米政府、海軍兵10人の解放をイランに感謝

イラン当局が12日に拘束したとされる米兵たち。イラン・イスラム共和国放送が伝えた。 Image copyright Irib news
Image caption イラン当局が12日に拘束したとされる米兵たち。イラン・イスラム共和国放送が伝えた。

米政府は13日、イラン領海内で拿捕された米海軍哨戒艇2隻の兵士10人について、イラン政府が速やかに解放したことに謝意を表明した。

ケリー米国務長官はイラン当局の「協力と速やかな対応」に感謝し、「適切に対応を進めなければ制御不能になることもあり得る状況」だったものの、今回の問題が「平和的かつ正式に」こうして解決されたのは、「この国の安全を守るために外交がいかに核心的に重要かを示すものだ」と述べた。

イランのザリフ外相は、「脅しや無謀な行動ではなく、対話と互いへの敬意によって、海軍兵の問題が速やかに解決できたのを喜んでいる。この事例から学んでいこう」と解決を歓迎した。

哨戒艇の拿捕から間もなく、ケリー長官がザリフ外相に直接電話をしたという。2人はイラクの核開発計画をめぐる協議で知り合い、意気投合するようになったとされる。

イランの国営メディアは、米海軍兵士たちが謝罪した後、公海へと解放したと伝えた。しかしバイデン米副大統領はこれを否定し、海軍船は単に故障が原因でイラン領海に入り込んだに過ぎず、「謝るべきことは何もない」と述べた。

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Image caption イラン当局が押収した米海軍兵たちの武器を点検。イラン・イスラム共和国放送が伝えた。
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Image caption 米海軍兵を拘束する際のイラン士官。イラン・イスラム共和国放送が伝えた。

米海軍兵10人は、ペルシャ湾を訓練航行中だった小型哨戒艇2隻が12日に故障し、イラン領海内に入り込んだため拘束された。女性1人を含む10人は、ペルシャ湾の中央にあるファルシ島のイラン海軍基地へと連行された。

イラン・イスラム共和国放送は、米海軍船舶の領海侵入は「意図的ではなかった」とするイラン革命防衛隊の声明を伝えていた。

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Image caption 拘束された米海軍兵10人。イラン革命防衛隊のウエブサイトに掲載された。
Image caption ペルシャ湾のファルシ島

今年の米大統領選に共和党から出馬している候補たちは、イランによる米兵拘束に強い怒りを表明し、オバマ政権の対応を批判している。

ブッシュ元フロリダ州知事は兵士たちの釈放前にツイッターで「オバマのイラク政策がいかに恥ずかしいほど弱腰か、あらためて露呈した」と書いていた

実業家のトランプ氏は、イランが米国を「もてあそんでいる」とツイートした。

イランが核開発を縮小する代わりに米国などは制裁を解除するというイランと米欧など主要6カ国の合意については、イランと米国双方で保守派が批判している。


イラン・米関係は難関を乗り越えた―ジョナサン・マーカス、BBC外交担当編集委員

イランとの核合意によってイランと米国両政府の緊張が緩和するのかは未知数だが、最初の難関は乗り越えたようだ。

イラン当局は、米軍の哨戒艇は事故のため領海に迷い込んでしまったのだと、速やかに受け入れた。

イランに対して核開発を理由に実施されていた制裁は、今月末にも解除手続きが始まる見通しだ。

核合意を破綻させたいとひたすら願う保守派や強硬派は、イランと米国のどちらにもいる。それだけに両国政府は、今回のこの事態をなるべく早く解決したかったのかもしれない。

制裁解除による経済的なメリットはあまりに大きく、合意をいまさら破綻させるわけにはいかなかったのは明らかだ。


イラン・メディアも抑制的報道―BBCモニタリング

今回の米海軍船拿捕と兵士拘束に関するイラン国営メディアの報道ぶりは、きわめて抑制的で落ち着いたものだった。

米国など欧米諸国に対して通常使われる中傷表現(「世界に対する傲慢」、「敵国」など)は、見当たらないことでかえって目立った。

ただし国営テレビやラジオは米国の侵入が「違法」で、イラン政府が謝罪を求めていることと、後に謝罪を得たという内容は伝えている。

たとえば2007年に英海軍兵が拘束された時と比べると、論調ははるかに落ち着いており、対決姿勢は見られなかった。

2007年当時イランは、英海軍船が領海を侵犯したと非難。英国政府がこれを否定すると、イランのメディアは英海軍兵たちがスパイだと伝え、さらに音楽プレイヤーが押収されると泣き出す兵士もいたと嘲笑する報道を行った。

(英語記事 US thanks Iran for swift release of 10 Navy sailors

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