失踪の香港書店店長 「歯ブラシ自殺監視下」にあったと

香港で記者会見する「銅鑼湾書店」の林栄基店長(16日) Image copyright AFP
Image caption 香港で記者会見する「銅鑼湾書店」の林栄基店長(16日)

香港で拉致され中国本土で8カ月にわたり拘束されていた「銅鑼湾書店」の林栄基店長(61)は16日夜、香港で会見し、自殺しないよう歯ブラシも自由に使えなかったなど、24時間の監視下にあった拘束状況を赤裸々に語った。

香港で中国政府に批判的な本を扱う「銅鑼湾書店」の店長など関係者5人が昨年10月以降、相次ぎ失踪。親会社の桂民海氏はまだ拘束中だ。事件は中国が香港の表現の自由に介入している証拠だと、香港で強い危機感をもって注目された。

林氏は昨年10月24日、恋人に会うためいつものように広東省に渡ったところ、深圳市で拘束されたという。翌朝、手錠と目隠しをされた状態で電車で東部の寧波市に連行され、そこで3月まで拘束され尋問された。

24時間監視される狭い独居房に監禁され、身体的な虐待は受けなかったが、恐怖で心理的に追い詰められていたという。

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Image caption 中国政府幹部についての本が並ぶ銅鑼湾書店(1月2日)

室内の家具はプラスチックのラップフィルムで覆われていた。自殺防止のためだろうと、林氏は言う。

「渡された歯ブラシはとても小さかった。ナイロンの紐がついていた。歯を磨く時は看守が紐の反対側を持っていたし、終わったら返さなくてはならなかった。歯ブラシを飲み込んで自殺を図るんじゃないかと、思われていたのだろう。前に誰かがやったに違いない」と林氏は話した。

3月に同僚3人が釈放され香港に送還されると、林氏は広東省韶関市に移動させられた。そこでは監視が少し緩やかになり、14日に香港に戻るまで過ごした

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Image caption 記者会見する林氏

特別チーム

書店関係者5人の拘束はいったい誰の指示によるものだったのか、議論が続いている。中国政府指導部トップだったという意見もあれば、中央政府に気に入られたい下級役人だったのではないかという推理まで、内容はバラバラだ。

習近平国家主席の私生活に関する暴露本の出版が目前だったからではないかという見方もある。

林氏は確かなことは分からないが、自分は政府の「特別捜査チーム」に拘束されていたと話した。動かすには中央政府幹部の承認が必要な政府横断的な特別精鋭組織で、その成立は文化大革命までさかのぼるという。当時は毛沢東と対立して失脚した劉少奇など、中国共産党幹部の捜査に使われたとされる。最近では、収賄罪などで無期懲役判決を受けた元最高指導部メンバーの周永康・前共産党政治局常務委員や、同様に失脚した重慶市トップだった薄熙来・中央政治局委員などの捜査を主導したと考えられている。

ハードディスク

林氏は、自分は釈放の条件として、巨流発行公司(マイティ・カレント)の本を購入した中国本土の人間の名前が収められた謎のハードディスクを香港で手に入れるよう指示されたと話した。

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3月に釈放された英国籍の李波氏も同じ条件を提示され、数百人の名前が入ったディスクを中国当局に渡したはずだと林氏は言う。

「そこで得た情報をもとに自分は尋問されたのだと、今は分かる」と林氏。「読者については決して話さなかった。巻き込まれてしまうのが心配だったし、そうすれば香港の人たちは私が裏切ったと思うはずだ。でも私はそんなことはしていない」。

密告者としてまた中国に戻るのではなく、釈放条件を無視して記者会見を開くことにしたと林氏は述べた。

「これは私だけの問題ではない。本屋の問題でもない。これはみんなの問題だ。香港の人にとって、ここが譲れない一線だ。やみくもな暴力に屈服するわけにはいかない」


失踪した香港の書店関係者

1. 呂波。2015年10月15日に深圳市で行方不明に。「マイティ・カレント・メディア」ゼネラル・マネージャー。

2. 張志平(32)。2015年10月15日に東莞市で所在確認後、行方不明に。「マイティ・カレント・メディア」ビジネス・マネージャー。

3. (51)。タイ滞在中の2015年10月17日に失踪。中国生まれのスウェーデン国籍。「マイティ・カレント・メディア」オーナー。

4. 林栄基(60)。2015年10月23日に香港で所在確認後、行方不明に。「銅鑼湾書店」店長。

5. 李波(65)。2015年12月30日に香港で失踪。「銅鑼湾書店」株主で英国籍。

(英語記事 HK missing bookseller was on 'toothbrush suicide watch'

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