国連安保理、イスラエル入植地非難決議を採択 米国棄権

  • 2016年12月24日
Earth moving equipment stands in the disputed Israeli "settlement" of Ramat Shlomo, 23 December 2016 Image copyright EPA
Image caption 国連安保理決議はイスラエルに、ヨルダン川西岸と東エルサレムでの入植地建設を停止するよう求めている。写真は、建設が問題視されているラマトシュロモのイスラエル「入植地」(23日)

国連安全保障理事会は23日、ヨルダン川西岸と東エルサレムでイスラエルが進める入植地建設を違法だと非難し、建設停止を求める決議案を採択した。イスラエル非難決議案では拒否権を行使するのが慣例となっている米国は、投票を棄権し、決議成立を容認するという異例の対応に出た。前日には、イスラエルを支持するドナルド・トランプ次期米大統領が介入し、採決が先送りされていた。

イスラエルのネタニヤフ首相は安保理決議に強く反発し、従うつもりはないと表明。一方でパレスチナ自治政府のアッバス議長の報道官は、安保理決議は「イスラエルの政策にとって大打撃」になると評価した。

イスラエルによる入植地建設を非難する決議案は当初、エジプトが取りまとめ、安保理に提出した。オバマ政権は、拒否権行使の慣例を破り、棄権して可決を容認する意向を示していた。このため、ネタニヤフ首相がトランプ次期大統領に働きかけ、次いでトランプ氏がエジプトのシシ大統領と電話会談。この結果、22日に予定されていた採決の直前に、エジプトが決議案を撤回した。

しかし共同提案国となっていたマレーシア、ニュージーランド、セネガル、ベネズエラ各国が再提出し、23日に賛成14、反対0、棄権1で可決された。現在の安保理非常任理事国10カ国は、アンゴラ、エジプト、日本、マレーシア、ニュージーランド、セネガル、スペイン、ウクライナ、ウルグアイ、ベネズエラ。

ヨルダン川西岸地区などのイスラエルの入植地建設は、イスラエルとパレスチナの間の和平成立を阻む最大級の障壁とみなされている。

1967年に西岸と東エルサレムを占拠して以来、イスラエルは約140カ所に入植地を建設。約50万人のイスラエル人が住んでいる。入植地は国際法の上では不法占拠にあたるとされるが、イスラエルはこの判断を受け入れていない。

イスラエルは反発

イスラエルのネタニヤフ首相は、「国連のこの恥ずべき反イスラエル決議を、イスラエルは拒否する。その内容に従うつもりはない」と反発。「シリアの50万人虐殺に何もしない安保理が、中東唯一の真の民主国家イスラエルをよってたかって非難し、西の壁を『占領地域』と呼ぶのは、恥ずべきことだ」と批判した。

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Image caption ネタニヤフ氏とオバマ氏の関係は複雑で、決して友好的とは言えなかった。写真は2015年11月。

ネタニヤフ首相は、「国連でイスラエルが集中砲火を浴びても(オバマ政権は)守ってくれなかっただけでなく、舞台裏で(反イスラエル勢力と)画策した」とオバマ氏を非難。むしろトランプ次期大統領との協力関係を楽しみにしていると付け加えた。

イスラエル政府はさらに、ニュージーランドとセネガルへの大使を協議のため帰国させ、セネガルへの開発援助をすべて中止すると発表した。イスラエルは、マレーシアおよびベネズエラとの間には正式な国交がない。

双方が「不都合な真実を」

パレスチナ自治政府のアッバス議長の報道官は、「安保理決議はイスラエルの政策への大打撃だ。国際社会が一致して入植を非難し、(イスラエル・パレスチナの共存を前提とした)2国家解決を強く支持している証左となった」と評価した。

自治政府のリヤド・マンスール国連大使は、「安保理の対応は、もっと早く行われるべきだったとは言え、必要で重要だ」と述べた。

大使はさらに、イスラエルの入植地は「平和の大きな障害で、2国家解決の実用性を激しく損なうものだ」と批判した。

米国のサマンサ・パワー国連大使は、イスラエル非難決議は入植地の拡大が加速化しているという「現場の現実」を反映したものだと評価。「入植地問題の悪化はあまりにひどく、2国家解決を脅かしている」と非難した。

パワー大使は、入植地拡大を支持するネタニヤフ首相を批判し、「入植地拡大を支持しながら同時に、中東和平を実現する2国家解決を支持することはできない」と指摘。ただし、決議案は入植地問題だけを「限定的に」問題視する内容だったため、米国として賛成はしなかったと説明した。

大使はさらに、仮に入植地をすべて解体したとしても、和平実現にはイスラエルとパレスチナの双方が「不都合な真実」を認めて「困難な選択」をしなくてはならないと指摘した。

トランプ氏はまたツイート

1月20日に米国大統領となるトランプ氏は、非難決議案可決の後に「国連については、1月20日以降に事態は変わる」とツイートした

22日の採決に介入したトランプ氏はそれに先立ち非難決議の否決を呼びかける声明を発表。「イスラエルとパレスチナの和平は、当事者間の直接交渉なくしては実現しない。国連が条件を押し付けるのでは、イスラエルの交渉が不利になり、すべてのイスラエル人にとって極めて不公平な状態になるだけだ」と表明し、イスラエル擁護の態度を鮮明にしていた。


<解説>米国の政策転換――バーバラ・プレット・アッシャー記者

今後どのような和平合意が成立したとしても、イスラエルが入植地建設を拡大し続ける限り、パレスチナ国家の存続にとって脅威となる。これが国際社会の大方の総意で、安保理決議はそれを反映したものだ。

オバマ政権もこの総意に強く賛成している。だからこそ、安保理のイスラエル非難決議案に米国は拒否権を行使するという長年の慣例を、ここにきて反転させたのだ。

中東問題の2国家解決について、オバマ大統領は任期満了前にどのように立場を表明したらいいのか、そもそも何か立場を表明すべきなのか、政権内では何カ月も前から議論が重ねられてきた。

しかし後任のドナルド・トランプ氏は、イスラエル政府の意向を強力に支持するつもりだと、立場を鮮明にしている。そのためには採決前にオバマ氏に拒否権行使を公然と呼びかけるなど、きわめて異例の介入まで辞さないつもりだと、今回明らかになった。


(英語記事 Israel settlements: Netanyahu snubs 'shameful' UN vote

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