最大900億円のIS資金を空爆で破砕=米軍

空爆で破壊されたイラク北部の石油精製施設(昨年10月) Image copyright AFP
Image caption 空爆で破壊されたイラク北部の石油精製施設(昨年10月)

イラク駐留米軍の幹部によると、過激派組織「イスラム国」(IS)に対する空爆で、ISの保有資金のうち最大で8億ドル(約890億円)が破砕された。

ピーター・ガーステン米空軍少将は報道陣への説明で、資金を標的にした攻撃によってISからの投降者が2倍近くに増え、新規メンバーの増加を抑止していると語った。

2014年に米財務省は、ISをこれまでで「最も資金豊富なテロリスト集団」だと述べていた。

米国主導の有志連合による対IS作戦で、副司令官を務めるガーステン少将は、ISの現金貯蔵施設に対する空爆を20回近く実施したと述べた。破砕したとする金額がどのように算出されたかについては詳しく説明しなかった。

ガーステン少将は一例として、ISがイラク最大の拠点とするモスルの住居を爆撃した際に推定1億5000万ドルを破砕したことを挙げた。住居のどの部屋に資金が置かれているのか情報を得て、空爆を実施したという。

少将は、破砕した資金総額を正確に知るのは困難だが、推定で5億~8億ドルに上ると語った。

ISが保有する資金総額は分かっていない。ロンドン拠点のアラブ関連ニュースサイト「The New Arab」によると、ISは昨年、初めて作成した年間予算で20億ドルの支出と2億5000万ドルの黒字を見込んでいた。ISは石油採掘施設を掌握しているほか、住民から徴税も行っている。

しかしその後、ISの支配地域は縮小し、米主導の有志連合による空爆で石油採掘施設が破壊されている。

女性のふりをして

ガーステン少将によると、米国が入手した情報では、ISは資金不足に対応するため、所有車両を売却し始めているという。英国を拠点とする非政府組織(NGO)「シリア人権監視団」は今年1月、ISが戦闘員に対する給与を半分にすると発表したと伝えた。ISは、「『イスラム国』が特殊な状況を経験しているため」だと説明したという。

ガーステン少将は、「士気が挫かれている。給与を支払えなくなり、戦えなくなっている。戦闘員たちがあらゆる方法でダーイシュ(ISの別称)を離れようとしている」と語った。

投降者の一部は、イラク国内で女性や難民のふりをしているところを捕まったという。

ガーステン少将によると、ISの戦闘員になろうとイラクやシリアにやって来る人の数も毎月200人程度に減少している。1年前のピーク時には、毎月1500~2000人が到着していた。

Image caption シリア国内の各勢力の支配地域(青緑:政府軍、赤:IS、灰色:クルド人勢力、緑:反政府勢力、赤斜線:ISと反政府勢力が支配めぐって抗争、紫:ヌスラ戦線)

米ホワイトハウスは今年2月、ISの戦闘員は約2万5000人とみられ、昨年の3万1500人近くから減少したと述べた。

米国はトルコに対して、シリアとの国境管理を強化し、人々が国境を越えてIS支配地域に行くのを防止するよう繰り返し求めてきた。

米国は26日、トルコ国内のIS支配地域に近い場所にロケット発射装置を配置する計画があると認めた。

トルコのチャブシュオール外相は地元紙ハベルトゥルクに対し、ロケット発射装置がシリアの町マンビジの近くに配置されると述べた。マンビジはISの新たな戦闘員や物資が通過する地点。

(英語記事 Islamic State: Up to $800m of funds 'destroyed by strikes'

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