包囲されたシリアの町に援助物資搬入へ 住民餓死と

お使いの端末ではメディアプレイバックはご利用になれません
シリア内戦 包囲の街で住民餓死と

シリア政府は7日、政府軍に包囲された首都ダマスカス近郊の町マダヤへの援助物資の搬入を認めた。国連の世界食糧計画(WFP)が明らかにした。

反政府勢力が籠城するマダヤでは、物資の不足で住民が飢餓に直面しており、餓死する人も出ているという。

WFPによると、通行が可能になれば11日にも物資を運ぶトラックが到着する見通し。援助機関はマダヤが「非常に悲惨な」状況にあると指摘している。

このほかWFPはシリア政府から北部のケフラヤとフアにも援助物資を運ぶ許可を得たが、これらの町はマダヤと反対に反政府勢力によって包囲されている。

シリアでは最大450万人が通行困難な地域におり、包囲されて生活必需品を得られず生き延びることが難しくなっている15カ所にいる住民は40万人近くに上っている。

Image copyright Reuters
Image caption ベイルートの国連事務所前でマダヤの惨状を訴えるシリア人の子どもたち(昨年12月)

「子どもたちがもっと死ぬ」

ダマスカスから北西約25キロ、レバノンとの国境から11キロの地点にあるマダヤは、昨年7月上旬から政府軍とアサド政権を支援するイスラム教シーア派武装組織ヒズボラに包囲されている。

WFP報道官のグレッグ・バロウ氏はBBCに対して、「一番うまくいけば」緊急物資の輸送トラックは72時間でマダヤに到達すると話した。

「援助チームは情勢が非常に緊迫した地域を移動しなくてはならない。その状況を理解する必要がある。前線を通過する以上、リスクのないルートが確保されていると確認しなくてはならない」

マダヤでの死亡者について完全なデータはないが、国境なき医師団は、支援する医療施設で昨年12月以降、23人が餓死したとしている。

国連人道問題調整事務所(OCHA)は、住民が餓死しているほか、町から逃げ出そうとした住民が殺害されたという信頼できる情報があるとしている。

子ども支援団体の「セーブ・ザ・チルドレン」は「マダヤに食料、薬、燃料など必要な援助物資をすぐ届けなければ、今後も子どもたちが死んでいく」と訴えている。

昨年10月にはトラックが援助物資を届けており、12月には治療が必要な人々の搬送が実現しているが、その後は繰り返し要請がされているものの、通行が不可能になっている。


<解説>ジム・ミュアー記者(ベイルート)

シリア政府が援助物資の通過を許可したからといって、包囲された人々の苦境が終わるわけではない。

マダヤがなぜこれまで注目されるに至ったのかははっきりしない。ダマスカス郊外の一部はマダヤよりもっと長期間包囲されている。マダヤは完全に包囲しやすかったのかもしれない。ほかの地域の包囲状態はかなり緩い。

しかし、反政府勢力に包囲された北部の町から撤退してきた体制派の負傷戦闘員らは、そこでも人々が草を食べて生き延びていると語っている。

また、マダヤを包囲しているヒズボラのレバノン人組織は、反政府派が事実をわい曲して悪質な情報戦を仕掛けているだけだとしている。

今月25日にジュネーブで開かれるシリア和平協議が近づくなか、包囲された町の状況は確かに政治的な難題だ。通行ができなければ完全な真実を知ることはできない。しかし、明らかになりつつある様子からは非常に暗たんたる状況が伝わってくる。


Image caption シリアの各勢力の支配地域

冬の到来で状況は悪化している。

マダヤの住民、アブデル・ワハブ・アハメドさんはBBCの取材に対し、「何も食べるものがなくなって、人々は土を食べ始めた」と語った。「雪が積もって草や葉っぱも枯れた」。

生活必需品の価格も急騰している。小麦の粉1キロが250ドル(約3万円)、粉ミルクは900グラムが300ドル(約3万5500円)で売られている。

Image copyright AP
Image caption 負傷した反政府派戦闘員を搬送するシリアの新月社(赤十字に相当、撮影は昨年12月)

シリアで何が起きているのか

政府への抗議活動が内戦に拡大し、5年近く続いている。これまでに25万人以上が死亡、1100万人以上が住まいを失った。アサド大統領に忠誠を誓う勢力、反体制派、イスラム教ジハード(聖戦)主義者の「イスラム国」(IS)を含む各勢力が入り乱れて戦っている。

なぜ民間人が包囲状態にあるのか

すべての勢力が攻囲戦を行っている。敵を降伏させるため、人々が住む地域を包囲し出入りを止め、人道支援を妨害する。食料や水、薬、電気、燃料が不足するなか、最も弱い人々が栄養不足になり、命を失っている。

包囲されている地域は?

政府軍は東部ゴウタの複数の地域やダマスカス周辺、ダマスカス西部にある郊外のダラヤ地区、山に囲まれたザバダニやマダヤを包囲している。一方、反体制派は北部のイドリブ県にあるフア、ケフラヤを包囲。ISも東部のデイル・アルズールの政府支配地域を包囲している。

(英語記事 Syrian government 'to let aid into besieged Madaya'

この話題についてさらに読む