なぜそんな名前に……忘れようにも強烈すぎるブランド名

Sweatshirt with Spunk logo

世界市場は国境を越えてつながり続ける。外国との関係が増え続けるこの世界では、製品に名前を付けるにしてもいろいろ大変だ。たとえばインドのスポーツウェア会社が発売したウェアのシリーズがそのいい例だ。

1つの市場では効果的な名前でも他の市場では悲惨な結果になりかねないのだ。

そもそもブランド名とは、消費者に伝えたい商品の本質的な価値を体現すべきものだ。それ故に大企業はふさわしい名前を選ぶために何百万ドル、何億円もの大金を費やす。

新たなウェアシリーズのオーナーは明らかに、成功を確信している。今年になってインド映画界を代表する俳優の一人、サイーフ・アリ・カーン氏が鳴り物入りで発表したほどだ。

オックスフォード英語辞典によると、そのブランド名は「勇敢」とか「勇気ある」という意味の単語だ。オーストラリアでは俗語として、魅力的な人を指す。「運動の才能があり、周りのリズムに夢中になれる人」のためにデザインされたブランドにはふさわしいテーマだ。

この新シリーズを仕掛けた企業、フューチャーブランズは「どんなものにも縛られない心と身体を持つ」人たちのことと、説明する。

しかし、「Spunk(スパンク)」は間違いなく、史上最悪なブランド名の1つだ。少なくとも英国市場では。。

というのも、この言葉の「勇敢」や「勇気」といった本来の意味が、英国では「精液」という俗語の意味にほぼ完全に置き換わっているからだ(spunkのこの意味が初めてオックスフォード英語辞典に載ったのは1890年)。

それさえなければ、むしろかっこいいスポーツウェアなのだ。しかし誇らしげなブランド名を見て、思わず吹き出してしまった英国人は私が初めてではないだろう。

スパンクの靴やTシャツ、靴下もある。

そして問題なのは「スパンク」だけではない。呆れた名前のブランドは驚くほどたくさんある。

昼食をとりながら、友達に新しいスパンクの靴下を見せてみた。

この話をする相手は決まってそうなのだが、この時も友人はただちに、自分のお気に入りの残念なブランド名をあげた。彼が教えてくれたのは、ベトナムのアイスクリーム会社「Fanny(ファニー)」だった(訳注・fannyは英国の俗語で女性器を、米俗語でお尻を意味する) 。英語話者ならこの社名にくすくす笑ってしまうはずだ。アイスを買おうと思っていたとしても、「ファニー」のアイスを買おうと思うだろうか。

インターネットをざっと検索しただけで、似たような話は次々と出てきた。

「Pschitt lemonade」はいかが? Pshittは「shit」と同じ発音だ。

Image copyright Steffi Njoh Monny/Flickr

あるいは「Bonka コーヒー」はどう(bonkはセックスの俗語)? 「Plopp チョコレート」と一緒に(ploppは、便が落ちる音のplopと同じ発音)。

Image copyright Duncan C/Flickr

あるいは中国のスナック菓子、「Only Pukeet(オンリー・プキート)」を、ガーナの「Pee Cola(ピー・コーラ)」で流し込んでみるのはどうだろう(pukeは「吐く」という意味。peeは尿)。

スウェーデンのトイレットペーパー、「Krapp(クラップ)」とイランの洗剤、「Barf(バーフ)」も忘れずに(クラップは便のcrapと同音。バーフは嘔吐の意味)。

ジップ付きビニール袋、「Bol-lock(ボロック)」に入れればいい(複数形のbollocksは睾丸の意味。「くだらない」の意味の俗語でもある。単数形は「叱る」の意味にも)。

Image copyright servibolsa.com

こうした商品は自国市場ではよく売れるのだろうが、英語圏の市場に進出するのは難しいかもしれない。

名称を変える方が簡単だと考える企業も多い。

ベルギーのチョコレート会社、Isis(イシス)は、エジプト神話にでてくるナイル川の豊穣の女神にちなんで名付けられた企業の一つだが、イスラム過激派組織との混同を避ける唯一の手段として、ブランド名の変更を決断した。

米国のモバイル決済サービス会社も同様に名称を変更した。英国の下着・セックス玩具会社「アン・サマーズ」は、「The Isis Collection(ザ・アイシス・コレクション)」という「セクシー下着」のシリーズを発表した後、不快感を与えたと謝罪した。

さらに英テレビドラマ「ダウントン・アビー」では、クローリー家のラブラドールレトリバーの愛犬アイシス(Isis)が作中で病死することになったのだが、イスラム過激派組織と同名だったからだという説を、主演の俳優ヒュー・ボネビルは真っ向から否定した。

多くの企業は、すでにある言葉を避けてまったく新しい造語を使うことで、ブランド名の問題に対処してきた。

「Back Rub(バック・ラブ)」(現グーグル)や「Brad's Drink(ブラッズ・ドリンク)」(現ペプシコーラ)の名称変更は非常にうまくいった例だが、英国の保険会社ノリッチ・ユニオンの場合、アビバへの名称変更を決めてから7年たつが、いまだに意見は色々だ。

英国郵便公社は10年前、組織形態の改変に伴って「コンシグニア」に名称変更したが、反対の大合唱があまりにも大きかったため、わずか1年あまり後にひっそりと元の名前 に戻す羽目になった。

驚くような名前が常に不利に働くとは限らない。

何と言っても、英国の衣料品ブランド「フレンチコネクション」は名前を「FCUK」に変更して大成功した。

以下は読者が見つけた面白いブランド名の一部――。

ルクセンブルクのロバートさん:「Looza(ルーザ)」はルクセンブルクの自動販売機でよく見かけるソフトドリンク(Loser=敗者に音が似ている)。

ンバラのシーン・レッドモンドさん:フランスに旅行に行ったら「Zit(ジット)」というアイスクリームを見つけました(zitはニキビの意味)

ロンドンのアンソニー・ジョンストンさん:日本のドリンク「ポカリスエット」で渇きを癒す場面を考えると、吐きそうになる(スエットは汗の意味) 。

ロンドンのカンナン・アスレヤさん:韓国のフルーツ飲料、「Coolpis(クールピス)」はどう?(pissは尿の意味)

米イリノイ州、カーボンデールのカイル・マリスター・グムさん:夏にパナマ市に滞在した時、愛嬌のあるマシュマロのような熊の絵と、上の方に「BIMBO(ビンボ)」という言葉が書かれた製パン会社のトラックを見ました(bimboは、軽薄な若い女性の意味)

セルビーのイアン・リチャーズさん:9カ月間デンマークに住んでいましたが、そこの「Spunk(スパンク)」はゼリー菓子の名前です。

ロンドンのリサ・フリントさん:「Arcelik(アーチェリック)」はトルコの白物家電や電子機器の製造会社大手で、ブランド名や広告は至る所にあります (英語的にアースリックと読むとarse lick(お尻をなめる)の意味に聞こえる)。

オランダのース・ハースートさん:インドで列車旅行した時、買ったばかりの枕を持ち運んでいる人を見ました。包みに大書されていた枕の名前は「Nightmare(悪夢)」でした。

ノッティンガムのベス・ギボンズさん:モンテネグロで「Noblice(ノーブリス)」ビスケットを発見(英語的にノッブ・ライスと読むと、nobは男性器の俗語、liceはシラミ)。

(英語記事 The brand name you'll never forget