トランプ米大統領、新しい入国禁止の大統領令に署名

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Image caption ホワイトハウスは、新しい大統領令に署名する大統領としてこの写真を公表

ドナルド・トランプ米大統領は6日、イスラム教徒が大多数を占める6カ国の市民を対象にした新しい入国禁止の大統領令に署名した。16日に発効し、90日間の入国が禁止されるほか、すべての難民受け入れを120日間停止する。

禁止対象は、イラン、リビア、シリア、ソマリア、スーダン、イエメンの計6カ国の市民。ホワイトハウスによると、連邦裁判所に執行停止が命じられた前回の大統領令で禁止対象の7カ国に含められていたイラクは、イラク政府が査証(ビザ)審査強化と情報共有に合意したため、新たな大統領令の対象から除外された。

新しい大統領令によると、国務省がすでに受け入れを認めた難民は入国できる。またすべてのシリア難民を無期限に入国禁止にするという前回大統領令の規定は、解除された。

米国永住権(グリーンカード)を持つ対象国の国民は、禁止の対象から除外される。

さらに、前回大統領令は対象国の宗教的少数者の受け入れを優先すると規定していたが、新しい大統領令ではこの条項は削除された。前回の大統領令については、イスラム教徒が多数を占める7カ国からの宗教的少数者受け入れ優遇とは、つまりキリスト教徒の難民優遇で、信仰に基づく差別だと批判されていた。

新しい大統領令は、レックス・ティラーソン国務長官、ジェフ・セッションズ司法長官、ジョン・ケリー国土安全保障長官が6日朝、合同記者会見で発表。記者からの質問は受け付けなかった。

「この国はテロの脅威から免れるわけにいかず、我々の敵はこの国の自由や寛大さを我々に対してしばしば悪用する。その事実は変わらない」とケリー長官は述べ、規制や審査のない渡航が国の安全保障を脅かしていると指摘。

「悪意ある人間が、この国の移民制度を利用して米国人の命を奪う」ことを米国として容認するわけにはいかないと、国土安全保障長官は強調した。

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Image caption 米軍通訳を務めたイラク人移民ハミード・ダルウィシュさんは、前回の大統領令発効後の1月28日、ニューヨークの空港で長時間にわたり取り調べを受けた。イラク人は新しい大統領令の対象から除外された。(写真は釈放後のダルウィシュさん)

ティラーソン国務長官は、大統領令は「イスラム過激主義のテロリストが、破壊的な目的のために悪用できるし悪用する、脆弱性を取り除くため」のものだと説明した。

難民受け入れ停止の正当性については、セッションズ長官は、テロ関連の疑いで300人以上を捜査中だと述べたが、具体的な事案の詳細説明はなかった。

司法長官はさらに、対象6カ国のうち3カ国はテロ支援国家だと断定。また他の3カ国は、いわゆる「イスラム国」やアルカイダなどの過激派に国土の一部を失っていると説明した。

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Image caption 2月7日にシカゴのオヘア空港で孫娘シャムちゃんと再会した、シリア人ハレド・ハジ・ハラフさん

前回の大統領令は署名から直ちに発効したが、今回は署名から発効まで10日間の猶予期間を設けたことで、ホワイトハウスは1月下旬に各地の空港で起きたような混乱を回避したい考えだ。

前回は、有効なビザを持って飛行機に乗っていた大勢が、到着時にいきなり入管係官に拘束される事態が相次いだ。

トランプ氏は当時、いきなり大統領令を執行したことについて、「一週間の余裕をもって禁止命令を発表していたら、『悪い』連中がその週の間に大急ぎでこの国に押し寄せる」とツイートしていた

○ すでに提訴の動き

ニューヨーク州のエリック・シュナイダーマン司法長官は6日、新しい大統領令についてトランプ政権を提訴する用意があると声明を発表した。

「ホワイトハウスは入国禁止を修正したかもしれないが、ムスリム(イスラム教徒)差別の意図は明白だ」、「スタッフが新しい大統領を詳しく精査している。ニューヨークに住む人たちや組織や経済を守るため、再び提訴する用意がある」と州司法長官は表明した。

前回の大統領令についても執行停止を直ちに求めて提訴した米自由人権協会(ACLU)は、新しい大統領令を「ムスリム禁止2.0」と呼び、あらためて提訴すると発表。

主要アラブ系市民団体アメリカン・アラブ反差別委員会(ADC)も、ただちに法廷闘争のための資金援助を呼びかけた。

「この禁止令は、外国人恐怖症とイスラム恐怖症の産物だ」とADCは、BBCに文書でコメントした。

米ジャーナリストや学識関係者が参加するシンクタンク「ニュー・アメリカ財団」によると、イスラム聖戦主義攻撃に関与した、あるいはそうした攻撃の実行者として死亡したテロ犯の米国在住資格は次の通り――。

・全体の82%は米国籍か永住権を保有

・188人は米国生まれ

・83人は米国籍に帰化した市民

・43人は永住権を持つ市民

・13人は難民

・12人は在住資格不明

・11人は非移民ビザで入国

・8人は不法移民

・38人は不明

(英語記事 Trump signs new travel ban directive

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