包囲で飢えるシリア・マダヤに援助物資届く

UN-led humanitarian convoy about to enter Madaya, Syria (11 January 2016) Image copyright OCHA

シリア政府軍の包囲作戦によって生活必需品がなくなり住民が餓死していると懸念されるマダヤの町に11日、食糧や医薬品などの援助物資が届いた。国連が明らかにした。マダヤの住民4万人は半年前から政府軍の包囲によって町の外に出ることができず、昨年10月からは食糧などが届かなくなっていた。国連安保理ではニュージーランド大使が、住民約400人を治療のため直ちに避難させる必要があると報告した。

国連、国際赤十字委員会、シリア赤新月社、世界食糧計画による援助トラック44台が、首都ダマスカスからマダヤに到着した。

北部イドリブ県で反政府勢力に包囲されていたフア村とケフラヤ村にも同日、援助物資を乗せたトラック21台が到着した。2つの村の住民合計約2万人は昨年3月から村に閉じ込められていた。

シリアにおける国際赤十字代表、マリアン・ガッサーさんは、援助は今回限りで終わってはだめだと強調。「何万人もの人の苦しみを和らげるには、この地域に物資が定期的に届くようになる必要がある」と呼びかけた。

AFP通信によると、ニュージーランドのジェラード・ファン・ボヘメン大使は11日、安保理に対してマダヤ住民400人が「今晩中にも治療のため緊急避難する必要がある。この人たちを町の外へ救急搬送する許可をシリア政府に求めている」と報告した。

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飢餓に苦しむシリアの町 援助物資にひと時の安堵
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Image caption マダヤに入った人道援助チーム(11日)

マダヤで活動する国際赤十字委員会のパウェル・クリシュジクさんは、「町の人たちが5分おきに、『食べ物はある? 薬は持ってきた?』とやってきた。笑って手を振っている人もいたが、ほとんどはその力もなく、ただひたすら弱って沈うつな表情で、ただ疲れ果てていた」と到着後に話した。

17歳の住民、ヒバ・アブデル・ラフマンさんはAFP通信に対して、「15日前からスープしか口にしていない。若い男性が猫を殺して、ウサギだと言って家族に肉を与えているのを見た。ゴミ箱を漁る人もいたし、草を食べる人もいた。食糧を分けてくれと兵士たちに頼んでも、はねつけられるだけだった」と話した。

マダヤを出ることが認められた住民はごく少数だが、数人が手荷物を持って待機している様子が見られた。

マダヤは首都ダマスカスから北西約25キロ、レバノンとの国境から11キロの地点にある。昨年7月上旬から政府軍とアサド政権を支援するイスラム教シーア派武装組織ヒズボラに包囲されてきた。

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Image caption マダヤから避難し、町の外で待機するシリアの子供たち(11日)
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Image caption マダヤ脱出を許された住民はごくわずかだ。マダヤを出ようとする住民(11日)

マダヤで医療センターを運営する国際医療人道団体「国境なき医師団」(MSF)のブリス・デラビーニュさんは、BBCに対して「とても恐ろしい」状況だと語り、250人以上が「ひどい栄養失調状態にある」と話した。

MSFは10日、マダヤでは昨年12月1日以来、1歳未満の乳児6人を含む合計28人が餓死したと発表。

これに対してヒズボラは、マダヤに餓死者はいないと反論し、反政府勢力が住民の脱出を阻止しているのだと非難した。

シリア内戦では、こうした町村の包囲は繰り返し戦術として使われてきた。外部から到達しにくい地域には450万人がおり、そのうち包囲下の15カ所では40万人が生活必需品や人道援助から断絶された状態におかれている。


非難合戦―リーズ・ドゥセット、BBC国際報道チーフ特派員

この人道援助は、残酷な対立によってもたらされたものだ。反政府勢力が支配するマダヤに援助が届くようにするには、政府軍が支配するフアとケフラヤにも援助が届くようにすること。それが条件だった。

痩せ細ったマダヤの子供たちの映像は世界各国の政府に危機感をもたらし、対応を求める原動力になったが、非難合戦ももたらした。

シリア政府や、シリアと協力するレバノンのヒズボラとその支援者たちは、マダヤの反政府勢力が食糧を独り占めしていると批判した。住民が飢えているという情報を嘲笑する人さえいた。そして反政府勢力はアサド大統領の軍勢が、戦争犯罪をさらに重ねていると非難した。

今のシリアの苦しみを象徴するのは、マダヤだ。2年前はヤルムークだった。

こういうことがあるたびに世界は一斉に同情して対応する。しかし、援助の届きにくい地域に援助物資を届けたいという国連の要請が聞き入れられたのは、過去1年間でわずか1割にすぎない。援助の届きにくい地域。そこには450万人のシリア人が住んでいるのだ。


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シリア内戦 包囲の街で住民餓死と
Image caption シリアの各勢力の支配地域

(英語記事 Madaya Syria: Aid convoy reaches besieged town

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