ロシア、国連安保理のシリア非難決議案に拒否権 各国は反発

シリア非難決議案に拒否権を行使したロシアのサフロンコフ国連次席大使(12日)。 Image copyright AFP
Image caption ロシアが国連安保理でシリアを擁護するのは8回目。写真はシリア非難決議案に拒否権を行使したロシアのサフロンコフ国連次席大使(12日)。

シリアが反政府勢力地区で化学攻撃を実施したとされる問題について、国連安保理で12日、非難決議案の採決があったが、ロシアが拒否権を行使して成立しなかった。ロシアがシリア非難をめぐり安保理で拒否権を行使するのは、これで8回目。

英米仏が提出した決議案はシリアを非難すると共に、化学兵器禁止機関(OPCW)による現地調査の受け入れをシリア政府に強く求める内容だった。

化学兵器禁止条約に基づき設立されたOPCWの現地調査を受け入れた場合、同条約加盟国のシリアは、攻撃当日の飛行記録など軍の関連情報を提供し、空軍基地の立ち入りも受け入れることになるはずだった。

ロシアと同様に常任理事国として拒否権をもつ中国は、投票で棄権。非常任理事国のエチオピアとカザフスタンも棄権した。10カ国は賛成し、ボリビアは反対に回った。

ニッキー・ヘイリー米国連大使はロシアの拒否権行使を批判。「あなたがたは、アサドの飛行機が市民にたる爆弾を落とすたびに、そしてアサドがまたひとつのコミュニティーを餓死させると決断するたびに、国際社会から孤立していく」と語った。

安保理投票の後、ボリス・ジョンソン英外相はロシアが「議論の間違った側についている」と批判。フランソワ・オランド仏大統領は、アサド氏を守り続け国際社会の一致団結した反応を阻止し続ける、ロシアの「責任は重い」と述べた。

一方で、ロシアのウラジーミル・サフロンコフ国連次席大使は安保理に、非難決議案は最初から否決される運命だったと述べた。

「我々は一貫して、決議案の内容について徹頭徹尾、反対していたのだから、結果はあらかじめ決まっていた」

欧米諸国は、4日に北西部イドリブ県のハーン・シェイフンで80人以上が死亡した攻撃はアサド政権が命令したものと非難。ドナルド・トランプ米大統領は攻撃が出発したとされるシャイラート空軍基地をミサイルで空爆した。

シリアは化学攻撃の実施を否定。シリアの後ろ盾となっているロシアは、米国のミサイル攻撃に強く反発している。ロシアは独立した国際調査を要求しており、事実関係についてなぜ欧米諸国がただちに結論を断定できたのかと問いただしている。

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Image caption 米軍のミサイル攻撃を受けたシャイラート空軍基地の被害を視察するシリア軍

ホワイトハウスでは、北大西洋条約機構(NATO)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長と会談後に共同記者会見に臨んだトランプ氏が、攻撃についてBBCの質問に答えた。

ジョン・ソープル北米編集長は大統領に、ロシアは関知しないままシリア軍がハーン・シェイフンを攻撃した可能性はあると思うか質問。これに対してトランプ氏は、「もちろん可能だとは思うが、おそらくありえないと思う」と回答。

「(ロシアは)知らなかったと思いたいが、知っていた可能性はもちろんあり得る。現場にいたのだから」とトランプ氏は述べた。

さらに、中国が非難決議案に棄権したことについては、「素晴らしい」と言い、前の晩に習近平国家主席と電話会談していただけに「驚いていない」とも付け加えた。

シリア紛争が2011年に始まって以来、中国はこれまでに安保理でシリア関連決議案に6回、拒否権を行使している。

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Image caption ハーン・シェイフンでは化学兵器使用が疑われる攻撃で89人が死亡

安保理投票に先駆けて、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、シリアはすでに化学兵器禁止条約にもとづき化学兵器の備蓄を廃棄したのだから、今回の攻撃はシリアによるものではないと主張した。

ロシア政府が12日に内容を明らかにしたミール・テレビのインタビューで大統領はさらに、トランプ政権下では米ロ間の信頼が「悪化」していると述べた。

モスクワ訪問中のレックス・ティラーソン米国務長官も、同様に米ロ関係は低調で改善が必要だと指摘。プーチン氏やセルゲイ・ラブロフ外相と2時間にわたり会談した後、国務長官は「二大核保有国がこのような関係でいるわけにはいかない」と強調した。

(英語記事 Syria war: Anger after Russia vetoes resolution at UN

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