「人道への侮辱」 トランプ米大統領、シリア毒ガス攻撃を非難

毒ガスで負傷し手当てを受ける子供 Image copyright EPA

ドナルド・トランプ米大統領は、シリア北西部のイドリブ県の反政府勢力地域で4日に毒ガスによって多数が死亡したことについて、「人道への侮辱だ」と述べ、強く批判した。

ホワイトハウスで記者会見したトランプ大統領は、「罪のない子供、罪のない赤ちゃん、小さな赤ちゃんを殺すというのは(中略)多くの意味で(中略)一線を越えている」と語った。

トランプ大統領はロシアについては触れなかった。ロシアは攻撃があった際に反政府勢力が持っていた化学兵器が漏れ出した可能性があるとしている。

一方、米国のニッキー・ヘイリー国連大使は、国連安全保障理事会が開いた緊急会合で、ロシアがシリア政府をかばおうとしていると非難した。白熱した議論がされるなか同大使は、「同盟国のシリアから注目をそらすためにロシアは度々同じ説明を使ってきた」と述べた。

ヘイリー氏はさらに、「いつも国連が共同で行動を起こす責任を果たせずにいれば、国家は自分で行動せざるを得なくなる時がある」と語り、米国が独自に対応をする可能性を示唆した。

シリアのバッシャール・アサド政権は、化学兵器による攻撃を否定している。

何が起きたのか

ロンドンを拠点とするシリア人権監視団は、4日にイドリブ県のハーン・シェイフーンで毒ガスによって子供20人を含む72人が死亡したと述べた。

現場を撮影した映像には、多くの子供が窒息したり口から泡を吹いたりする様子が写っていた。

世界保健機関(WHO)と国際NGOの国境なき医師団(MSF)は、一部の被害者の症状は神経ガスによって引き起こされたものと同じだと指摘した。

目撃情報によると、負傷者の手当てをしていた病院も空爆を受けた。

米国の政策は変わるのか

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シリア・イドリブ攻撃 「呼吸困難の半数以上が子供」

トランプ大統領は記者会見で、「すでに考えは変わっている。シリアとアサドに対する私の考えは非常に変化した(中略)全く違うレベルの話だ」と語った。

5日にヨルダンのアブドラ国王と会談したトランプ氏は、記者団から新たなシリア政策を考えているのかとの質問に対し、「そのうち分かる」と応じた。

レックス・ティラーソン米国務長官はロシアに対し、アサド大統領への支援継続について「慎重に検討するよう」求めた。また、マイク・ペンス副大統領はシリアについて「あらゆる選択肢が検討されている」と語った。

ヘイリー国連大使は先週、シリアからアサド政権を退陣させることは優先課題ではないと述べ、オバマ前政権からの政策変更を示したばかりだった。

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Image caption 被害者を治療していた病院も攻撃された(4日、シリア・ハーン・シェイフーン)

ロシアはどう主張しているのか

ロシアは、シリア政府軍がイドリブ県のハーン・シェイフーンを空爆したことを認めたものの、空爆によって、毒物が詰まった地雷を製造する施設が破壊されたと述べた。地雷はイラクで使用される予定だったとしている。

ロシア国防省のイゴール・コノシェンコフ報道官は4日に、「シリア軍機がハーン・シェイフーン東郊にあるテロリストの巨大な弾薬庫と武器庫への空爆を実施した」と述べたほか、「倉庫の敷地内には、化学兵器を製造する施設があった」と語った。

ロシアの説明に説得力はあるのか

Image caption シリア国内の各勢力の支配地域。薄紫:クルド人勢力、朱色:「イスラム国」(IS)、緑:シリア政府軍、紫:反政府勢力

化学兵器の専門家、ヘイミッシュ・ド・ブレトン=ゴードン氏はBBCに対し、ロシアの説明は「かなり非現実的」だと述べた。武器製造設備が空爆を受けた後に、サリンのような神経ガスが周囲に広がるというのは「裏付けができない」という。

反政府勢力「イドリブ自由軍」のハサン・ハジ・アリ司令官はロイター通信に対し、「ガス爆弾を落とす飛行機をみんなが見た」と語った。

しかし、シリア政府が保有していた化学兵器の廃棄に国連の支援を受けて取り組んだ化学兵器禁止機関(OPCW)のジェリー・スミス氏は英チャンネル4テレビで、ロシアの説明を否定することはできないと指摘した。

「もしサリンが貯蔵されていた場所で通常兵器が使用された場合、(化学)兵器の一部が破壊されず、液体のサリンが放出され、住民に影響を及ぼした可能性は十分ある」

現地で取材する記者らは、攻撃を受けた町そのものには軍事施設はなく、周囲を複数の反政府勢力が支配しているのみだと指摘した。

(英語記事 Syria chemical 'attack': Trump condemns 'affront to humanity'

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