英ムスリム家族のディズニーランド観光、米当局に阻止され 

モハマド・タリク・マフムードさん
Image caption モハマド・タリク・マフムードさんは今でもアメリカを訪れたいと話す

米カリフォルニア州サンバーナディーノ郡に住む親類を訪問しディズニーランドを観光しようとしていたロンドン在住のムスリム系英国人家族が、米当局に飛行機搭乗を阻止された問題で、英下院議員らは、英国人が米政府に入国を拒否される傾向が拡大していると懸念を表明した。またカリフォルニアの親類は、サンバーナディーノ郡の銃撃事件を起こしたとされる2人と同じ寺院に通ってはいたが、知人ではないと話している。

ロンドン北東部ウォルサムストウに住むモハマド・タリク・マフムードさんときょうだいの一家11人は15日、ロンドン郊外のギャトウィック空港からカリフォルニアに向かおうとしたが、搭乗を認められなかった。マフムードさんによると、8歳から19歳の子供を含む家族全員が米国のビザ免除プログラムに則り渡航認証を得ていたにもかかわらず、出国ゲートで英国の出入国管理官に飛行機には乗れないと告げられた。米当局からの理由説明はないという。

マフムードさんはBBCに対して「搭乗ゲートに入る前の最後の審査で出入国管理官がやってきて、『申し訳ないがこのフライトには乗れない。ワシントンから連絡があり、この家族を飛行機に乗せてはならないと指示された』と告げられた」と話した。

ノルウェー・エアシャトルはチケット代計9000ポンド(約162万円)の払い戻しを拒否。また免税店で買ったものはすべて返却させられ、空港を出るまで係官に付き添われたという。

マフムードさんは明らかに差別されたと感じたと言い、子供たちは「まるで自分たちが何か悪いことをしたみたいに思って」「ひどくショックを受けていた」と話した。

子供たちには常にイギリスで「平和に暮らすよう」教えてきたというマフムードさんは、「なぜこうなったのか説明してもらいたい。まだアメリカにはいきたい。子供たちには夢をかなえてもらいたい」と述べた。

「安全保障」と言えば何でも

カリフォルニア州サンバーナディーノ郡で自動車修理工場を経営する兄のムハンマド・マフムードさんは、なぜ弟家族が入国を拒否されたのか分からないとBBCに話した。

20年以上前にパキスタンから米国に移住したムハンマドさんは、サンバーナディーノ郡の銃撃事件を起こしたとされる2人と同じモスク(イスラム寺院)に通ってはいたが、知人ではないし、会っても分からないし、話をしたこともないという。

米国の安全保障にとって脅威となる人物を入国させてはならないのは理解できるが、「それには理由が必要だ。今では『国の安全保障』とだけ言えばなんでも許される。問いただすこともできない」とムハンマドさんは批判し、弟家族が入国できなかった理由の説明を米政府に求めている。

米政府は、家族が渡航を拒否されたのは宗教上の理由からではないと説明している。

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Image caption ディズニーランドやユニバーサル・スタジオは警備を強化している

逆だったら「米国が大騒ぎに」

米税関国境警備局の報道官は、「国際渡航者の米国入国許可を決定するのは、宗教・信仰・霊的信条ではない。入国資格があると示すには、申請者は入国不可となる全ての事由を反証しなくてはならない」と説明。入国不可となる事由は60項目あり、健康関連や犯罪歴、安全保障上の理由や移民法違反の記録などが含まれるという。

ジェイムズ・ブロークンシャー英移民相は、政府として事実関係を調べるが最終的には米当局の判断だと述べた。一方で内務特別委のキース・バズ委員長は、米国入国を拒否される英国市民の数が拡大傾向にあるようだと懸念を表明した。

「世界で最も親しい同盟国のひとつが、この国の市民をどう扱うかはきわめて重要だ。もし米国市民が英当局に搭乗拒否されたら、米国が大騒ぎになる」とバズ委員長。

ウォルサムストウ選挙区選出のステラ・クリーシー下院議員(労働党)はキャメロン首相に、米政府に説明を求めるよう書簡で呼びかけ、ムスリム系英国人が何の説明もなくアメリカ入国を拒否される事態が増えていると指摘した。

クリーシー議員はBBCに対して、「ムスリム系の有権者の多くから、飛行機に乗るのが怖いと聞いている。飛行機に乗ろうとしても乗せてもらえず料金を失うだけではないかと恐れているし、親類に会えないのではないかと懸念している。けれどもなぜ拒否されたのか、何が理由なのか分からない」と述べ、少なくともほかに4組のムスリム系英国人が米国入国を拒否されたと聞いていると話した。

ダウニング街の首相官邸は、議員が提示した諸問題について首相が返答すると回答した。

(英語記事 Muslim family's halted Disneyland trip is raised with PM

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