米連邦裁判事、トランプ政権の入国制限差し止めを命令 政府は上訴

米国各地の空港では入国制限への抗議が続いている Image copyright AP
Image caption 米国各地の空港では入国制限への抗議が続いている

米シアトルの連邦裁判所は3日、トランプ政権による特定7カ国からの入国制限命令について、一時的差し止めを全国的に命令した。これに対して司法省は4日、上訴した。

ワシントン州政府とミネソタ州政府は、イスラム教徒の多い特定7カ国からの移民・難民入国を一時停止したドナルド・トランプ大統領の命令について、信仰を事由に差別する命令で違法で違憲だと連邦裁に提訴。連邦政府は、各州政府に大統領令の合法性を問う原告適格はないと主張していたが、シアトルにある連邦裁判所のジェイムズ・ロバート裁判長は、連邦政府の訴えを退け、州政府の訴えに基づき、大統領令の執行を一時的に差し止めるよう命令した。

これまでに複数の州司法長官が、大統領は違憲だと批判するほか、複数の連邦裁判所判事たちが入国者の強制送還を一時的に差し止めているが、入国制限の全国的な差し止めを連邦裁判所が命令するのはこれが初めて。

裁判所命令を受けて、国務省はビザ取り消しを撤回すると発表。国土安全保障省は職員に、裁判所命令に従うよう指示した。入管当局は航空各社に、大統領令で米国入国が禁止されたものの適切な入国許可証をもつ旅行者の搭乗を認めるよう指示。カタール航空やエールフランス、ルフトハンザなどは指示に従う方針を示している。

シアトル連邦裁の判断を受けてホワイトハウスは、大統領令は「合法で適切」なものだと文書で反論。「大統領令は国土を守るためのもので、大統領には米国民を守る憲法上の権限と責任がある」と表明し、可能な限り速やかに、判決の執行中止を命令するよう司法省に指示したと表明。司法省は4日になって上訴した。上訴の原告はトランプ大統領のほか、ジョン・ケリー国土安全保障長官、レックス・ティラーソン国務長官になっている。

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Image caption 入国制限の差し止めに抗議するトランプ氏の支持者たち。プラカードには「アメリカをまた安全にしよう!」「7カ国はオバマ政権が選んだ」「アメリカはついに目覚めた」「トランプはアメリカをまた偉大にする」「ラティーノはトランプを支持する」などと書いてある(4日、ロサンゼルス国際空港で)

トランプ大統領は、自分の命令は米国を守るためのもので、「最も堅固で安全な政策」が実施されればビザは再び発行するし、ムスリム(イスラム教徒)のみを対象にした禁止命令ではないと主張している。

上訴に先立ち大統領はツイッターで、ロバート判事への怒りをあらわにした。「このいわゆる裁判官は要するに、この国の法執行権を取り上げた。馬鹿げてるし、覆される!」とツイートしたほか、「国土安全保障の渡航禁止を裁判官が停止させられて、誰でも、悪い目的を持った連中でも、米国に来れるなんて、この国はいったいどうなってるんだ」とも書いた

ワシントン州とミネソタ州に加え、ほかにもバージニア、ニューヨーク、マサチューセッツ、ミシガンの各州政府が、大統領令の合法性に異議を唱えて提訴している。

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「ああどうしよう……」 米国のムスリム学生たち
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国を守るため必要なら トランプ氏の入国制限に賛成する人たち

裁判所命令によってできた機会をとらえて、急ぎ米国に入国した人たちもいる。AP通信によると、米国永住権をもつイエメン国籍のアンマル・アルジャイジャルさんは、トルコにいる婚約者のもとで3カ月滞在すごす予定だったのを、この機にただちに米国に帰国。このために1000ドル(約11万円)払ったという。

一方で、方針変更にも関わらずアフリカ東部ジブチでは対象7カ国の移民はいずれも、米国行き便への搭乗が認められなかったと移民専門弁護士はAP通信に対して話した。

トランプ大統領が1月末に署名した入国制限命令を受けて、米国各地の空港では混乱と抗議が続いている。政権は、ビザを撤回されたのは百人余りに過ぎないと説明しているが、国務省は3日、6万人近くがビザを失ったと明らかにした。

大統領令は、政府の難民受け入れプログラムを120日間停止するほか、シリア難民の受け入れを無期限停止すると命令。大統領令のもとでは、イラク、シリア、イラン、リビア、ソマリア、スーダン、イエメンから米国を訪れる人は90日間、ビザが認められない。

(英語記事 Trump appeal against Seattle judge's travel ban ruling

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