【移民危機】移民のトルコ送還再開 EUとの合意で

ギリシャ・ヒオス島で「トルコはいやだ」とメッセージを掲げる移民の少年 Image copyright AFP
Image caption ギリシャ・ヒオス島で「トルコはいやだ」とメッセージを掲げる移民の少年

欧州に流れ込む移民の数を減らそうと欧州連合(EU)とトルコが交わした合意に基づき、ギリシャから強制送還される移民の第2陣が7日、フェリーでトルコに到着した。45人がレスボス島ミュティレネを出て、トルコのディキリ港に上陸した。強制送還に抗議して3人が港に飛び込んだが、沿岸警備隊に引き揚げられた。

強制送還された移民には、欧州対外国境管理協力機関(フロンテックス)の警備員が1人ずつ付き添った。フェリーには医師や通訳も同乗した。

フロンテックスのエワ・モンキュア報道官はギリシャで報道陣に対し、「国際的な難民保護を申請したいとぎりぎりになって随行者に申し出た人は、誰もいなかった」と述べた。

強制送還に抗議する少人数の集団がミュティレネで「恥を知れ」と繰り返した。

これに先立ち4日には、主にパキスタン人200人がレスボス島からディキリに送還されている。

正規の手続きなしでギリシャに渡る移民はシリア、アフガニスタン、イラクに続きパキスタンからの人数が最も多い。今年1~3月には5317人のパキスタン人がギリシャ入りした。レスボス島のモリア・キャンプでハンガーストライキに入った人もいるという。

アリと名乗る男性はAFP通信に「命を懸けてここまで来た。トルコには行きたくない。パキスタンに戻されてしまうから。ギリシャで難民申請はしたくない。ドイツに行きたい」と話した。

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Image caption 強制送還される移民には1人ずつ、フロンテックス職員が随行した(8日、レスボス島)

8日にはさらに95人が、ギリシャ・サモス島やコス島からレスボス島に集められた後、ディキリへ送還される予定。このうちシリア人以外は強制送還施設に送られるが、シリア人は難民キャンプに送られ、EU域内に定住する難民と交代する。

EUとトルコの合意では、3月20日以降にトルコからギリシャに非合法に渡航した移民が難民申請をしなかったり、申請が認められなかった場合にはトルコに送還され、トルコに送還された移民と同数の合法的な手続きを済ませた移民をEUが受け入れることになっている。

EUとトルコの移民送還合意について、人権団体などはトルコは移民にとって安全な国ではないと懸念を示している。

昨年初めからこれまでに、トルコから船でギリシャに渡りEU入りした移民・難民の数は100万人に達した。

しかし国際移住機関によると、海路でトルコからギリシャへ渡る人数は急減しており、3月初めには1日数千人規模だったのが今月には1日数百人にまで減っているという。

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Image caption 強制送還されそうな移民の中にはハンストを始めた人たちもいる(7日、レスボス島)
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Image caption ギリシャとマケドニアの国境地帯では数千人の移民が立ち往生したままだ(7日)

イタリアでは、ギリシャ経由を諦めた移民がリビアから海路でイタリア経由のEU入りを目指すのではないかと懸念が広がっている。

今年初めから4月4日までの間に、海路でイタリア入りした移民の数は1万9287人。対して海路でギリシャ入りした人数は15万2137人だった。

イタリア赤十字のジョルジア・デ・アクティス氏はロイター通信に、「今年の夏には数十万人がシリアやアフリカ諸国からイタリアを経由して欧州を目指すのではないかと予測されるため、心配している」と話した。

一方でギリシャとマケドニアの国境では、北ヨーロッパ行きを希望する約1万1000人が野宿を続けている。


<用語について> BBCは、亡命申請の法的手続きを終えていない、移住中の人すべてを「移民」(migrants)と呼んでいる。この中には、戦争で引き裂かれているシリアのような国を逃れて移動し、難民認定される可能性の高い人たちも含まれる。また、各国政府に「経済移民」と分類される可能性の高い、より良い職業や生活を求めて移動している人たちも、「移民」に含まれる。


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