米下院、インターネットの個人情報保護するプロバイダー規制を撤廃

デイブ・リー北米テクノロジー担当

米連邦通信委員会(FCC)のアジト・パイ新委員長は、プロバイダー規制撤廃は良いことだと主張 Image copyright Reuters
Image caption 米連邦通信委員会(FCC)のアジト・パイ新委員長は、プロバイダー規制撤廃は良いことだと主張

米下院は28日、インターネット・プロバイダー(接続業者)が利用者のウェブ履歴を第三者に販売する際には本人の許可を必要とする規則を撤廃した。オバマ政権が導入した規制では、現在地情報を含む個人情報をプロバイダーが第三者と共有する際には、本人の許可が必要だった。

規制撤廃を支持する人たちは、業者の競争がさかんになると歓迎したが、批判する人たちはインターネット上のプライバシー保護が弱まるのを懸念する。

ドナルド・トランプ大統領は、撤廃命令に近く署名する見通し。

規制撤廃は、ベライゾン、AT&T、コムキャストといった大手プロバイダーが強く求めていた。各社はインターネット・プロバイダーが、グーグルやフェイスブックなどより厳しいプライバシー法の規制を受けていると不満を抱いていた。

プライバシー法はトランプ大統領が当選する直前の昨年10月末に成立し、今年末までに施行される予定だった。法律が施行されればプロバイダーは、「正確な現在地情報、経済状況、健康情報、子供に関する情報、社会保障番号、ウェブ閲覧履歴、アプリ使用履歴、通信内容」といった個人情報を第三者と共有する際には、利用者から明確な許可を得ることが義務付けられたはずだった。

さらにメールアドレスなど、プライバシーの度合いが比較的低い情報の共有も、希望すれば拒否できる選択肢を、プロバイダーが利用者に提供する義務が発生するはずだった。

「勝ち組と負け組」

米連邦通信委員会(FCC)のアジト・パイ新委員長は、プロバイダー規制を撤廃することで、オンライン業界の競争がより公平になるとの見方を示した。

「FCCは昨年、党派性に沿った投票の結果、一部の不利な複数企業に対して、別の複数企業が有利になるよう設計されたプライバシー関連規制の強引に成立させた」とパイ委員長は声明を発表。

「連邦議会は今回、規制実施の前にすでに勝ち組と負け組を選んでしまっている、このような取り組みを拒否するべく、正しく決議した」

「FCCは今後、消費者のオンライン・プライバシーが一貫した包括的枠組みによって守られるよう、連邦取引委員会(FTC)と協力して取り組んでいく。このことを米国の人たちに知ってもらいたい」と、パイ氏は表明した。

一方で、インターネット利用者の権利を重視する人たちは、この議会決定に激怒している。

権利団体「未来のために闘う」のエバン・グリア氏は、「連邦議会は本日またしても、有権者の無事や安全よりも、自分たちの選挙戦に資金提供する企業の意向の方が大事だと、証明した」と批判。

「政治傾向を問わず、あらゆる人が激怒している。私たちのプライバシーを取り上げようと投票する議員全員は、いずれ選挙の日に後悔することになる」

同団体は、どの下院議員が規制撤廃を支持したか明示する掲示板を各地に設置する運動を開始した。

ほかの団体は、主要IT企業が下院議決に先立ち、規制撤廃について沈黙していたことに怒りを表明。

より「開かれた」インターネットを推進する団体「フリー・プレス」のクレイグ・アーロン氏は、「下手に目立ってプライバシー関連で規制されてしまうことを、多くの企業は強く懸念している。そのため、これまではプライバシー問題で発言してきた企業も、今回はあえて沈黙しているケースが多い」と指摘する。

(英語記事 Anger as US internet privacy law scrapped

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