殺害されたコックス英下院議員 哀悼の声相次ぐ

ジョー・コックス下院議員 Image copyright AP
Image caption ジョー・コックス下院議員

英北部ウエストヨークシャーで16日に殺害されたジョー・コックス下院議員(41歳、労働党)を哀悼する声が、英国だけでなくアメリカなど各国からも相次いでいる。議員は地元バーストルで有権者との対話集会を始める直前に、撃たれ、刺されて死亡した。警察は52歳男性を逮捕。現地情報では「トミー・メア」という名前の男性という。

議員の夫で政治活動家のブレンダン・コックス氏は、次のコメントを発表した。

「今日から私たちの人生の新しい一章が始まります。前より困難で、苦しく、喜びや愛情が前のようにはない暮らしです。ジョーの友人、家族、そして私は、これまでの人生のあらゆる一瞬を使って、子供たちを愛し、慈しみ、ジョーを殺した憎しみと戦っていきます。

ジョーはより良い世界を信じて、そのために毎日戦っていました。ほとんどの人なら疲れ果ててしまうようなエネルギーと、生きることへの熱意をもって。

こんなことになった今、彼女は何より2つのことを望んだはずです。ひとつには、大切な子供たちにたくさんの愛情が注がれること。そして二つ目には、彼女を殺した憎しみと戦うために私たちがみんな団結することです」

BBCラジオ・リーズの取材に答えていた地元有権者のひとりは、「私たちの生活を良くしようとしていたのに。どうして? 何度も会ったことがあります。悲しくてたまらない」と言いながら泣き崩れた。

ウエストヨークシャー警察のマーク・バーンズ=ウィリアムソン本部長は、「ジョーが当選して以来、よく一緒に仕事をしてきた。あれほど有能な若い女性が、地元選挙区で地域社会に奉仕している最中にこんなにも無意味に襲われ、殺害されてしまったことに、深いショックを受けている」と話した。

地元ハダースフィールド教区のジョナサン・ギブス主教は、「みんなしてジョーのことがものすごく好きで、尊敬していた。悲しみが深く深く染み入ってきている。ジョーと知り合えて光栄だった。今日はとても辛い日になる。自分たちの信仰に支えてもらう日になる」と話した。

議員が殺害された現場は警察に封鎖されているが、その近くには多くの人が16日から17日朝にかけて次々に花束を捧げている。現地で取材するクレア・マクドネル記者によると、花の香りがむせかえるほど強くたちこめているという。

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Image caption 事件のあったバーストルの聖ピーター教会の追悼式は満員だった
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Image caption ロンドンの議事堂前広場では急きょ、追悼の集会が開かれた

銃撃被害のギフォーズ元米議員も追悼

ロンドン・ウェストミンスターの議事堂前では、その場で急きょ、追悼の集会が開かれた。労働党のジェレミー・コービン党首も参加した。

コービン党首はこれに先立ち、コックス議員を「多くの人に深く愛されていた同僚」と呼び、その「恐ろしい殺害に」国中が衝撃を受けるはずだと述べた。さらに「ジョーは、私たちの民主主義の根幹をなす公務を果たしながら亡くなった。公職に選ばれた者として奉仕すべき人たちの声を聞き、その人たちを代表していた」と強調した。

「彼女がどのようにして、なぜ亡くなったのか、これから問いただし答えを見つけていくことになる。しかし今のところはひたすら、ジョーの夫ブレンダンと2人の幼い子供たちに思いを寄せるばかりだ。子供たちは母親を失ったまま大きくなるわけだが、自分たちの母親が何をして、何を達成して、何を掲げていたか、誇ることができる」

キャメロン首相は、コックス議員の襲撃を受けて「とても心配している」とツイートし、さらに訃報が伝わると「ジョー・コックスの死は悲劇だ。熱心で思いやり深い下院議員だった。夫ブレンダンと幼い2人の子供たちに思いを寄せている」とツイートした。

コックス議員と共に超党派の「シリア問題議会ワーキンググループ」を作った保守党のアンドリュー・ミッチェル議員は、英紙デイリー・テレグラフに寄稿し、「素晴らしい持って生まれた才能の塊だった」と称えた。「150センチ余りの小さい体にヨークシャー人ならではの不屈な決意がぎゅっと詰まって、なんとしてでも周りの人の力になるのだと揺るぎなかった」。

アメリカからは、民主党の大統領候補になる見通しのヒラリー・クリントン前国務長官が、議員の命が「短く断たれてしまったのは残酷で、ひどいことだ」と憤り、「憎しみと暴力に対して」英米が「共に戦うことはきわめて重要だ」と強調した。

さらに、2011年に同じように地元で有権者との対話集会中に銃撃され重体となったガブリエル・ギフォーズ元米下院議員はツイッターで、「とんでもないことです。若くて勇敢で一生懸命だった。新進気鋭の星、母親、そして妻だった」と悼んだ。

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Image caption 地元情報によると、逮捕された男は「トミー・メア」という

逮捕されたメア容疑者が、極右団体の同調者だったという情報もあるが、ウェストヨークシャー警察は今のところ、犯行の動機について言及していない。

事件の目撃者は、容疑者が「Britain first!(英国第一)」と叫んでいたとBBCに話しているが、左派白人政治家を憎んでいると公言する極右政党「Britain First(英国第一党)」はビデオで、事件を非難する声明を発表。自分たちは無関係だと主張した。

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Image caption 夫ブレンダンさんがツイートしたコックス議員の写真

(英語記事 Jo Cox death: Tributes paid in memory of killed Labour MP

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