シリア停戦は「虫の息」 国連特使が米ロ協力訴える

デミストゥラ国連特使は、シリア停戦は「虫の息」だと語った Image copyright EPA
Image caption デミストゥラ国連特使は、シリア停戦は「虫の息」だと語った

国連でシリア問題を担当するスタファン・デミストゥラ特使は27日、2月に合意されたシリアでの停戦は「虫の息」だとし、米国とロシアが「首脳レベル」で和平交渉を助けるべきだと訴えた。

安全保障理事会への説明後、記者会見したデミストゥラ氏は、シリア和平の成否はオバマ米大統領とロシアのプーチン大統領に対する後世の評価に影響すると語った。

デミストゥラ氏はさらに、2月末に始まった脆弱な「敵対行為の停止」は、「完全なる崩壊からは救われた」としながらも、「すぐ崩壊する可能性がある」と述べた。同氏によると、過去48時間の間にも平均して25分毎に1人が死亡し、13分毎に1人が負傷したという。

27日にはシリア北部のアレッポの東部で、政府軍が病院と付近の住宅を空爆し、少なくとも20人の市民が死亡した。一般市民のボランティアで組織された団体「ホワイト・ヘルメッツ」は仏AFP通信に対し、死亡者には子どもも含まれ、反政府勢力が掌握する地域で唯一の小児科医が死亡したという。

Image copyright Reuters
Image caption 27日のアレッポ東部の空爆では少なくとも20人が死亡した
Image copyright Reuters
Image caption アレッポ空爆で負傷した人を運ぶ「ホワイト・ヘルメッツ」のメンバーら(27日)

デミストゥラ氏は和平協議が成功するためには、戦闘の規模を2月の合意直後の水準まで戻さなくてはならないと指摘した。

同氏の記者会見の前には、今年に入って3回目となる和平協議が開かれていた。

反政府勢力の最大組織「高等交渉委員会(HNC)」は先週、政府軍が停戦を守らず、人道支援も減っているとして、交渉から離脱した。

Image copyright AFP
Image caption 空爆で負傷した若者を運ぶ人々(26日)

シリアのアサド大統領が暫定政府で果たす役割について、最近の協議で言及があったか質問を受けたデミストゥラ氏は、参加者たちは「だれが何をするなどの名前は挙がらなかったが、現在の統治をどう変更するのかは話し合われた」と述べた。

デミストゥラ氏は7月までにもう1、2回交渉が行われると語った。また、今回の交渉が「心配するほどの戦闘激化のなか」で行われたと指摘。状況の悪化を「無視できないし、無視していない」と述べた。

さらに、「まだ主要な点で大きな意見相違が残っているが、これまで進展がなかった部分で動きがあった」と語った。

デミストゥラ氏は加えて、新生シリアへの移行では男女同権が必要だし、主要機関における男女の数が同水準でなくてはならないと述べた。

Image caption 各勢力の支配地域(濃緑:ヌスラ戦線、黄緑:反政府勢力、青緑:政府軍、薄茶:IS、ピンク:クルド人勢力、灰色:ISと反政府勢力が支配をめぐって抗争)

英国に拠点を置く「シリア人権監視団」は27日、アレッポ東部での空爆が「体制側の軍機」によって実施されたと確認した。

ホワイト・ヘルメッツのメンバーはAFP通信に対し、スッカリ地区での空爆で歯科医のほか、2人の子どもを含む5人の家族などが死亡したと語った。

シリア人権監視団によると、27日にはこのほかアレッポ西部で11人が死亡したという。

2011年に勃発したシリア内戦では27万人以上が死亡し、何百万もの人が住まいを追われている。

(英語記事 Syria conflict: UN envoy calls on US and Russia to save talks

この話題についてさらに読む