シリア首都近くの難民キャンプ 反政府勢力が撤退か

ヤルムーク難民キャンプの周囲には政府が検問所を設けている(写真は今年4月) Image copyright AFP
Image caption ヤルムーク難民キャンプの周囲には政府が検問所を設けている(写真は今年4月)

シリアの首都ダマスカス南部にあるヤルムーク難民キャンプとその周辺から反政府勢力の戦闘員と家族が離れることで、反政府勢力とシリア政府が協議している。

国連が仲介役となった今回の案はまだ微妙な段階だが、ヤルムークで包囲された状態にある約1万8000人いるとみられる住民に国際援助を届けるのが狙い。

一方で過激派組織「イスラム国」(IS)の戦闘員が主要な拠点である同国北部のラッカに安全に移動することを可能にする可能性もある。今年4月にはIS戦闘員が難民キャンプに侵入し、かなりの地域を支配下に置いた。

ヤルムークには現在、ISとそれに対抗するアルカイダ系の「ヌスラ戦線」に加え、シリア政府への支持、対抗で分かれたパレスチナ人武装勢力それぞれの支配地域が存在する。

ヤルムーク難民キャンプを包囲する政府軍は検問所を複数置いており、市民が自由に出入りできないようにしている。

Image caption ヤルムーク難民キャンプの位置図

合意ができれば、早ければ25日から戦闘員がヤルムーク難民キャンプとその周辺のハジャル・アスワドやカダム地区から撤退を始める。

協議に参加している勢力はすべて特定されていないが、英国に拠点を置く「シリア人権監視団」によると、負傷したIS戦闘員とその家族が撤退する集団に含まれているという。


<解説>セバスチャン・アッシャー、BBCニュース・中東アナリスト

国連の潘基文(パンギムン)事務総長は今年、ヤルムークの状況を「最悪の地獄サイクル」と表現した。今回合意ができれば関係者すべてに得るものがある。

ヤルムークが安全になれば、国連が難民への援助を自由にできるようになる。シリア政府はのど元に突き付けられた潜在的な脅威を退けられる、負傷し疲弊した反政府勢力の戦闘員も次の戦闘まで休止ができる、IS戦闘員たちはラッカまで安全な移動ができる。

シリア国内では各地で各勢力の利益に合う同様の合意ができている。国連はこれをモデルケースにして広げたいと考えている。年明けにまた和平への取り組みが再開されるが、暗闇の中の一条の明かりとできるかもしれない。


現地に情報網を持つシリア人権監視団によると、カダム地区にはすでに何台ものバスが到着しており、ISの支配地域へ人々を輸送する準備が進められている。

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Image caption 今年4月には、IS戦闘員がヤルムーク難民キャンプの大半を支配下におさめた

ヤルムーク難民キャンプは当初、1948年の第1次中東戦争で避難してきたパレスチナ人のために作られた。2011年にシリアで内戦が始まる前までは15万人以上の難民が暮らしていた。

過去2年間、戦闘で包囲された約3500人の子どもを含む住民たちは、定期的な食料供給や清潔な水を絶たれ、医療が受けられない状態に置かれている。

(英語記事 Syria conflict: Rebels 'to leave Yarmouk refugee camp'

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