「慰安婦問題」日韓合意 両国首脳が歓迎

  • 2015年12月29日
2011年にソウルの日本大使館前に建てられた「慰安婦像」(写真は先月11日) Image copyright AFP
Image caption 2011年にソウルの日本大使館前に建てられた「慰安婦像」(写真は先月11日)

日本と韓国が28日に、第2次世界大戦中に女性が性労働を強いられた「慰安婦」問題の解決で合意したことを受け、両国の首脳はこれを歓迎すると表明した。

日本は謝罪を行い、被害者を支援する基金に、韓国が求めていた額である10億円を拠出する。

推計では、第2次世界大戦中に旧日本軍によって最大20万人が性奴隷にされたとみられており、その多くが朝鮮半島出身だった。このほか中国やフィリピン、インドネシア、台湾出身の女性もいた。

「慰安婦」問題は日韓関係がこじれる大きな理由となっていた。

韓国で存命している元「慰安婦」はわずか46人。

第2次世界大戦の「慰安婦問題」で日韓合意

早期の合意を目指して日本の岸田文雄外相が28日に訪韓し、尹炳世(ユン・ビョンセ)外相と会談を行った。その後、安倍晋三首相が韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領と電話で協議。岸田外相が先に述べた謝罪をあらためて伝えた。

その後、安倍首相は記者団に対し、「今後、日韓は新しい時代を迎える」と述べ、「子や孫、その先の世代の子どもたちに謝罪し続ける宿命を負わせるわけにはいかない」と語った。

パク大統領は声明で、被害者が高齢であることから合意は喫緊を要したとし、「今年だけで9人が亡くなっている。高齢の元慰安婦たちの精神的苦痛が和らげられるのを望む」と述べた。


日韓合意の内容

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Image caption ソウルの日本大使館前で抗議活動するリー・ヨンソーさん(8月12日)
  • 韓国政府が運用する高齢の元慰安婦の支援ための基金に日本は10億円を拠出
  • 基金への拠出と共に日本の首相による謝罪と問題に対する「責任の痛感」の表明
  • 韓国は日本が約束を果たすことを条件に問題が「最終的かつ不可逆的に」解決したと確認
  • 韓国は2011年にソウルの日本大使館に建てられた慰安婦を象徴する像の撤去を検討
  • 日韓は国際社会の場でこの問題をめぐって双方を非難することを控える

外相会談後、岸田外相は合意を「歴史的で、画期的な成果だ」と語った。

岸田外相は、「安倍首相は日本国の首相として、あらためて慰安婦としてあまたの苦痛を経験され心身にわたり癒やしがたい傷を負われた全ての方々に心からおわびと反省の気持ちを表明する」と述べた。

合意文書には「慰安婦」に直接賠償金が支払われるとは書かれていないが、基金が「支援」をし、「名誉と尊厳を回復し、心の傷を癒す措置」に資金を提供する。

元「慰安婦」のリー・ヨンソーさん(88)はこれに異議を唱える。リーさんはBBCの取材に対し、「犠牲者のことが本当に考慮されて協議が持たれたのか分からない。お金が欲しいのではない。もし日本人が罪を犯したのなら、直接賠償金を支払うと提案すべきだ」と語った。

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Image caption ソウルの日本大使館前で抗議活動をするリー・ヨンソーさん(写真中央、10月30日)

同じく元「慰安婦」のヨー・ヒーナムさん(88)は、「振り返ってみれば、私たちは人間として基本的な権利を奪われた状態で生きていたのだから、完全には満足できない。しかし、韓国政府が法的に解決をするのをずっと待っていた。今年中に解決するため政府が懸命に取り組んだのだから、政府の決めたことに従いたい」と語った。

日本のツイッター利用者の間では、安倍首相が合意で一定の成果を上げたとする声も出ているが、日本政府が交渉に負けたと考えるツイートが多かった。ジャーナリストの池田信夫氏も同じような見方を示している。

池田氏はツイッターで「日本が10億円出して首相がおわびして、韓国は『少女像について関係団体と協議』って、これ外交交渉になってないよ」とツイートした。


ケビン・キム記者(ソウル)

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Image caption 安倍首相とパク大統領が会談前に握手(11月2日)

年の暮れまであと数日を残す時期となったことは非常に象徴的で、成果への期待は高かった。

パク大統領は今年、日韓国交正常化から50周年にあたる今年の末までに「慰安婦」問題を解決することを訴えていた。

しかし、この地域の国際関係を何十年間もこじらせていた、この困難な問題が早期に解決できると考える人は少なかった。一部には象徴的なものを守るため会談を急いだとの批判もある。

日本が責任を認めたことが、法的なものか人道的なものかは明確でない。10億円の資金拠出は女性たちへの支援であって直接に賠償するものでないとされている。

存命の数十人の女性は自分たちに向けられた公式の謝罪と直接の賠償を求めていた。これまで日本が示してきた遺憾の意は中途半端で誠実でないとしてきた。


今回の協議では、いくつかの障害が乗り越えられたようにみえる。合意の文言や資金拠出の額などだ。日本政府が提示した拠出額はわずか1億円だと報じられていた。

米国も日韓合意を歓迎している。ホワイトハウスは声明を出し、「この包括的な解決が傷の癒しと和解に向けた重要な意思表示であると考える」とした。さらに「我々にとって最も重要な同盟国の2つが、困難な問題に対する永続的な解決策を作り出す勇気とビジョンを示したことを称賛する」とした。

Japan's Foreign Minister Fumio Kishida spoke of the Japanese prime minister's ''sincere apologies and remorse''

<英語ビデオ>岸田外相の記者会見

日本はこれまで大戦時の性奴隷問題について繰り返し謝罪し責任を認めてきた。1993年の当時の河野洋平官房長官による談話がその主な例だ。

日本政府はさらなる賠償金の支払いには抵抗してきた。1965年の日韓国交正常化の際に結ばれた請求権協定で解決済みであり、韓国に8億ドル以上に及ぶ経済援助をしたというのが理由だ。

日本政府は1995年に国民の募金を集める「女性のためのアジア平和国民基金」を設置、基金は約10年間運営された。

(英語記事 'Comfort women': Japan and South Korea hail agreement