【パリ連続襲撃】サッカー試合でイングランドとフランスが追悼と連帯 

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Fans united to sing La Marseillaise before the match at Wembley

<ビデオ>競技場でフランス国歌が斉唱される様子

英ウェンブリー・スタジアムで17日夜、サッカーのイングランド代表とフランス代表の親善試合が行われ、7万人の観客が仏国歌「ラ・マルセイエーズ」を斉唱するなど、会場が一体となってパリ連続襲撃事件の犠牲者129人を追悼し、連帯を表明した。

イングランド対フランスの親善試合は、英王室のウィリアム王子やキャメロン英首相も観戦した。

13日の連続襲撃では、仏独の親善試合が行われていた競技場も標的にされた。しかし仏代表は以前から予定されていたイングランド戦に出場すると決定。厳重な警戒下の試合はイングランドが2-0で勝った。

キックオフ前には、FA総裁のウィリアム王子とホジソン英代表監督、デシャン仏代表監督が犠牲者追悼のため、フランス国旗のトリコロール(三色)の花をピッチのサイドラインに供えた

イングランドのサッカー協会(FA)は試合前からイングランドのサポーターに、フランスとの連帯を示すため「ラ・マルセイエーズ」の歌詞を覚えるよう呼びかけていた。ウエンブリー・スタジアムのアーチは試合当日、仏国旗のトリコロールにライトアップされた。

国歌演奏が終わると拍手がわき上がり、誰もが1分間の黙祷に参加した。スタンドの一部では色のプラカードを使ったトリコロールのモザイクが出現した。

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Image caption フランスのバルス首相のツイート

バルス仏首相はこうツイートした。「ウエンブリーでラ・マルセイエーズ。2つの国民が連帯した。とても感動的だ。自由。平等。博愛」。

試合は、トッテナムのデレ・アリとマンチェスター・ユナイテッドのウェイン・ルーニーのゴールでイングランドが勝利した。

試合終了間際にはフランスのサポーターたちが今一度、「ラ・マルセイエーズ」を歌い上げ、イングランドのサポーターたちが大拍手でこれに応えた。

パリ連続襲撃の首謀者として、ベルギー市民が特定されており、ブリュッセルで17日に予定されていたベルギー代表とスペイン代表の親善試合は、警備上の懸念から中止になった。

独ハノーバーで同日予定されていた、ドイツ代表とオランダ代表の親善試合は、開始の約1時間前に急きょ中止された。警察によると「具体的な脅迫」と「爆破計画」が発覚したためで、スタジアムにすでに入場していた観客は退避させられた。

仏治安当局は、13日の攻撃に9人目の実行犯がいた可能性が監視カメラ映像から浮上したと明らかにした。

連続襲撃については、過激派勢力「イスラム国」(IS)が犯行声明を出している。

ウエンブリーでの親善試合については、FA側が中止を申し入れたものの、仏サッカー連盟のノエル・ル・グラエ会長はこれを断り実施が決まった。FAのグレン最高経営責任者は「とてつもない世界的影響」をもつ試合になると話していた。

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Image caption 試合開始前、イギリスのウィリアム王子(写真中央)やキャメロン首相(同左)など出席者が犠牲者を悼んだ

ウエンブリーで――リチャード・コンウェイ、BBCラジオ5ライブスポーツ編集委員

ウエンブリーのファンがひとつになって立ち上がり「ラ・マルセイエーズ」を歌った。それは背筋がそくぞくする瞬間だった。

フランス代表の中には、涙をこらえるのに苦労している様子の選手たちもいた。

あまりにひどい惨劇と悲しみの後、会場の誰もが参加した黙祷は実に感動的で、美しいものだった。サッカー界が過去を振り返り、思い出を刻み、そしてテロリズムに敢然と立ち向かったのだ。

武装警官を含め警備体制が強化されたウエンブリーでは、FA総裁のウィリアム王子のほか、ロンドンのジョンソン市長も観戦した。

試合後に英代表のホジソン監督は「とても感動的だった。期待した通りのものになった」と話した。

デシャン仏代表は「真心からの特別で感動的で壮大な時」を過ごせたことに「とても感謝している」と述べ、「みんな一緒に悲しみ追悼する時間を共有できた。とても良い体験だった」と付け加えた。

「スポーツとしての意味や側面がある一方で、人間としてさらに大きな意味をもつ試合だった。意欲や意志もあったが、おしなべて考えるなら、今夜は人間としての側面の方がもしかすると大事だったかもしれない」

イングランドのルーニー主将は「どうしたって、誰にとっても辛い夜になるのは目に見えていた。特にフランスの選手やスタッフにとって。この機会に参加するのは、僕たちにとっては辛いことだった。若手の選手は興奮していたけれども、辛い試合だった。両チームともよく対応したと思う。ファンは最高だった」と話した。

「サッカーは世界的なスポーツで、ディディエ・デシャン監督が昨日話したように、宗教や人種は関係ない。今みたいに大変な時には、みんなで背筋を伸ばして一緒に並んで立たなくてはならない」

