シリア北西部で多数の毒ガス犠牲者 ロシアは反政府勢力の武器と主張

シリア北西部イドリブ県で化学兵器の使用が疑われる爆撃があった。多くの子供も被害に遭ったという(4日)。 Image copyright AFP
Image caption シリア北西部イドリブ県で化学兵器の使用が疑われる爆撃があった。多くの子供も被害に遭ったという(4日)。

シリア北西部イドリブ県の反政府勢力地域で4日に毒ガスによって多数が死亡したことをめぐり、ロシアは反政府勢力が所有する化学兵器から生じたものだと主張した。

ロシア国防省は、シリア政府軍がイドリブ県のハーン・シェイフーンを空爆したことを認めたものの、空爆によって、毒物が詰まった地雷を製造する施設が破壊されたと述べた。地雷はイラクで使用される予定だったとしている。

米国などはシリアの空軍機が化学兵器を使ったと主張するが、シリア政府は否定している。

ロシア国防省の発表を受け、英国のボリス・ジョンソン外相は、「私が見た全ての証拠は、アサド政権が違法な武器を自国民に使用したと示している」と語った。

ロンドンを拠点とするシリア人権監視団は、ハーン・シェイフーンへの攻撃で子供20人を含む72人が死亡したと述べた。

現場から送られてきた映像には、市民らが窒息したり口から泡を吹いたりする様子が写っている。被害者の多くは子供。目撃者によると、負傷者の手当てをしていた病院もその後、空爆の標的になったという。

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Image caption 被害者を治療していた病院も攻撃された(4日、シリア・ハーン・シェイフーン)

一部の負傷者はシリア北部と国境を接するトルコ領内に運ばれ手当てを受けた。病院にいた女性は、「私たちはガスにやられた。立つことができなかった。目が回って吐き気がした。息が苦しくなった。息ができなかった」と語った。

ベルギー・ブリュッセルでは70カ国が集まりシリアへの援助を協議する会議が5日に開かれる。参加者は戦闘で身動きが取れなくなった市民を人道支援するルートの確保を目指している。

国連安全保障理事会は、毒ガスの犠牲者が多数出たことを受けて、5日に緊急会合を開く予定。

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化学兵器か シリア・イドリブ攻撃で子供も被害に

「戦争犯罪」

ロシア国防省のイゴール・コノシェンコフ報道官は、動画共有サイト「YouTube」に掲載したビデオで、「シリア軍機は昨日(4日)、現地時間の午前11時30分から午後12時30分にかけてハーン・シェイフーン東郊にあるテロリストの弾薬庫と武器庫への空爆を実施した」と述べたほか、「倉庫の敷地内には、化学兵器を製造する施設があった」と語った。

コノシェンコフ報道官は、シリア北部の主要都市アレッポでの戦闘で、反政府勢力が化学兵器を使用したとし、「ソーシャルメディア映像からうかがえる、ハーン・シェイフーンの毒ガス犠牲者たちの症状は、昨年秋のアレッポで見られた症状と同じだ」と述べた。

今回の事件に国際的な批判の声が高まるなか、英仏が国連安保理の緊急会合を要請。5日に開催される。

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シリア・イドリブ攻撃 「呼吸困難の半数以上が子供」

英国のマシュー・ライクロフト国連大使は、今回の事件が「シリア和平にとってとても悪い知らせ」だと語った。同大使はニューヨークで記者団に対し、「明らかに戦争犯罪であり、過去に正当な理由もなく拒否権を行使した安保理の理事国には再考を促したい」と述べた。

ドナルド・トランプ米大統領は声明を発表し、アサド政権による「極悪な行為」を強く非難。バラク・オバマ前大統領がシリア問題で「弱腰」だったせいだと主張した。

一方でトランプ氏に対しては、同氏が2013年の時点で、米国はシリアを無視して国内問題に注力すべきだとツイートしていたことを指摘し、批判する声もある。

レックス・ティラーソン国務長官は、「これがバシャール・アル・アサドのやり方なのは明らかだ。残酷かつ公然と野蛮なふるまいをする」と述べた。

シリア和平に向けた仲介を務めるデミストゥラ国連特使は今回の事件について、「怖ろしい」攻撃だとし、「誰に責任があり、誰が責任をとるべきなのかを明確にする」必要があると語った。

シリア内戦は2011年に始まって以来6年以上が経過しているが、政治的解決のめどは立っていない。

国連によると、これまでに500万人近くがシリアを離れ、600万人以上が国内で住まいを失った。死者は25万人以上に上る。

ブリュッセルで取材するBBCのリーズ・ドゥセット記者は、今回の攻撃が5日に当地で開かれる支援国会議の障害になる可能性があると指摘した。

ドゥセット記者によると、欧州連合(EU)は支援の約束を和平協議を前に進める「てこ」にしたい考えだが、今回の事件を受けて、シリア政府が支配する地域への経済援助を協議するには時期尚早との主張が強まる見通し。

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Image caption 化学兵器使用が疑われる攻撃の後、担架に横たわる遺体(4日、シリア・イドリブ県)

(英語記事 Syria 'chemical attack' down to Assad, US says

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