いけすの網切られ外に出たイルカ、3頭戻り 和歌山県太地町

  • 2017年01月5日
Dolphins in Germany Image copyright AP
Image caption 網を切られたいけすから出たイルカ4頭のうち、3頭は戻ってきた。写真はドイツのイルカ。

和歌山県太地町のレジャー施設で4日、いけすの網が切られ、4頭が外に出る事件があった。施設によると4頭のうち3頭は、同日中に自力でいけすの中に戻ったという。太地町で恒例のイルカ追い込み漁は、その是非が国際的に議論されている。

民間観光施設「ドルフィンベェイス」は「イルカと一緒に泳いだり遊んだりできる」体験プログラムを提供する。沖合約30メートルに浮かぶ10メートル四方のいけす9つのうち2つで、網が縦に切られ、イルカ4頭が外に出ているのをスタッフが4日朝に発見し、警察に通報した。

新宮署によると、網が切られた2つのいけすにはそれぞれ、4頭と3頭のイルカがおり、そのうち3頭と1頭の合計4頭がいけすの外に出た。犯人の手掛かりは得られていないという。

イルカは3~5歳のバンドウイルカで、半年ほど前からいけすで調教されていたという。

施設は公式ブログに、「1月4日の朝から4頭ともドルフィン・べェイスのイケスの周りに離れずにおりました。その内、3頭は既に昨日の内にイケス内に自分達で戻ってきています」と書いている。

「ドルフィンベェイス」はブログで、「何の知識もなく、楽観的で利己的で無責任な行為で、軽々しくイルカ達の命を危険にさらしたこの行為にとても怒りを感じます」と表明。

「今回のこの悪質な行為に対して、我々は激しい憤りを感じています。なぜならば、イルカ達が事故で死んでいてもおかしくない事をしているからです」

「一般の方は、網から出したらイルカ達は遠くまで泳いでいくと思っているようですが、違います。生活を共にしているイルカ達は、外海に出てもイケスの周りから離れません。仲間のもとから離れません」と書いている。

まだ外に残る1頭は、いけすの近くを泳いでおり、「ドルフィンベェイス」はブログで、「近くにはいますが、初めて見るイケスの入り口を怖がって通れない状態です」と懸念を示している。

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Image caption 国際的な批判をよそに、太地町ではイルカ漁が長年続いてきた。写真は太地町の捕鯨船。

太地町では2010年9月にも、イルカのいけすの網が切られる事件があった。現場にはナイフが残され、オランダ拠点の環境保護団体「ブラックフィッシュ」が後にインターネットで犯行声明を出した。

新宮署はBBCに対して、今回は現場に遺留物はなく、犯行声明もまだ出ていないと話した。

太地町のイルカ漁を描いた映画「ザ・コーヴ」に主演した米国の環境保護活動家リック・オバリー氏が主催する「ドルフィン・プロジェクト」は、今回の事件について、「イルカを捕らわれた状態にしておくことには反対だが、不法行為は容認しない」と声明を出した。

太地町が面する森浦湾での行動を監視する「ドルフィン・プロジェクト」は、「私たちの監視活動は日本の法律を完全に順守している。私たちは日本と世界の人たちのために太地町のイルカ追い込み漁の様子を記録している。恐ろしい捕獲方法といまだに続く惨殺の様子を含めて」と付け足している。

毎年恒例の議論

毎年9月から3月にかけて行われる太地町のイルカ追い込み漁は、2009年公開でアカデミー賞を受賞した長編ドキュメンタリー映画「ザ・コーヴ」を通じて、国際的に注目されるようになった。

地元漁師が狭い入り江にイルカやゴンドウクジラを追い込み、捕獲する。食肉に加工するため刃物や金属で仕留めたり、水族館に販売したりする。

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Image caption 米人気テレビドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」の出演者、英女優メイジー・ウィリアムズさんが昨年12月に太地町を訪れ、イルカ追い込み漁に抗議した

日本が毎年続けるイルカ漁や捕鯨は、国際的に非難され続けている。

日本動物園水族館協会(JAZA)は2015年、イルカの捕獲方法をめぐり世界動物園水族館協会(WAZA)から改善・除名通告を受けたため、追い込み漁で捕獲されたイルカを国内の水族館で受け入れない方針を決定した。

これまでに環境保護団体以外にも、キャロライン・ケネディ駐日米国大使とティモシー・ヒッチンズ駐日英国大使のほか、多くの著名人が追い込み漁の慣習は「残酷」だと非難している。

(英語記事 Dolphins escape from Taiji facility in Japan

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