米の強制送還政策「受け入れない」=メキシコ外相

「壁にノー。移民たちと人権の尊重を」と書かれた紙を掲げるデモ参加者(今月12日、メキシコ・モンテレイで) Image copyright Reuters
Image caption 「壁にノー。移民たちと人権の尊重を」と書かれた紙を掲げるデモ参加者(今月12日、メキシコ・モンテレイで)

メキシコのルイス・ビデガライ外相は22日、米トランプ政権が今週発表した不法移民対策の新指針で強制送還の対象を不法移民のほぼ全員に広げたことを強く非難し、送還者は受け入れないと述べた。

新指針には、1952年の移民国籍法にある条項を適用することで、メキシコ国境を越えて米国に入った不法滞在者を、国籍にかかわらずメキシコに強制送還することが含まれる。

ビデガライ外相は、「一つの政府の一方的な決定を、別の政府に押し付けるようなことは容認できない」と語った。

メキシコが外国籍の送還者も受け入れるよう米国が強制できるのかは明確でない。

両国の対立が近年あまりなかったほど深刻になるなかで、米国のレックス・ティラーソン国務長官とケリー国土安全保障長官が22日からメキシコを訪問している。両氏は、エンリケ・ペニャニエト大統領らと会談する予定。

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Image caption ケリー長官(写真右)は自ら署名した不法移民対策に関する新指針に強く反対する人たちと協議に臨む

何が変わったのか

オバマ前政権は、重犯罪者の強制送還に力を入れていたが、新指針は、犯罪のほか、身元を偽ったり、公共の安全を脅かすとみなされたり、「公的な福祉をめぐる制度の悪用」があった場合など、幅広い適用となっており、ほぼ全ての不法移民が対象になる。

さらに、税関・国境警備局(CBP)や移民税関捜査局(ICE)は即時に強制送還ができるようになる。

これまでは、入国14日以内で国境から100マイル(約160キロ)以内にいた場合に即時の強制送還が可能だった。新指針では、米国のどこにいても、入国から2年以上たっていることを証明できなければ、即時送還の対象になる。

米国には約1100万人の不法移民がいると推計されており、その多くはメキシコ人だ。

メキシコの反応

ビデガライ外相は22日、「我々は受け入れない。なぜなら我々にそうする必要はないし、我々の利益にもならない」と語った。「我々は国境を掌握しており、我々の権限を完全に行使する」。

同外相はまた、「海外のメキシコ人の国際法に基づく人権と自由、法手続きを守るため、国連をはじめとする国際機関に訴えることを、メキシコ政府はためらわない」と述べた。

メキシコ内務省で人権部局を率いるロベルト・カンパ氏は、メキシコ国籍でない人々をメキシコに送還しようとするのは、「敵対的」で「受け入れられない」と語った。

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Image caption メキシコは米国の新指針を受け入れないとしている(写真は米国との国境にある検問所)

トランプ米大統領が昨年の大統領選で、メキシコとの国境に壁を築き、建設費はメキシコに払わせると主張し、米国とメキシコとの間に緊張が高まった。建設費は膨大な額になるとみられている。

壁建設をめぐる意見対立から、ペニャニエト大統領は先月ワシントンで予定されていたトランプ氏との会談を中止した。

米国側は?

メキシコ訪問に先立ち、中米グアテマラを訪問したケリー長官は、新指針は大量の強制送還を意味していないと語った。

同長官は記者団に対し、「まず犯罪者を主に対象としている。しかし、一度に大勢を捕まえたりしないし、実際に拘束した場合でも米国の法手続きを取る。つまり裁判所だ。裁判所が彼らをどうするのか決める」と述べた。

米国とメキシコの軋轢(あつれき)が深まるなかでも、ホワイトハウスのショーン・スパイサー報道官は22日、両国関係は「今ものすごくいい」と語り、ティラーソン国務長官らとメキシコ政府との間で「素晴らしい話し合い」ができるとの見通しを示した。

両国の協議では、麻薬密輸問題や北米自由貿易協定(NAFTA)などが話し合われる予定。

(英語記事 Mexico's foreign minister rejects Trump deportation policy

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