「置き去り」の小熊「救出」したハイカーに警告

ケリーリー・クーパー、BBCニュース

Baby bear wrapped up in blanket Image copyright Corey Hancock
Image caption ハンコックさんは「典型的な状況」ではなかったし、また同じようなことがあればクマを助けると

米西岸北部オレゴン州でハイキングしていた男性が、置き去りにされているように見えた栄養失調の小熊を保護したとして、警告された。刑事訴追は免れた。

コーリー・ハンコックさん(41)は27日夜、ハイキングから帰宅途中に、1頭だけであおむけに倒れている子供のアメリカグマを発見した。

栄養失調の小熊は、母熊に置き去りにされたか、母熊は狩猟者に撃たれたかだろうと、ハンコックさんは考えたという。

野生の小熊を生息圏から運びだした行為は、刑事処分に相当するかもしれないと当初は言われた。

「木の後ろに隠れて、近くに母熊がいないのを確認した」とハンコックさんは言う。

小熊がまったく動かなくなったのを見て、ハンコックさんは「くるんで急いで車にダッシュしよう」と決心。自分のフラネルシャツに小熊をくるんだ。

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Image caption ハンコックさんは、オレゴン州エルクホーン山脈でハイキングを楽しんでいた

「まったく反応しなかった。足をくすぐったり、耳を触ったりしたが、まったく動かなかった」

ハンコックさんは、小熊に人工呼吸を施した後、携帯電話の電波がつながる場所まで高速道路を20分間、車で走ったと話す。この間、小熊は腕の中で呼吸がなかなかできず苦しんでいたという。

「ずっと話しかけて、ゆすり続けた。もうダメだと思うたびに、また一息、息をしたんだ」

携帯電話がつながるとハンコックさんはただちに、必死の思いでフェイスブックの友人たちに助言を求め、小熊を治療してもらうためどこに行くべきか尋ねた。

やがて、タートルリッジ野生動物シェルターが「栄養失調でほとんど動かない」小熊の受け入れを了承。容体を安定させ、脱水状態に対応し、体温を安定させた。

保護から12時間の内に、小熊は回復の兆しを見せ、オレゴン州の魚類野生生物局に移された。

ハンコックさんは小熊を、発見した場所にちなんで「エルクホーン」と名付けた。

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Image caption ハンコックさんは車を路肩に一時停車させ、この写真を撮影。栄養失調の小熊を連れてセイレムへ向かいながら、フェイスブックの友人たちに助けを求めた。

小熊は完全回復する見通しで、野生動物リハビリセンターに移される。

魚類野生生物局の報道官は地元紙オレゴニアンに、「野生動物の子供については、母親が死ぬのを目撃したのでない限り、子供が置き去りにされたと絶対に思い込まないよう呼びかけている。幼い野生動物が一時的に単独でいることは、よくあることだ」と話した。

野生動物と人間の接触については、昨年5月に米イェローストーン国立公園で、観光客が生まれたばかりのバイソンを「寒そう」だからと車に乗せてしまったため、母親に育児放棄された赤ちゃんバイソンを結果的に安楽死させるしかなくなったという一件もある。

しかしハンコックさんは、自分の判断を後悔していないと話す。

「僕はずっと自然に囲まれて暮らしてきた。野生動物を拾ったらいけないと、それは分かっている。でもこれは典型的な状況じゃなかった」とハンコックさん。

「ガリガリに痩せていて、何日も食事をしていないのはすぐに判断できた」

「死んだものとして、放置されたんだ」

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Image caption ハンコックさんは、小熊を助けたことを後悔していないと言う

ハンコックさんは、魚類野生生物局が小熊の回復状況を知らせてくれているので、ありがたいと話す。

「すごく順調だそうで、普通の赤ちゃんクマと同じように走り回ってる」

オレゴン州警察は29日、状況にかんがみて、野生動物を生息地から運び出したハンコック氏を訴追することはないと発表。

今後も同じように行動するかとBBCに尋ねられたハンコックさんは、「もちろん。僕は父親だから。自分にも子供が3人いる」と答えた。

「人の親だったり、まともな性格の人間だったら、今にも最後の息を引き取ろうとしている哺乳類から立ち去るなんてできないはずだ」

(英語記事 US hiker given warning for rescuing 'abandoned' bear cub

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