オバマ米大統領、涙ながらに銃規制強化訴え

オバマ米大統領 Image copyright AFP
Image caption オバマ米大統領は涙ながらに銃撃事件の被害者について語った

オバマ米大統領は5日、大統領令による銃購入の規制強化を発表し、「行動しないために言い訳を続ける」のは止めなくてはならないと涙ながらに訴えた。大統領令は議会承認を必要としない。

オバマ大統領は銃撃事件の遺族や被害者に囲まれ、規制強化を発表。「銃業界のロビー(圧力団体)が今の連邦議会を人質にとっているかもしれないが、アメリカを人質にすることはできない」と述べた。さらに、2012年にコネティカット州で子供20人と大人6人が殺害されたサンディ・フック小学校の乱射事件について言及し、涙を流した。

大統領令は、銃を購入しようとする人の身元調査を強化するもので、主な内容は次の通り――。

  • すべての銃販売業者の身元調査を実施。現在はオンラインや銃展示会での販売業者の一部が身元調査を免除されているが、この免除を撤廃する。
  • 精神病や家庭内暴力を理由に銃購入が禁止される人について各州政府が情報提供する。
  • 身元調査強化のため連邦捜査局(FBI)に担当者230人を新規採用するなど体制強化。
  • 精神科の治療を受けやすくするため、連邦議会に5億ドル(約600億円)の拠出を提案。
  • 国防総省、司法省、国土安全保障省が共同で、銃の安全強化のため「スマート銃技術」の可能性を検討。
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オバマ米大統領、涙ながらに銃規制強化の大統領令発表

これに対して全米ライフル協会(NRA)は、オバマ氏による施策に反対し、対抗していくと表明した。

連邦議会の上下両院は野党・共和党が多数を握っており、下院のライアン議長(共和党)は、「(大統領の)発言と行動は、自由を損なう一種の威圧だ」と批判。大統領令の内容は法廷で争われることになるだろうと述べた。

ホワイトハウスが銃規制を強化するだろうと予測されるなか、昨年末に相次いだ乱射事件を受けて、米国内の銃購入希望者の身辺調査件数は増加。米銃製造大手スミス&ウェッソン社の株価は、大統領令発表に先立ち1999年以来の最高値を付けた。

Image caption FBIが2007年12月~2015年12月にかけて行った銃購入希望者の身辺調査件数

<分析> アンソニー・ザーチャー、BBCニュース北米担当記者

大統領は感情もあらわに、持てる弁論の技を駆使して、実は連邦政府の銃販売規制をわずかに拡大するに過ぎない措置がいかに正しいか、雄弁に力説した。

銃暴力の被害者が大勢居並ぶなか、大統領はコネティカット州ニュータウンの小学校で児童が殺された事件で、自分は変わったと説明。そして、自分が変わったように国も変わるよう期待すると呼びかけた。

しかしサンディ・フック小学校の乱射事件から、すでに3年たっているが、アメリカは変わっていない。一部の州は銃規制を強化したものの、銃を持つ権利を強化した州もあり、連邦政府は何もしていない。

なのでオバマ氏は自分にできることをしたし、大統領令の発表に使った表現はもっと大々的な立法成立の式典にふさわしいものだった。しかしいまの政治状況では、そのような大々的な銃規制の立方が議会を通過するなど大統領署名を待つだけの状態になるなどありえないのだ。

今回の大統領令程度のささいな対策でさえ、あらゆる抵抗を受けるはずだ。法廷で。連邦議会で。そして誰が候補指名を得るにせよ、オバマ大統領の後任を選ぶ投票所で。


米国では銃暴力によって年間約3万人が死亡するなど、他のどの先進国と比べても突出して多い。

銃所有者や強力なロビー団体NRAの圧力を受ける連邦議会は、銃所有を規制する法律の成立に一貫して消極的だ。

オバマ氏はサンディ・フック小学校乱射事件を受けて、銃購入者の身元調査強化につながる法案の成立を目指したが、議会内の支持を得られなかった。

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Image caption 銃撃被害者のギフォーズ元下院議員も、銃規制強化の大統領令発表に立ち会った(5日)
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Image caption 銃による暴力は最大の懸案事項だとオバマ大統領

今回の大統領令は早くも、2016年米大統領選の重要争点となりつつある。

民主党の有力候補、クリントン前国務長官はツイッターで「大統領は正しい。修正第2条を守りつつ、家族やコミュニティーを銃の暴力から守ることはできるし、そうしなくては」と表明した。

一方で共和党から出馬しているクルーズ上院議員(テキサス州選出)は、大統領令は違憲だとツイッターで批判。「オバマは銃を取り上げようとしている」と書かれたウエブページのリンクと合わせてツイートした。

同様に共和党から出馬しているジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事は、「国民が武器を保持する権利は侵してはならない」と規定する合衆国憲法修正第2条を守り、今回の大統領令を撤回するとツイートした。

オバマ氏単独インタビュー 最大の不満は銃規制

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(英語記事 Barack Obama: US gun control inaction must end

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