G7首脳、シリア「化学攻撃」でロシアに制裁検討も

The suspected chemical attack in Khan Sheikhoun last week left 89 people dead Image copyright EPA
Image caption 化学兵器の使用が疑われるハーン・シェイフンへの攻撃で89人が死亡し、多数が症状を訴えている

イタリア・ルッカで10日、主要7カ国(G7)外相会談が始まり、レックス・ティラーソン米国務長官の訪ロまでにシリア紛争について共同歩調を固めようと各国首脳は協議を重ねた。G7としてロシアに、シリアのアサド政権支援を止めるよう働きかけたい構えだ。

ロシア政府は、ティラーソン国務長官はセルゲイ・ラブロフ外相と会談するのみにとどまり、ウラジーミル・プーチンとの会談は行われないと発表。米ロの緊張関係を示す措置と受け止められている。

ティラーソン氏は石油大手エクソンモービルの前会長として、プーチン氏とは長年にわたる旧知の間柄。米国務長官の初訪ロで大統領と会談しないのは初めてのこととなる。

シリア北西部イドリブ県の反政府勢力地区にあるハーン・シェイフンに対して4日、化学兵器の使用が疑われる攻撃があり、少なくとも89人が死亡。シリアは関与を否定している。

AP通信は米高官の話として、ロシアが事前に攻撃を承知していたはずだと伝えた。高官によると、最初の爆撃の被害者が手当てを受ける病院上空で、無人小型機(ドローン)が飛んでいたからだという。その数時間後にはこの病院も爆撃された。最初の攻撃の証拠隠滅がねらいだったと米政府は考えていると、AP通信は伝えている。

ハーン・シェイフン攻撃を受けて米国は6日夜(シリア時間7日未明)、東地中海からシリア北西部のシリア空軍基地にトマホーク巡航ミサイル59発を発射した。米政府はこれによって、シャイラート基地にある飛行可能なシリア軍機の2割を破壊したと主張。さらに今後も爆撃を継続する可能性もあるとしている。

ドナルド・トランプ米大統領とテリーザ・メイ英首相は電話会談で、ロシア政府が今後もアサド政権の後ろ盾を続けるのは、ロシアの戦略的利益にとって得策ではないとの考えで合意した。

ホワイトハウスによると、アンゲラ・メルケル独首相も、アサド大統領の責任追及が必要だと、トランプ氏に合意したという。

Image caption シャイラート空軍基地(Shayrat air base)、ホムス(Homs)、ダマスカス(Damascus)、米軍艦の推定位置(US warships, approx)

一方で、米政府のシリア政策は依然として不透明だ。オバマ政権の反アサド方針をトランプ氏は批判し続け、先月末まではアサド大統領追放はもはや米国の優先課題ではないと主張していた。それだけに、シリア紛争で米軍が初めてシリア軍施設を攻撃したのは、トランプ政権の方針転換かと驚きをもって受け止められたが、ティラーソン国務長官はシリアに対する「軍事姿勢に変更はない」と述べ、米政府の「最優先課題」は過激派のいわゆる「イスラム国」(IS)打倒だと強調した。

ボリス・ジョンソン英外相は、シリアの軍事作戦協調に関わったシリアとロシア両政府の高官を対象にした制裁を提案。実施されれば、シリア関係でロシア政府関係者に対する初制裁となる。

ルッカで取材するBBCのジェイムズ・ロビンス記者は、より幅広いロシア政府への制裁はドイツやイタリアなどが反対するだろうというのが、英政府筋の認識だと話す。

ロシアはすでに、クリミア併合とウクライナ東部危機をめぐり、米国と欧州連合(EU)の制裁対象になっている。

一方でロシアは、シリアの化学兵器保有を示す証拠を米国が何も提示していないと反発している。

アサド政権を軍事的に支えてきたロシアとイランは、米国が再度空爆を実施した場合には報復措置をとると警告している。

(英語記事 Syria war: Russian officers 'could face sanctions'

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