「トランプ氏を英国入国禁止に」署名に36万人超 英議会検討へ 

ドナルド・トランプ氏 Image copyright Getty Images
Image caption ドナルド・トランプ氏

来年の米大統領選に共和党から出馬している実業家ドナルド・トランプ氏について、英国入国禁止にするよう英議会に求めるオンライン請願に英国時間9日深夜の時点で36万人以上が署名したため、下院は審議するかどうか検討することになった。

トランプ氏が7日夜にイスラム教徒の米国入国禁止を呼びかけたことを受けて、英スコットランドの女性による請願が8日に英議会のオンライン請願サイトで受け付けが始まり、9日深夜までに36万人以上が署名した。10万人以上の署名が集まったら議会は、請願を審議するか検討しなくてはならない決まり。

発言を内外で広く非難されているトランプ氏は9日、決して2016年大統領選から撤退しないとあらためて強調した。

トランプ氏の発言に対する反応にはほかに次のようなものがある――。

  • スコットランド自治政府のニコラ・スタージョン首相は、トランプ氏に与えていたスコットランド・ビジネス大使の肩書を剥奪。
  • スコットランド・アバディーンのロバート・ゴードン大学は、起業家・実業家としての功績を称えて2010年に授与したトランプ氏の名誉学位を撤回。
  • 中東の小売大手「ライフスタイル」は、トランプ氏の家庭製品メーカー「トランプ・ホーム」による製品の販売を中止。

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ドナルド・トランプ氏が信じる22のこと

トランプ氏の英国入国禁止は可能か?

メイ内相は、特定個人の滞在が「公共の福祉のためにならない、もしくはその者の排除が公共政策上の事由から正当化される」と判断した場合は、その人の入国を排除することができる。

オズボーン財務相は下院に対し、トランプ氏の発言は米国建国の理念に真っ向から背くもので、「歓迎できない」と述べた。

英首相官邸は、トランプ氏に訪英予定があるとは知らされていないため、入国禁止するしないは「仮定の」議論だと指摘した。首相報道官はキャメロン首相の意見は「ドナルド・トランプとまったく異なる」と言明している。

英議会サイトに提出された請願は「ドナルド・J・トランプの英国入国を阻止せよ」と題され、「英国はヘイトスピーチを理由に多くの個人の入国を禁止してきた。この原理は、英国入国を希望する全員に適用されるべきだ。もし連合王国が今後も、入国希望者の審査にあたって『受け入れがたい行動』を基準として適用するならば、それは裕福な者にも貧しい者にも、弱い者にも力のある者にも、公平に適用されなくてはならない」と請願理由を説明している。

米国では国防総省が、トランプ氏の発言はむしろ過激派勢力「イスラム国」(IS)を後押しするもので米安全保障を損なうと批判している。

8日にはジョン・ケリー米国務長官が、トランプ氏の発言はISとの戦いにおいて「非建設的だ」と批判した。


議会請願の仕組み

2011年に連立政権は新しいオンライン請願サイトを開設。10万人の署名が得られれば、議会審議の可能性があるという仕組みを作った。

既定の数の署名を獲得した請願はほとんど必ず、議会で審議される。しかしすでに審議済みの内容だったり、同内容の審議が近い将来すでに予定されている場合は、請願そのものは審議しないと政府が判断する場合もある。1万人以上の署名を得た請願については、政府がなんらかの回答をする決まり。

請願はまず英下院の請願委員会(与野党の下院議員11人で構成)が取り扱う。英国政府や英議会が管轄しない問題や、意味をなさない問題などは、請願を却下される。

これまでに提出された請願の内容は、議員の薬物検査義務化、1989年ヒルズボロ・スタジアム事故に関する政府文書の全公開、牛乳最低価格など。

議会審議は問題を議員たちに周知するという意味では効果的だが、直ちに法改正を意味するわけではない。2015年には14請願が議会で審議されたが、具体的な法改正につながったものはない。


発言を非難されたトランプ氏は、ロンドンの一部は「過激思想があまりに蔓延していて、警察も身の危険を感じる地域がある」と発言。

ロンドン北部のハムステッドとキルバーン地区選出のチューリップ・シディック労働党議員はこれを受けて、トランプ氏の英国入国禁止を支持した。

さらにロンドン市長のボリス・ジョンソン氏はこれについて「ドナルド・トランプの事実誤認にもとづく発言はまったくばかげている」、「私がニューヨークの一部地区に行かないのは、ドナルド・トランプに出くわす本当の危険があるからだ」と一蹴。

ジョンソン市長は「300言語が飛び交う都市として、ロンドンは寛容と多様性の歴史を誇る。そのロンドンに、過激思想のせいで警察が入れない地区があると言うなど、ただひたすらばかばかしい」と、トランプ氏を強く批判した。

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