酸性の熱水泉で溶けて男性死亡 米国立公園

ノリス・ガイザー盆地の熱水泉(5月12日) Image copyright AFP/Getty Images
Image caption ノリス・ガイザー盆地の熱水泉(5月12日)

米イエローストーン国立公園の熱水泉で男性が死亡した事故で、遺体は溶けて回収できなかったことが分かった。

地元局KULR8によると、死亡したオレゴン州ポートランド出身のコリン・スコットさん(23)は今年6月7日、きょうだいのセーブルさんと共にワイオミング州にあるノリス・ガイザー盆地の指定された歩行ルートを外れ、立ち入り禁止区域にある熱水泉に入った。セーブルさんが事故の様子を携帯電話で撮影していたという。

事故の詳細は、KULR8が情報公開法に基づき事故記録の開示を請求した結果、明らかになった。

イエローストーン国立公園で、熱水泉に入ることは法律で禁止されている。

国立公園のロラント・ベレス保安官はKULR8に、「この地域全体が活発な地熱地帯だ。立ち入り禁止区域が定められているのは、人の安全を守るため。きわめて苛烈な環境だからだ」と話した。

当局は、熱水の酸性度数と温度ゆえに遺体が夜の間に溶解したのだろうと見ている。

Image copyright Reuters
Image caption イエローストーン国立公園のワイオミング州内を流れるイエローストーン川。手つかずの雄大な景観で有名な公園だが、それだけに危険も伴うとベレス保安官は言う。

保安官によると、周囲には警告の看板などが立てられているものの、2人は温泉に入ろうとしてめぼしい場所を探していたという。

湯の具合を確かめようと手を伸ばしたコリンさんは、足を滑らせて泉の中に落ちてしまった。その様子をセーブルさんが撮影していた。

当局は、遺族への配慮から動画を公表していないし、内容についても公には説明していない。

捜索隊は同日、泉の中にある遺体を発見したが、日没と雷雨が迫っていたため、その日の内の回収は断念。翌日現場に戻ると、熱湯の中にもはや遺体を見つけられなかったという。

「きわめて短時間の間に、かなりの溶解があった」とベレス保安官は話した。

Image copyright National Park Service
Image caption 事故報告書のスクリーンショット。「遺体がもはやないため、回収作業は中止したと知らされました」、「熱水の酸性度数と温度ゆえに、遺体はおそらく夜の内に溶解したものと思われると、説明を受けました」という証言が記載されている。

事故現場は、イエローストーン国立公園の敷地内でも大量のマグマが継続的に供給される超巨大火山、あるいはホットスポットと呼ばれる地域の端にあった。

気候変動につながりかねない「破局的噴火」と呼ばれる大規模噴火が起きる可能性のある火山だが、警戒と観測を続ける米地質調査所(USGS)によると、イエローストーンで今後数千年の間にこうした破局的噴火が起きる可能性は極めて低いという。

(英語記事 Yellowstone Park accident victim dissolved in boiling acidic pool