トルコ軍、シリア領内のIS拠点を攻撃開始 戦車国境越え

Smoke rises over Jarablus, Syria, 24 August Image copyright AFP
Image caption 24日早朝、トルコとの国境に近いシリア・ジャラブラス上空に黒煙が立ち上った

トルコ軍は24日早朝、過激派勢力のいわゆる「イスラム国」(IS)戦闘員をシリア国境周辺から掃討するため、シリア領内のIS拠点に激しい砲撃を開始した。砲撃の後には戦車十数台が国境を越えてシリア領内に入った。

トルコ軍によると、大砲とロケットロンチャーがシリア・ジャラブラス地区に224発撃ちこんだほか、トルコ軍機が今年初めてシリア領内の標的を空爆した。トルコ・メディアは軍筋の話として、ジャラブラスの70の標的が砲撃で破壊され、12の標的が空爆で破壊されたと伝えている。

ロイター通信によると、砲撃は午前4時に始まった。AFP通信の写真記者によると、戦車が国境を越えたのに続き、トルコが支援するシリア反政府勢力を乗せたとみられる小型の軍用車両が数台、後に続いてシリアに入った。

トルコ首相府は文書で、「トルコ軍と国際有志国連合空軍は、アレッポ県ジャラブラス地区からテロ組織ダーエシュ(IS)を掃討するため、軍事作戦を開始した」と声明を発表した。

エルドアン大統領は首都アンカラで演説し、「午前4時(日本時間午前10時)をもってわが軍は、ダーエシュとクルド民主統一党(PYD)のテログループへの作戦を開始した」と表明。目標は国境付近の問題を「終わらせること」だと述べた。

トルコ軍機がシリア領内で空爆を実施するのは、昨年11月にロシア軍機を撃墜して以来初めて。ロシアとトルコ両政府は先月ようやく、首脳会談で関係修復を確認していた。

トルコ軍の特殊部隊は以前からシリア領内に入り、ジャラブラスからISを追い出す作戦を遂行していた。

砲撃開始に先立ち、ジャラブラスと国境を挟むトルコ側の町カルカミスは、ISの迫撃砲攻撃を受けて住民が避難している。

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Image caption シリア国境に向かうトルコ軍戦車(24日)
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Image caption シリア国境付近のトルコ軍戦車(24日)
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Image caption カルカミスの報道陣は、シリア反政府勢力を乗せているとみられる大型バスを国境近くで見つけた(24日)
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Image caption ジャラブラスから国境を挟んで向かい側にあるカラカミスの住民は避難した

24日にはバイデン米副大統領がトルコに到着。7月15日のクーデター未遂以降、トルコを訪れた西側政府首脳として最も地位が高い。

トルコの砲撃開始前に匿名の米政府筋はBBCに対して、作戦の「目的の一部は、クルド人勢力の前進の可能性に対して緩衝地帯を作ることでもある」と述べた。

「その作戦の可能性について協力しあっている。ジャラブラス作戦について、軍事顧問は先方と連絡をとりあっている。作戦開始となれば、空からの援護を提供するつもりだ」と米政府筋は話していた。

結婚式が攻撃されたガジアンテプでは

国境に近いガジアンテプの町では、トルコが支援するシリア反政府勢力1500人がジャラブラス作戦参加のために待機しているという。

ガジアンテプでは20日、結婚式会場で自爆攻撃があった。IS関係者によるものとみられている。

ジャラブラスをISから奪還すれば、ISはトルコ国境から後退することになる。

国境に近いガジアンテプで取材するBBCのマーク・ローウェン記者は、トルコはIS掃討後の空白にクルド人勢力が侵入してこないよう、国境地域のクルド人勢力も攻撃していると話す。国境付近のクルド人勢力が自治地区を作ってしまうと、そこを足掛かりにトルコ国内のクルド分離独立運動を勢いづけてしまうとトルコ政府は懸念しているという。

トルコ政府は、国境地帯からISを「完全に追い出す」と表明している。

トルコ軍は22日には、クルド人民兵組織「人民防衛隊」(YPG)の拠点も攻撃した。YPGによるジャラブラス制圧を阻止するためとみられる。

トルコ政府はYPGを、クルド人の自決権を求めて1980年代からトルコ内で活動する「クルディスタン労働者党」(PKK)の関連組織とみなしている。しかしISとの戦いにおいて、YPGは米国に支援され、シリア北部で支配地域を拡大している。

YPGは23日には、シリア北東部の町ハサケの大部分を掌握した。ハサケはシリア北部に残る数少ないシリア政府拠点のひとつ。

Image caption シリア北部の勢力分布図。灰色がクルド系、赤がIS、紫が反政府勢力、緑がシリア政府の支配地域

約5年間の内戦でシリア北部の足場をほとんど失ったシリア政府軍は、ジャラブラスの戦いには直接関わっていない。

トルコはかねてから、アサド大統領追放がシリア和平の条件だと主張しているが、ユルドゥルム首相は今週、アサド大統領も「当事者」のひとりで、移行政権で何らかの役割を果たすこともあり得ると認めた。

国境付近の戦闘とは別に、主要都市イスタンブールの対テロ警察は24日早朝、市内のIS容疑者の一斉摘発を開始した。トルコのドアン通信が伝えた。

(英語記事 Syria Jarablus: Turkey pounds IS positions ahead of ground operation

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