殺害された金正男氏の遺体からVX神経ガス検出 マレーシア警察

クアラルンプール国際空港のターミナル内の防犯カメラに写っていた金正男氏(今月13日) Image copyright Reuters
Image caption クアラルンプール国際空港のターミナル内の防犯カメラに写っていた金正男氏(今月13日)

北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム)氏が今月13日にマレーシアで死亡した事件で、マレーシア当局による検視で遺体から神経ガスが検出されていたことが分かった。

マレーシア警察は、クアラルンプールの国際空港で飛行機の搭乗を待っていた際に襲われた金正男氏の顔に塗られていたのは猛毒の「VXガス」だったと述べた。

警察によると、政府の検査機関が遺体の目と顔から採取したサンプルを分析していた。国連はVXガスを大量破壊兵器に分類している。

マレーシア警察は北朝鮮国籍の容疑者6人の行方を追っているが、北朝鮮政府が殺害に関与したとは明言していない。北朝鮮国籍の男性容疑者がクアラルンプール近郊で先週逮捕されている。

容疑者6人には、北朝鮮大使館の2等書記官と国営高麗空港の職員の2人が含まれる。ほか4人はすでにマレーシアを出国したとみられている。

マレーシア警察はさらに、金正男氏の顔に毒物を塗ったとして女性容疑者2人を拘束。警察は、殺害が「計画されたもの」で、容疑者らは十分な訓練を受けていたと述べた。

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Image caption 北朝鮮はマレーシアで死亡した北朝鮮国籍の男性が金正男氏だと認めていない

一時は父親の故金正日(キム・ジョンイル)総書記の後継者と目されていた金正男氏は、「キム・チョル」の名義の旅券を使い、主に海外で生活していた。

北朝鮮の国営朝鮮中央通信は23日、「朝鮮法律家委員会」の報道官談話として、遺体の司法解剖は「主権の侵害」だとマレーシア政府を非難した。しかし、遺体が金正男かどうかについては触れなかった。

談話はさらに、遺体の返還を政治問題化しようとしていると主張し、マレーシア当局が身元確認のため親族のDNAサンプルの提供を求めていることについて、「ばかげている」と述べた。


VXガスとは?

・透明の琥珀色をした油のような液体。味やにおいはない。

・化学兵器の中でも最も猛毒で、皮膚に一滴落ちるだけで死亡する可能性がある。数分で死に至ることもある。

・皮膚などから浸透し、神経伝達を阻害して死に至らせる。

・スプレーや蒸気で拡散したり、水や食べ物、農産物を汚染することで攻撃に使われる可能性がある。

・吸い込んだり、口から摂取することで体に吸収されるほか、皮膚や目から入り込む。

・蒸気が衣服に付いてから約30分間残るため周囲の人にも影響を及ぼす。

・軽度の接触の場合、鼻水、目の痛み、不明瞭な視界、よだれや過度の発汗、胸の圧迫感、激しい息、尿意、意識障害、眠気、脱力、吐き気、嘔吐の症状が出る。

・正式な化学名は、S-2ジイソプロピルアミノエチル・メチルホスホノチオラートで、1993年に署名された化学兵器禁止条約で使用が禁止されている。


(英語記事 Kim Jong-nam killing: VX nerve agent 'found on his face'

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