ガンビア大統領、任期切れも退任拒否 新大統領は隣国で宣誓

宣誓式を行うアダマ・バロウ氏 Image copyright RTS
Image caption 宣誓式を行うアダマ・バロウ氏

西アフリカのガンビアで、昨年12月の選挙で敗れたヤヤ・ジャメ大統領が任期満了後も退任を拒否している問題で、アダマ・バロウ新大統領は19日、隣国セネガルの首都ダカールにあるガンビア大使館で宣誓式を行った。

新大統領の就任は国際的な承認を受けており、15カ国で構成される西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)は、ジャメ氏に対し20日正午までに退任するよう要求している。退任しない場合には、武力行使もいとわないとしている。

国連の安全保障理事会はECOWASへの支持を表明したが、政治的解決が優先されるべきだとしている。

一方、ガンビアの議会はジャメ氏を支持している。

19日のジャメ大統領とモーリタニアのモハメド・ウルド・アブドルアジズ大統領との協議が不調に終わったことを受けて、ギニアのアルファ・コンデ大統領が仲介する新たな調停協議が20日正午までに予定されている。

依然としてセネガルに滞在するバロウ新大統領は、軍事行動が終わるまでガンビアの首都バンジュールには戻らないとしている。

ナイジェリアは19日にガンビアに偵察機を派遣し、軍事攻撃をする準備があると警告した。

ガンビアは小国ながら、海岸のリゾートには多くの欧州観光客が訪れる。ガンビアの政情はここ数週間不安定になっていた。

セネガルには数千人のガンビア人が避難しており、休暇を短縮して帰国する観光客も相次いだ。

どのくらい危険なのか

厳重に武装し、戦闘準備の整ったセネガル軍の部隊がガンビア国境に向かうのが目撃されている。ナイジェリアの空軍と海軍が応援しているほか、ガーナからも軍隊が派遣された。

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Image caption セネガル軍の兵士ら(資料写真)

セネガル陸軍の広報担当者アブドゥ・ヌディアエ大佐はBBCに対し、部隊は抵抗には遭ってはおらず、バンジュールに向かっていると述べた。

ヌディアエ大佐は、「すでに戦争状態だ。もし抵抗に遭えば、戦う。もし前大統領のために戦う人々がいれば、彼らと戦う。主に目指しているのは、民主主義を取り戻し、選挙で選ばれた新たな大統領が政権を掌握することだ」と語った。

一方、ガンビア陸軍のトップ、オウスマン・バドジエ氏は、対立は「政治的」なものだとして、セネガル軍とは戦わないと述べた。バドジエ氏は、「私の兵士たちを愛している」とし、「ばからしい戦いには私の兵士を関わらせない」と語った。

バロウ新大統領は就任演説で、ガンビア軍の全ての兵士が兵舎に留まるよう命令し、不法に武装している場合には「反乱軍」とみなすと述べた。

ジャメ氏はなぜ退任を拒否しているのか

ジャメ氏は当初、選挙結果を受け入れるとしていたが、態度を変え退任を拒否した。選挙手続きに不正があったとして90日間の非常事態を宣言した。

選挙管理委員会は初期の結果に一部誤りがあったと認めたが、選挙結果を変えるようなものではないとしている。

ジャメ氏は、選挙のやり直しがあるまでは退任しないとしている。大統領に留まれば、任期中の権力乱用疑惑に対する訴追も逃れられる。

退任圧力はどの程度強いのか

ECOWASは、海岸線を除くすべてのガンビア国境に接するセネガルに、同国への介入を主導するよう要請した。

ECOWASの戦略は国連安保理の承認を受けている。安保理は、バロウ氏への「完全な支持」とジャメ氏の退任を求める決議を全会一致で可決した。

ロンドンの英王立国際問題研究所(チャタムハウス)でアフリカを担当するアレックス・バインズ氏はAP通信に対して、「状況は急速に進展すると思う」と述べた。

「ジャメ氏は90日以上権力に留まることはできないだろう。あと数日は、孤立化しながらも、政権にしがみついていられるかもしれない。アダマ・バロウ氏の就任で、彼に従う勢力は、小さなしずくから洪水のようになるだろう」

Image caption ガンビア(Gambia)の位置

現地の様子――トマ・フェシー記者(バンジュール、がンビア)

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Image caption バンジュール市内でバロウ氏の就任宣誓を祝う人々

ガンビアの人々は、視聴が可能なセネガルのテレビ局が生放送するアダマ・バロウ氏の宣誓式を見守った。

街中で就任を祝う人は少なかった。おそるおそるバロウ氏の名前を繰り返し唱え、通り過ぎる車に手を降った。依然として緊張が高まっていて、人々は政治危機が終わっていないのをよく認識している。

バンジュールはゴーストタウンのようになっている。首都郊外にあるいつもは賑わうセレクンダ大通りには人影はない。多くの人々は、ヤヤ・ジャメ氏がそうであるように軍の行動も予測不可能だと話す。

しかし、治安部隊が支持する政権を変更するかも知れない兆候があった。警察署前に立っていた5人の警察官はリラックスしていて明らかに機嫌がよさそうだった。彼らに話しかけると、その中の一人が「すべては順調だ。変化は良いことだ」と笑顔で応じてきた。


(英語記事 Gambia crisis: Senegal sends in troops to back elected leader

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