【米政権交代】ゴア元米副大統領、トランプ氏と気候変動で意見交換

ゴア氏は「トランプ・タワー」での会談に1人で臨んだ Image copyright Getty Images
Image caption ゴア氏は「トランプ・タワー」での会談に1人で臨んだ

アル・ゴア元米副大統領は5日、ドナルド・トランプ次期大統領や娘のイバンカさんと会い、気候変動問題について意見交換した。

ニューヨーク市内の「トランプ・タワー」で会談を終えたゴア氏は、「意見が一致する部分を真摯に探した」と述べた。

トランプ氏は選挙運動中、人間の活動が気候変動を起こしているというのは、中国が押し付けている作り話だと語っていた。

次期政権でイバンカさんが果たす役割は明確になっていないものの、イバンカさんは気候変動を自分の主要テーマのひとつにしたいようだと言われている。

トランプ氏は、世界で展開する事業の運営を、イバンカさんを含む子どもたちに委ねると表明している。

一方で、トランプ氏の子どものうち成人した3人は全員、政権移行チームに加わっている。

ゴア氏は、トランプ氏との会談の前にイバンカさんと面会したと明らかにし、「かなりの時間がトランプ次期大統領との会談に割かれた。非常に興味深い会話だった。これからも続くだろう」と語った。

2001年にクリントン政権での任期を終えたゴア氏は、気候変動対策について活発に発言するようになった。2006年には、気候変動問題に対する認識を世界に広めたと評価されるドキュメンタリー映画『不都合な真実』に出演した。

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Image caption 先月の日本の安倍晋三首相との会談にはイバンカさんも同席した

トランプ氏の政権移行チームの中で、イバンカさんは他の顧問たちよりも進歩的な意見を持つとされる。

大統領選で大方の予想を裏切ってトランプ氏が勝利した後、ニューヨーク市民らは、「親愛なるイバンカさんへ」と題したメッセージを、ソーシャルメディアに投稿したり、イバンカさんの夫ジャレッド・クシュナーさんが所有する建物の前に掲げたりしている。

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Image caption トランプ・タワーの前で「気候変動は本当だ」と書かれたボディーペイントを見せる人

メッセージの多くは、国連本部で今年署名された「パリ協定」を含む気候変動対策をトランプ氏が後退させないよう、イバンカさんに訴える内容だ。

イバンカさんが環境問題に関心があるとの報道に、環境保護団体は慎重な態度を示している。

グリーンピースの広報担当、トラビス・ニコルズ氏はニュースサイト「エコウォッチ」に対し、「トランプ氏が大統領選挙に出馬した当初から、イバンカさんは父親のとんでもない主張を和らげる役割を果たしていて、これもまたそうでないとは言い切れない」と語った。

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Image caption 気候変動がより明確になるにつれ異常気象が増えるのではないかと専門家は懸念している

イバンカさんと夫クシュナーさんはワシントン市内で住まいを探していると伝えられており、トランプ氏の大統領就任後に、イバンカさんが何らかの政治的役職に就くとの憶測が出ている。

トランプ氏は5日に、共和党の予備選でライバル候補だった元外科医のベン・カーソン氏を住宅都市開発長官に指名すると発表している。

政府高官としての経験がないカーソン氏は、現時点で次期政権の唯一の黒人閣僚候補。

トランプ氏の事業経営をめぐっては、大統領就任後に利益相反が生じると激しく批判されている。

今月15日に予定される演説について、トランプ氏はツイッターで、「国を治めることに集中するため、私の素晴らしい事業から完全に離れる」方策について明らかにすると述べた。


<解説>なぜゴア氏が? アンソニー・ザーチャー記者、BBCニュース(ワシントン)

大統領選後にトランプ氏がゴア元副大統領と会談するなど、いったいどれだけの人が予想していただろう。

政権移行過程の最も奇妙な出来事……ではないかもしれないが(その栄誉は、トランプ・タワーのエレベーターに「裸のカウボーイ」が現れた時に与えるとして)、異例の展開には違いない。

イバンカさんは、気候変動を自らの「主要な取り組み」のひとつにしたいと真剣に考えているようだ。そして、彼女が耳を貸せば、父親の耳にもすぐ入れてもらえる。

オバマ大統領の気候変動対策を継続するため、ゴア氏はできる限りのことをしたと言えるだろう。しかし、これで何か変わるのだろうか?

トランプ氏は、次期政権のメンバーに保守派のイデオローグを集めている。加えて、環境関連の役職には、現政権の政策に批判的な人物の名前が多く取りざたされている。

しかし、もしイバンカさんが気候変動問題に取り組み、ゴア氏が言うところの「非常に興味深い会話」が続くなら、トランプ氏はどのくらい共和党の党是を乗り越えていくつもりなのかを測る、試金石になるかもしれない。

どちらの党にもしがらみがなく、好きなように取引ができる、自由契約選手のような大統領――これこそ、トランプ氏の支持者が求めていたものであると同時に、ワシントンのインサイダーが恐れていることなのかもしれない。


(英語記事 Al Gore meets Donald Trump and Ivanka for climate talks

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