独首相、シリア難民対策で関係国と協議へ

EU首脳らはトルコにいる移民を直接各国が受け入れる提案を議論する Image copyright AP
Image caption EU首脳らはトルコにいる移民を直接各国が受け入れる提案を議論する

17日に開かれる欧州連合(EU)の首脳会議を前に、ドイツのメルケル首相はトルコなど関係国とシリア難民の新たな対応策で協議する見通しだ。

関係国はトルコにある難民キャンプから直接、欧州各国に移住させる案を協議する。新たな対応策はメルケル首相が推進しているが、EU各国からの抵抗が予想される。

17日の首脳会議では移民問題が中心議題になる予定だが、これをめぐっては各国間で意見が対立している。

欧州には今年、過去最高水準の数の移民希望者が到着しており、一部の国では国境フェンスの設置や国境検査の導入など、国境間の自由な往来をうたう「シェンゲン協定」に反する措置が取られた。

今回の案によって、EU加盟国のギリシャに到達しようと危険な旅をする人々を止める効果が期待されているほか、欧州各国にとっても、自由な意思で移民受け入れを決めるため、強制力のあるクオータ制よりも承認しやすいとみられる。

欧州とトルコの首脳らは先月、欧州のトルコに対する資金援助と政治的な妥協と引き換えに、トルコが移民をトルコ領内に留めることで合意している。


首脳会議で予定される議題

  • 移民 移民危機への対応策の実施状況の確認
  • テロ パリ連続襲撃事件を受けた国境管理や過激思想への対応、情報共有方法、対テロ対策について
  • 英国のEU残留を問う国民投票 キャメロン英首相は国民投票を前にEU改革案を提案ずみ
  • 単一市場 EUの単一市場をさらに深化させる取り組み
  • 経済統合と統一通貨 ギリシャがユーロ離脱の危機に瀕した1年を受けたEU首脳からの提案を協議

EU首脳会議では、EU委員会が提案する「欧州国境沿岸警備隊」など域外との国境の管理強化策を協議する。

テロ対策も会議の主な議題となる見通し。パリの連続襲撃事件では、少なくとも2人の襲撃犯が移民が通る経路を使ってフランスに入国していることが明らかになっている。

多くの移民たち自身も、シリアやイラク、アフガニスタンで続く戦闘を逃れてきている。

EU大統領のドナルド・トゥスク大統領は、移民問題とテロ対策を別々の問題として扱うべきとしており、「域外との国境の警備は戦争や迫害を逃れてきた人々を排除しようとするものではない」と述べた。

同大統領は首脳会議を発表するにあたって、「欧州は自由な社会であり、危険な状況にある人々に安全な場所をいつでも提供する」とのコメントを添えている。


<解説>クリス・モリス欧州特派員

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Image caption ハンガリー国内の線路沿いに移動する移民たち

波乱に満ちた1年が終わりに近づくなか、欧州の首脳たちは結束を維持するのに苦労している。欧州に到着した移民、難民希望者が100万人近いという事実に圧倒されている。

メルケル首相は再度リーダーシップを取って、シリア難民をトルコから直接受け入れる案を実現しようとしている。

当初は、この方法で数十万人を受け入れることが検討されていたが、すでに数万人に減らされている。また、エーゲ海を越えてギリシャに不法渡航しようとする人々の波をトルコがきちんと止めない限り今回の再定住案はうまくいかない。

すでに欧州域内にいる16万人の難民の再定住は遅々として進んでいない。これまでにひとつの国から別の国に移動し再定住できたのはたった200人余りだ。


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