【オーランド乱射】ISとのつながり「明確な証拠ない」=オバマ米大統領

銃撃被害者の身元確認にオーランド市内の地域センターを訪れる人たち(13日) Image copyright Getty Images
Image caption 銃撃被害者の身元確認にオーランド市内の地域センターを訪れる人たち(13日)

49人がゲイ・ナイトクラブで殺害された米フロリダ州オーランドの乱射事件について、オバマ米大統領は13日、銃撃犯が過激派勢力のいわゆる「イスラム国」(IS)とつながっていたと示す明確な証拠はないと述べた。ただし、引き続きテロ事件として捜査するという。米連邦捜査局(FBI)のコーミー長官は、オマール・マティーン容疑者(29)はインターネットを通じて過激思想に染まっていったようだと話した。

オバマ氏はワシントンで記者団に対して、「最後になってISIL(ISの別名)に忠誠を誓ったようだが、直接指示を受けていたという証拠は今のところない。まさに我々が長いこと懸念していた、自国産の過激主義の一例だ」と話した。

乱射事件の負傷者は53人に上る。オーランド地域医療センターによると、治療中の被害者の数人が重体で、5人が深刻な状態にあるという。

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遺体の身元確認が進む

ロンドンなど世界各地で、多くの人が追悼のために集まり、連帯を示し、歌や黙祷やろうそくの灯りを捧げた。

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Image caption 事件で複数の友人を失った男性が、市内の芸術センター前ににわか仕立ての慰霊碑を作った(13日)

政界の反応

事件を受けて、米大統領選の共和党候補になる見通しのドナルド・トランプ氏は、外国のムスリム(イスラム教徒)の米国入国を禁止すべきというかねてからの主張を繰り返した。

「何千何万もの人がこの国に流れ込むのを認め続けるわけにはいかない。そのうちの多くは、この野蛮な人殺しと同じ考え方をするというのに」と演説したトランプ氏は、「私が当選したら、米国と欧州と同盟国に対してテロを行ったことが証明されている地域からの移民は、停止させる」と述べた。

トランプ氏はさらに、銃規制強化に強く反対し、「国民が武器を保持する権利」を守る合衆国憲法修正第2条を「擁護し続ける」と強調した。

一方で、民主党候補になる見通しのヒラリー・クリントン氏は、「単独犯」による攻撃の未然予防を最優先すると約束。戦争の兵器が米国の市街地にあってはならないとして、マティーン容疑者が使ったような自動小銃が過激派勢力の手に渡らないようにする対策が必要だと呼びかけた。

捜査の進展

FBIのコーミー長官はワシントンで記者団に対して、「過激化され、外国のテロ組織に感銘を受けていたかもしれない様子が強くうかがえる」と述べた。「この殺人犯は少なくともある部分、インターネットを通じて過激化されたと確信している」。

事件現場のナイトクラブから当局に電話したマティーン容疑者は、ISのための攻撃だと言いつつ、シリアのヌスラ戦線の自爆攻撃犯に忠誠を誓い、さらにボストン・マラソン爆破事件の実行犯たちにも忠誠を誓ったという。いずれもISとのつながりはない。

「この攻撃が米国外から指揮されていたという兆候は見当たらず、何らかのネットワークの一員だったという兆候も見当たらない」とコーミー長官は述べた。

捜査員たちは容疑者の電子端末を中心にその足跡をたどり、動機を解明しようとしているという。

長官は「こういう病んだ連中がこういうことをする動機は」有名になりたいからだと言い、容疑者の名前を口にしなかった。

コーミー氏はさらに、「同性愛差別がどう関係するのかも探っている」と述べた。

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Image caption ゲイ・ナイトクラブ「パルス」の事件現場に入るFBI捜査員(13日)

コーミー長官はさらに、FBIが過去にどのようにマティーン容疑者を捜査したかを詳細に説明。「過去の捜査を点検しても、捜査員たちが何か違う対応をすべきだったという要素は見当たらない」と長官は述べつつ、この件について情報開示の透明性を約束した。

マティーン容疑者が最近、銃2丁を購入した銃砲店の店主は、必要な身元調査をすべて済ませて合法的に購入したと報道陣に説明した。

「うちから買わなかったら、別の地元の銃砲店から買ったはずだ」とセント・ルーシー射撃場のエドワード・ヘンソンさんは話した。

当日何があったのか

容疑者は現地時間午前2時(日本時間午後3時)ごろ、満員状態のゲイ・ナイトクラブ「パルス」で銃を撃ち始めた。

Image caption 「パルス」ナイトクラブの概観。向かって右に入り口、反対側に裏口、トイレが奥にある。
Image caption クラブ「パルス」で銃撃犯がとった行動経路。「1」のメーンフロアで発砲を始め、「2」「3」の入り口付近で警官と撃ち合い、「4」でトイレに逃げ込み人質をとり、「5」の壁を破って突入した警察に射殺された。

オーランド市警のミナ本部長によると、クラブで働く職務時間外の警官と入り口付近で撃ち合いになった。やむなくトイレに逃げ込んだ容疑者は、人質をとり、立てこもった。オーランド市のダイヤー市長によると、通路を挟んだ反対側のトイレにはさらに15人ほどいた。

マティーン容疑者がまた大勢を殺害するつもりだと懸念した警察は、爆発物と装甲車で建物の壁を破り、その穴から生存者を脱出させた。その後に続くように、発砲しながら穴から屋外に出てきた容疑者を、警察が射殺したという。

犠牲者は

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Image caption 左上から時計回りに、エドワード・ソトマヨールさん、スタンリー・アルモドバルさん、ルイス・オマール・オカシオ=カポさん、ホアン・ラモン・ゲレーロさん、ルイス・ビエルマさん、エリック・イバン・オルティス=リヴェライダリさん

オーランド市は、死亡した49人のうち48人の名前を公表した。41人が男性、7人が女性だった。そのうちの数人は次の通り――。

・エドワード・ソトマヨールさん、34歳。同性愛者向け船旅を主催する会社に勤めていた。

・スタンリー・アルモドバルさん、23歳。薬局調剤師。「優しくて、かっこいい気取り屋だった」と友人たちは言う。

・キンバリー・モリスさん、37歳。「パルス」の受付係。オーランドに引っ越してきたばかりだった。

・ルイス・ビエルマさん、22歳。ユニバーサル・スタジオ・フロリダのハリー・ポッター関係アトラクションで働いていた。作者J・K・ロウリングさんが追悼をツイートした。

・エディー・ジャスティスさん、30歳。会計士。事件の最中、店内トイレから母親に「出られない」「こっちにくる」「死んじゃう」などとテキストメールを送り続けた。

・アキラ・マリーさん、18歳。今月上旬に高校を卒業したばかりだった。高校はホームページで「スーパースターだった」と追悼している。

事件当日「パルス」ではラテン・テーマのイベントが開かれており、ラテン系、ヒスパニック系の客が多く集まっていた。

(英語記事 Orlando shootings: 'No clear evidence' of IS link

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