【英EU離脱】EEA加盟は議会に決定権か 法廷で争われる可能性

ジェームズ・ランデール外交担当特派員

EUと英国の旗 Image copyright Reuters

英政府が欧州連合(EU)離脱に向けた準備を進めるなか、一部の法律家は、単一市場の枠組みの欧州経済地域(EEA)脱退はEU離脱と別個に決定されるべきだと主張し、司法審査の準備を進めている。BBCの取材で明らかになった。

英政府は、EU離脱は同時にEEA脱退も意味するとしているが、法律家らは、単一市場の枠組みを離れる決定は議会がすべきで、政府ではないと主張している。

法律家らは、EEA脱退を決める権限が議会にあるのか、それとも政府なのか裁判で争う構えだ。

議会に最終決定権があると裁判所が判断した場合、議会はEUとの新たな長期的貿易枠組みが成立しない限りEEA加盟は継続すると判断する可能性がある。

EEAは、非EU加盟国のノルウェーやアイスランド、リヒテンシュタインなどに単一市場へのアクセスを与えることを目的に、1994年1月に発効した。

すべてのEU加盟国はEEAに加盟しており、英国のEU離脱には自動的にEEA脱退も含まれると考えられてきた。

しかし、一部の法律家たちは、EEAからのEUの離脱は自動的なものではなく、EEA協定の127条を発動させて初めて離脱手続きを進めることができると指摘している。

法律論争は、英国のEEA参加はEU加盟国という立場とは独立したものかどうかに焦点が当てられている。

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Image caption ブレグジット(英国のEU離脱)担当相のデイビッド・デイビス氏

規制政策学会(RPI)の会長を務めるオックスフォード大学ハートフォード・コレッジのジョージ・ヤロー名誉教授は、「英国がEUを離れた場合にはEEA加盟も終了すると定めた条項は、EEA協定にはない」と指摘。「脱退の仕組みを定めるのは127条のみで、この発動が必要だ」と語った。

デブロー法律事務所の王室顧問弁護士ジョリオン・モーム氏は、「私の考えでは、EEAからの自動脱退はない。127条に脱退の仕組みが明示されているのだから、EU加盟国でなくなるなど、明文化されていない脱退の仕組みは暗に除外されている」と述べた。

単一市場に賛成しているシンクタンク「ブリティッシュ・インフルエンス」はブレグジット(英国のEU離脱)担当相のデイビッド・デイビス氏に対し書簡を送り、政府のEEAに関する立場に関する正式な司法審査を求めると通知した。

同シンクタンクは、明確な法判断を得ない場合は脱法行為に手を染めることになる、と政府に警告した。

EU離脱をめぐるこのほかの動き

・ブレグジット後に特定の経済分野で、EUと特別な貿易協定を結ばなないよう求める運動が行われている。

・テリーザ・メイ首相と会談予定のポーランドのベアタ・シドゥウォ首相は英紙デイリー・テレグラフに寄稿し、ブレグジットに建設的に協力するとしながらも、英国とEUの協議では妥協が必要になると警告した。

・EU域内に居住する英国人と英国内に住むEU市民の両方の権利を守る合意を求めるドナルド・トゥスクEU大統領への書簡に81人の上下院議員が署名。

EEAによって、親EU派には、単一市場に留まるために法論争や議会での議論を展開するもうひとつの道が生じた格好だ。

少なくとも、欧州司法裁判所で法廷論争が長い間続くことを意味し、EU基本条約50条に基づく交渉が長引く可能性がある。

裁判所がEEA協定の127条の発動は必要ないと判断した場合、議会の同意が必要かどうかをめぐる疑問が残る。

政府はすでに、議会に50条の発動についての決定権があるかどうか法廷で争っている

もしEEA協定の127条の決定権が議会にあるとされれば、かろうじて議会の過半を占める与党・保守党が多数派にならず、ブレグジット後もEEAに留まると決定する可能性もある。

この場合、離脱派が激しく反発するとみられる。

しかし親EU派は、今年6月の国民投票はEU離脱を問うもので、単一市場は含まれないため、議員らは自分たちが決めてよいと感じるだろうと主張する。

民主的な手続きを損なう

政府の広報官は、英国がEEAに参加しているのはEUに加盟しているためで、ブレグジット後は脱退すると強調する。同広報官は、英国とEUの将来の関係は「協議の対象」だと述べた上で、「国民投票の結果は尊重されるべきで、来年3月末までには50条を発動する」とした。

保守党議員でEU離脱派のドミニク・ラーブ氏は、「法律家たちは、人々の意思を邪魔する新しい法律的な策略を練るよりも、ブレグジットで成功するために我々と協力するべきだ」と語った。

「国民の意思は示されている。民主的な手続きを損なう新たな障害物を探すのではなく、結果を尊重し、前に進むべきだ」

(英語記事 Brexit: Legal battle over UK's single market membership

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