「世界市民」意識 先進国より新興国で高く=BBC調査

ナオミ・グリムリー

群衆 Image copyright EPA

自分は自分の国の国民なのか、それともむしろ「世界市民」なのか。自分は「世界市民」だと考える人が、先進国よりも新興国で高い傾向にあることが、BBCワールドサービスがカナダの民間調査会社グローブスキャンと共同で行った世論調査で明らかになった。

18カ国2万人以上を対象にした調査からは、新興国の人々が海外に関心を持ち、国際的な意識を高めている結果が示された。

新興国では、半数以上の56%が自分を国民としてよりも、まず第一に世界市民だと考える、と回答。特にナイジェリア(73%)、中国(71%)、ペルー(70%)、インド(67%)で割合が高かった。

一方、先進国では世界市民という考え方は後退しているようだ。2008年の世界金融危機が大きな影響を及ぼしたとみられる。ドイツの場合、世界市民の意識を持つ人の割合は30%にとどまった。グローブスキャンのリオネル・ベリエール氏によると、30%という割合は、15年前に調査が始まって以来の低水準だという。

Image caption 各国で自分を国民としてよりも「世界市民」と考える人の割合

ベリエール氏は、「アンゲラ・メルケル首相が昨年、100万人の難民に門戸を開くと発表して以来、政治かつ国民感情面で大きな環境変化があった。この状況を前提にしてとらえるべき結果だ」と指摘した。

調査では、ドイツ人の54%がシリア難民受け入れに賛成だった。政府が強い姿勢で受入数を抑制する英国では、より高い割合の72%が受け入れに賛成と回答した。

移民・社会政策で態度を決めかねているドイツ人も相当な割合に上った。

Image caption 欧州各国で「人種・民族間の結婚に賛成」と答えた人の割合(右端の比率)

異なる人種や宗教間の結婚への賛否については、「どう答えるべきか分からない」、「状況による」という回答が、ドイツでは46%に上り、フランスなど他の欧州各国よりも高い割合を示した。

人種や民族間の結婚に反対する割合が欧州で一番高かったのはロシアだ。同国では43%が積極的に反対すると答えた。また、シリア難民の受け入れに賛成と答えたのはわずか11%だった。

Image caption 欧州各国で「シリア難民受け入れに賛成」と答えた人の割合(右端の比率)

スペインでは、人種・民族間の結婚に反対する割合は5%。スペインでは世界市民という意識を持つ人の割合も他国よりも高かった。難民受け入れについても、受入数を増やすべきと答えた人の割合は84%にも上った。

北米では、カナダと北米で難民受け入れへの態度に差異がみられた。カナダでは受け入れに賛成と答えたのが77%だったのに対し、米国では55%だった。

全体として、宗教は国籍よりもアイデンティティを決めるより強い要素にはなっていない。ただし、パキスタンは例外で、43%が自らのアイデンティティを決めるのはまず第一に宗教だと回答した。

同様の回答をした割合は、米国では15%だったのに対し、欧州では5%にとどまり、旧世界と新世界の違いがここにも表れた格好となった。


「世界市民」とは?

アイデンティティに関する意識調査に伴う問題のひとつに、「世界市民」の定義が難しく、回答者の解釈に任されていることがある。

ある人にとっては、世界的に見た経済力が重要だろうし、ほかの人にとっては世界の問題の解決にみんなで取り組もうという利他的反応が大きいだろう。気候変動や発展途上国の経済格差などの問題だ。

あるいは「世界市民」とは、インターネットなどでつながる時代に情報が簡単に伝わり、ソーシャルメディアで意見を表明できる状況のことだという見方もあるだろう。

そして多くの人は、「世界市民」とは移住や移動が簡単になったことだと言うだろう。第2次世界大戦以来の最大規模の人間の移動を、我々は目撃しているのだから。

戦争や対立だけが移動の理由ではない。世界が全体としてより豊かになり、増える中間層が飛行機で旅行できるようになったことも背景にある。

(英語記事 Identity 2016: 'Global citizenship' rising, poll suggests

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