米下院共和党、倫理局の権限縮小を撤回 トランプ氏も批判

倫理局の権限縮小案はボブ・グッドラット議員(写真左)が提出した Image copyright AP
Image caption 倫理局の権限縮小案はボブ・グッドラット議員(写真左)が提出した

米下院共和党は3日、議員の不正行為を調査する議会倫理局の独立性を奪い、権限を事実上弱める方針を撤回した。多くの人に唐突と受け止められた権限縮小には、世論が反発。ドナルド・トランプ次期大統領も批判していた。

トランプ氏はツイッターで、「税制改革や医療保険制度など、ほかにもっと重要なことがたくさんある!」とコメントした。

2日の非公開会合で決まった議会倫理局の権限縮小が、翌日の緊急会議で撤回されたことは、招集されたばかりの第115連邦議会に影を落とす格好となった。

議会倫理局は、相次いだ議員スキャンダルを受け2008年に設置された。下院議員の数人は有罪判決を受け禁固刑に処されていた。

トランプ氏は選挙期間中、ワシントンが既得権益や汚職にまみれていると批判。「沼をさらえ(Drain the Swamp)」をスローガンの1つに、頭文字をとった「#DTS」をツイッターのハッシュタグとして多用していた。今回の倫理局をめぐる動きを批判する投稿にも「#DTS」を末尾に付けた。

下院民主党を率いるナンシー・ペロシ院内総務は激しく共和党を批判。「共和党は『沼をさらえ』と主張するが、議会招集の前夜には、自分たちの行動に対する唯一の独立倫理監督機能を排除した」と痛罵し、「共和党が多数を占める下院で最初の犠牲者になったのは倫理だったようだ」と語った。

倫理局をめぐる動きが報道されると、インターネットでのキーワード検索をデータ化する「グーグルトレンド」で、「自分の選挙区の議員は誰か」という検索が急上昇した。

共和党のリンジー・グレアム上院議員(サウスカロライナ州選出)は、倫理局の権限を縮小しようとした下院議員らを批判し、フォックス・ラジオのインタビューで「こんなバカげた話は聞いたことがない」と話した。

共和党のポール・ライアン下院議長も権限縮小に反対していたが、3日には共和党議員たちの動きを擁護。「下院は、議員に最も厳しい倫理基準を要求している。国民への説明責任を議会が果たすため、倫理局が今後も独立して機能すると、明確にしておきたい」と述べた。

ライアン氏は、倫理局をめぐる変更は、超党派的な支持が得られるよう努力した上で、進めるべきだと主張していた。ライアン氏は、3日に下院議長に再任された。

しかし、提案はバージニア州選出のボブ・グッドラット下院議員によって提出された。同議員はツイッターで、変更が倫理局を強化するものだと主張する論説を投稿した。

これに対してソーシャルメディアでは、グッドラット議員に対する激しい批判が集まった。あるツイッター・ユーザーは、グッドラット議員の主張について、「全くの誤りだ」、「あなたはあまりに不誠実で、開いた口がふさがらない。恥を知るべき」とコメントした。

また別のユーザーは、「あなたは大嘘つきです。どうして夜中にこっそり集まったんですか」とツイート。別の人は「あなたは守ると宣誓した憲法に対する、裏切り者だ」とツイートした。

トランプ氏は3日午前に、倫理局をめぐる動きを批判するツイートを投稿したほか、さまざまなテーマについてコメントし、北朝鮮による核開発への警告のほか、オバマ政権下で導入された健康保険制度やゼネラル・モーターズ(GM)のメキシコでの生産活動を批判した。GMはトランプ氏の批判に反論している。

トランプ氏は、次期大統領になってから初めての記者会見を来週開くと明らかにした。また、「いわゆる『ロシアのハッキング』に関する」、情報当局からの説明は6日に延期されたと述べた。

トランプ氏はさらに、選挙期間中にロシアの指導部が関与するサイバー攻撃があったとする米情報機関の判断について「とても変だ!」とコメントした。


下院共和党が提案した内容

・倫理局の独立性を剥奪(はくだつ)。

・議員による不法行為の判断は下院の投票で決める。

・倫理局が匿名での情報提供を受けることを禁止。

・議員に対する不法行為の指摘は公で行わないことに変更。


(英語記事 New Republican Congress reverses ethics move after outcry

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