同性愛で有罪となった故人数千人を赦免 英政府

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Image caption 第2次世界大戦中にドイツの暗号解読に大きく貢献したアラン・チューリングは、死後59年たって赦免された

英政府は20日、すでに廃止された性犯罪法で有罪となったまま亡くなった数千人の同性愛男性について、赦免すると発表した。

同性愛がたとえ合意のもとでも犯罪行為だった時代の英国で有罪となり、亡くなった人たちを赦免することについて、法務省のサム・ジマ政務次官は「非常に重要」なことだと評価した。

「現在ならば何の罪にもならない行為で、かつて性犯罪で有罪となった人たちを赦免するのは、非常に重要だ」と政務次官は話した。

「アラン・チューリング法」と呼ばれる今回の措置は、第2次世界大戦中にドイツの暗号解読に大きく貢献した数学者アラン・チューリングを2013年に赦免した際、政府が公約したもの。すでに犯罪として扱われなくなっている性行為で有罪となった故人について、自動的に赦免する。

存命の人はすでに内務省を通じて犯罪歴を消去できるが、政府は存命の人の自動的な一律赦免には消極的だ。

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Image caption アラン・チューリングの遺族が今回の措置を求めて署名を集め、首相官邸に届けた

英国の性犯罪法は1967年にイングランドとウェールズで、21歳以上の男性同士の同性愛行為を合法化した。しかしスコットランドでは1980年、北アイルランドでは1982年になるまで、同性愛は違法だった。

アラン・チューリングは19歳男性と性的関係をもったとして、1952年に有罪となった。刑務所に収監される代わりに同性愛を「治療」するための化学療法を処分として受け入れたが、1954年には青酸カリで自殺した。

恩赦が認められたのは2013年のことだった。

恩赦の議員立法を貴族院に提出した自由民主党のシャーキー卿は、今回の「アラン・チューリング法」について、「連立政権時代に実現したアラン・チューリングの恩赦をもとに、さらに発展させることができたのは素晴らしいことだ」「英国中の何千もの家族にとって、大事な日になった」と歓迎した。


「赦免は受け入れない」

ジョージ・モンタギューさんは1974年に、男性との公序良俗違反行為で有罪となった。自分が求めているのは謝罪であって、赦免ではないと言う。

「赦免を受け入れるというのは、自分が有罪だったと認めることだ。私は何も悪いことはしていない。ただ、たまたま居合わせた時と場所がまずかっただけだ」とモンタギューさんはBBC番組「ニューズナイト」に話した。

「アラン・チューリングは私の英雄のひとりだ。その彼に恩赦を与えたのは間違っていると思う。何の罪を犯したというんだ? 私と同じで、男性しか愛することができないというそれだけだ」

「謝罪してもらえれば、私は赦免はいらない」とモンタギューさんは言い、そもそも同性愛を「はなはだしい公序良俗違反」扱いしていたことが間違いだと力説した。

「異性愛者は対象にならなかった。異性愛者はどこで何をしても、おとがめがなかった。建物の入り口だろうが廊下だろうが、車の後部座席だろうが。同性愛男性だけが対象とされた。こんなこと、正しいわけはないでしょう?」


別の議員立法

英国下院には現在、スコットランド国民党の議員による別の議員立法案が提出されており、21日に議論される予定。これは存命の人も全員、内務省で手続きせずに自動的に赦免されるという提案だが、ジマ政務次官は、現在でも有罪となる行為について赦免が与えられるおそれがあり、「被害者に不要な心配を与えることになる」と慎重な姿勢を示している。

(英語記事 Gay men convicted of now-abolished sex offences to be pardoned

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