元スパイ殺害めぐる英報告書 ロシア人容疑者は否定

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リトビネンコ氏暗殺の容疑者、英調査は「芝居だ」と反論

2006年にロンドンで起きたロシアの元情報将校アレクサンドル・リトビネンコ氏の毒殺事件をめぐり、英公開調査委員会が21日に発表した報告書について、殺害を実行したとして名前が挙げられたアンドレイ・ルゴボイ容疑者は「ナンセンス」だとして内容を否定した。

報告書は、ルゴボイ容疑者とドミトリー・コフトン容疑者がリトビネンコ氏を毒殺し、殺害計画はプーチン大統領が「おそらく承認していた」と判断を示しているが、ルゴボイ容疑者はこれについて「作り話」、「憶測」だとし、委員会を率いたロバート・オーウェン判事を「頭がおかしい」と非難した。

ルゴボイ容疑者はBBCの取材に対し、「明らかに頭がおかしくなったあなた方の判事によるナンセンスな結論を読んだ」と語り、「何も新しいものはなかった。目新しいことがない10年間の結果が提示され、作り話、憶測、うわさ話だけだったことはとても残念だ」と述べた。

同容疑者はさらに、「『可能性』や『おそらく』などという言葉が報告書で使われていること自体、何も証明がなく、我々への非難に何ら具体性がないと分かる」と語った。

ルゴボイ容疑者は英国に戻って訴追される可能性は全くないと述べた。「私がロシアから送還されるのは……なんと言うか……月が地球とくっつくより可能性が低いだろう。単に不可能だ」。

「正確に理解して欲しい。もし、ロンドンで起きた10年前のことで、終身刑になるような罪の嫌疑がかかっていたら、無罪を証明したいとロンドンに行くような、まともなやつがいるだろうか」「私はロシア人だ。なんであなた方を信用しなくちゃならない? 私はロシアの司法制度を信頼している」

オーウェン判事らによる報告書では、ルゴボイ容疑者らがロンドンのホテルで、当時43歳だったリトビネンコ氏の飲み物に放射性物質ポロニウム210を混ぜたと結論づけている。容疑者の2人は犯行を否定している。

リトビネンコ氏は同年11月に死亡した。

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送還は「不可能」

オーウェン判事は毒殺がルゴボイ、コフトン両容疑者によって実行されたのは「確か」だとし、おそらくロシアの情報機関である連邦保安庁(FSB)の指令の下で行われ、FSBのニコライ・パトルシェフ長官とプーチン大統領が承認していただろうと語った。

Image caption ポロニウム210が検出された紅茶ポット

暗殺の動機については、リトビネンコ氏が英国の情報機関のために活動したことや、FSBやプーチン大統領に対する批判や反体制派への関与を挙げた。

同判事はさらに、リトビネンコ氏とプーチン大統領との間の対立には「間違いなく個人的な側面があった」と述べた。

報告書は、原子炉からしか得られないポロニウム210が毒殺に使用されたことは「どう見ても国家の関与を強く示唆する」と指摘している。

殺害されたリトビネンコ氏は2000年に迫害を理由として英国に亡命を申請。亡命は認められ、同氏はその後英国籍を取得した。

リトビネンコ氏は執筆やジャーナリスト活動を通じてプーチン政権を激しく批判した。

調査委は、リトビネンコ氏を即死させるのではなく、放射能で緩慢に死亡するようにしたのは、「メッセージを送る」ためだったかもしれないという証言も得ている。


リトビネンコ氏殺害事件をめぐる経緯

 ・2006年11月23日 リトビネンコ氏が死亡。ルゴボイ、コフトン両容疑者とロンドンで紅茶を飲んだ3週間後だった。

 ・2007年5月22日 英検察がルゴボイ容疑者を殺人罪で起訴することを決定

 ・2007年7月5日 ロシア政府が自国憲法によって認められていないとして、ルゴボイ容疑者の送還を拒否。

 ・2013年5~7月 検視官が公開調査が望ましいとしたことから、死因特定の審問を延期。英政府は公開調査を求める検視官の要請を拒否

 ・2014年2月11日 高等法院は内務省が検視審問の結果が出る前は調査を開始しないとしたのは間違っていると判断

 ・2015年1月 公開調査が始まる


(英語記事 Litvinenko accused Andrei Lugovoi dismisses 'nonsense' inquiry

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