仏代表とトットナムのGKウーゴ・ロリスは「まず第一に、スタジアムにいたイングランドの人たち全員に、敬意を示してくれてありがとうと感謝したい。我々のプレーは今ひとつで、積極性や集中に欠けていた。それより連帯が今日の目的だった。日々の暮らしは続いているので、僕たちはいつものようにがんばらなくては」と述べた。

襲撃でいとこを失ったマルセイユのMFラッサナ・ディアラが交代で出場すると、会場はスタンディング・オベーションで歓迎した。

ディアラ選手と一緒にアトレティコ・マドリードのFWアントワーヌ・グリーズマンも出場。グリーズマン選手の姉妹は、89人が犠牲になったバタクラン・コンサート・ホールにいて脱出したひとりだ。

ウエンブリーで――BBCニュース フィンロ・ローラー

ホーム側のイングランド・ファンは色のプラカードを掲げて、三色旗を作った。ほとんどの人がラ・マルセイエーズの合唱に参加した。歌詞がうまく言えなくても、大きな声で歌い上げた。

両国国歌の前後には、ISISを罵倒するシュプレヒコールが散発的に相次いだ。

「自分の暮らしを続けないと」

多くのサポーターが早い時間からウエンブリーに到着し、競技場外でフランスと英国の両方の国旗を振っていた。

13日当日にスタッド・ド・フランスにいたというフランスのサポーターはBBCニュースに対して、「今はみんな外出を少し怖がっているけれども、自分の暮らしを続けないと。ショックを受けている人も大勢いる」と話した。

「本当は仲間9人で今日く売るはずだったのが、4人はくるのを止めた。妻や家族が、家にいるよう説得したんだ」

イングランドのサポーターは「何も変えないほうがいい。ここに来るのはサッカーのため。そうあるべきだ。だからここにいるんだし、フランスの人たちとの連帯をちょっと示すという意味もある」と話した。

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Image caption 献花するウィリアム王子たち
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Image caption 観客がフランス国旗を模し、大画面にはフランス国歌が
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Image caption 試合開始前の黙とう
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Image caption 感情を抑えられず国旗で目をぬぐうファンも
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Image caption 平和を求めるスローガンを掲げたファン
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Image caption 警備が強化されたウェンブリー・スタジアム
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Image caption ウェンブリーには試合開始よりかなり前からファンが集まっていた

「連帯して立つ」とソーシャルメディア

英国発のツイートでは午後5時半ごろから、ハッシュタグ「#engvfra」がトレンド入り。試合の話題は欧州、北米、アフリカ、アジアからもツイートされていた。

ダニエル・ウッドリーさん「ウエンブリーの様子を見て私でさえ涙ぐんでしまった。こういう時にサッカーが人をひとつにするのはすごい」

サム・ジェンキンスさん「サッカーは分断の原因になることが多いのに、今夜は違う。ウエンブリーでラ・マルセイエーズが響き渡るのを見て聞くのは、かなりすごいこと」

マークさん「今夜のウエンブリーのサッカーこそ、これぞスポーツだ。暗い時代に喜びをもたらしてくれる。国同士を結びつける。テロに負けてしまうのかと思うなら、今日の試合の追加チケットを買った1万人を見ればいい。それこそが応えだ」

ポール・トンプソンさん「イングランド人で誇らしい。ひどく辛い思いをしているはずのフランスの人たちを応援する。スポーツは本当に、大勢の人をひとつにするんだ」

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Image caption The England and France football accounts tweeted similar messages, with graphics in each other's language

「連帯して立つ。FAとイングランドとイングランドの人たちと、そして皆さん、ありがとう」——。イングランドとフランス両チームの公式アカウントはそれぞれ互いの言葉でツイートした。

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Image caption Former England captain and Match of the Day host Gary Lineker was impressed by the pre-match presentations

イングランド元主将のゲリー・リネカー氏は「サッカー、良くやった!」とツイート。

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Image caption Manchester City's France midfielder Samir Nasri also tweeted: "Not talking football, let's appreciate the respect the English have shown".

仏出身のマンチェスター・シティーMFサミール・ナスリも「イングランド大好きだ」とツイート。さらに「サッカーの話はやめて、イングランドが敬意を示してくれたのをありがたく受け取ろう」と。

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Image caption The French Government's official Twitter account showed its appreciation

仏政府の公式アカウントも、感謝の気持ちをツイートした。

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Image caption Real Madrid and Wales footballer Gareth Bale was impressed

レアル・マドリードとウェールズ代表のギャレス・ベイルも「ウエンブリーの全員をすごく尊敬する」とツイートした。

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Image caption British Prime Minister David Cameron was at Wembley

またキャメロン英首相は「今夜ウエンブリーでは数千人のサッカーファンがフランスとの連帯を示すためにラ・マルセイエーズを歌った。その場にいられたのを誇りに思う」とツイート。

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Image caption So too was Labour leader Jeremy Corbyn

コービン英労働党党首もウエンブリーで観戦し、「ディアラの交代出場は感動的だった。点数は関係ない。大勢がピッチ内外で示した連帯こそ、今日の成果だ」とツイートした。

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