したほか、米国は一時的にでもアサド氏の留任を認める権力移行を容認すると述べた。これによってもしかすると、シリアに関する国際的合意形成の障害物が取り除かれたのかもしれない。

これまでイランはシリアについて4カ条の行動計画を強く主張してきた。4カ条とは停戦とそれに続く国民統一政府の形成、憲法改正、そして最終的に自由な選挙の実施だ。この計画が今後の協議のベースとなり得る可能性が出てきた。

しかし米国の方針の変化よりも意外だったのは、イランの協議参加をサウジアラビアが受け入れたことかもしれない。

イランとサウジアラビアのライバル関係こそ、中東で対立が深まりつつある根本原因と多くの人はみている。

ウィーンでの協議はもしかすると、シリアの破壊と流血に満ちた悲惨な戦争を終わらせるのに加えて、イランとサウジアラビアの対立を緩和する方法を見出す場になるのかもしれない。


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Image caption シリア・ダマスカス郊外のホバルで破壊された建物(27日)
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Image caption シリアでの戦闘で死亡したヒズボラ兵の葬儀(27日、レバノン南部)

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シリア内戦

なぜシリアで戦っているのか

4年前に反政府運動として始まったものが内戦に発展し、膠着している。アサド政権、IS、さまざまなシリア国内の反政府勢力、クルド人武装組織がいずれもそれぞれに勢力圏を確保している。

誰が誰と戦っているのか

首都ダマスカスおよび国の西部を拠点とする政府軍は、ISやヌスラ戦線といった過激派勢力と戦っている。また、北部や東部に強固な足場をもついわゆる「穏健派」反政府勢力とも戦っている。さらに、政府軍以外の各勢力はそれぞれ互いに敵対している。

人的被害は?

シリア人25万人が殺害され、100万人が負傷している。1100万人以上が住む場所を追われ、そのうち400万人が外国へ避難。危険を冒してでも欧州を目指す人の数が増えている。

世界の反応は?

イラン、ロシア、レバノンのヒズボラはイスラム教アラウィ派が率いるアサド政権を支援する。一方でトルコ、サウジアラビア、カタール、および米英仏は、より穏健なスンニ派が多数を反政府勢力を支持。ヒズボラとイランは地上部隊や将校を派遣しているとされる。アメリカなど欧米主導の連合国とロシアが空爆を実施している。

(英語記事 Syria conflict: Iran to attend talks in Vienna


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