EU首脳ら、英離脱交渉は予定通りと表明 総選挙発表受け

トゥスク大統領はメイ首相と電話で「良い」会話ができたとコメントした(写真は今月6日に英首相官邸を訪問したトゥスク大統領) Image copyright Reuters
Image caption トゥスク大統領はメイ首相と電話で「良い」会話ができたとコメントした(写真は今月6日に英首相官邸を訪問したトゥスク大統領)

英国のテリーザ・メイ首相が解散・総選挙の実施を発表したことを受け、欧州連合(EU)首脳らは英国の離脱交渉に変更はないとの考えを示した。

EUのドナルド・トゥスク大統領(欧州理事会議長)の報道官は18日、英国を除く加盟27カ国は当初の計画通り進めると語った。「英国の総選挙がEU27計画を変えることはない」。

同報道官はさらに、「欧州理事会によるブレグジットの指針を4月29日に公表し、5月22日に離脱交渉の指令を出せるようにする予定だ。これにより27カ国が交渉を開始できる」と述べた。

トゥスク大統領は、メイ首相と電話で「良い」会話をしたとツイッターの個人アカウントでコメントした。トゥスク氏はさらに、「ブレグジットの監督はヒッチコックだ。まず地震があって、緊張が高まる」とツイートした。

EUの交渉担当者の1人はBBCに対し、総選挙の結果次第では交渉がしやすくなる可能性さえあると語った。

交渉担当者は、「英国の内政問題だが、有権者の強い支持を背景に我々と交渉できる強い指導者が英国に登場してもらいたい」と期待を示した上で、「何かが変わるわけではない。我々は準備ができている。6月初旬(の交渉開始)は予定通りだ」と述べた。

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英国、6月8日に総選挙へ 市民の反応は

ドイツのジグマー・ガブリエル外相も同様の考えを示し、ブレグジットが決まった昨年6月の英国民投票以来、「予測可能性と信頼性」が「これまで以上に重要になっている」と語った。

同外相は文書で「不透明性が長引くことは、欧州と英国の間の政治・経済関係にとって当然良い事ではない」と指摘し、「きょうメイ首相が発表した総選挙によって欧州連合との交渉がより明確さと予測可能性が増すことを期待する」と述べた。

しかし、メイ首相と与党・保守党がとったリスクを懸念する、より否定的な見解も出ている。

中道右派の欧州人民党グループ(EPP)に所属するベルギーのトム・バンデンケンデラー欧州議会議員は、「ブレグジット交渉へのさらに強い委任を得るための選択として理解できるが、同時に大きな賭けで、さらに不安定になる危険がある」とツイッターでコメントした。

総選挙の結果が英国のブレグジットに対する姿勢に与える影響を推測しようとする欧州の政治家もいる。

欧州社会党に所属するドイツのヨー・ライネン欧州議会議員は、「特に若い世代にとっては、6月8日の英国の総選挙はハード・ブレグジット(強硬離脱)を避ける、またとない機会だ」とツイートした。

右派の欧州保守改革連盟に所属するリシャルド・チャルネツキ欧州議会議員は、「保守党が多分勝つだろう。そして英国はEUとのブレグジット交渉でより強い委任を得るだろう」とツイートした。

一方、ロシア政府は、英国での総選挙には特段の注意を払っていないとしている。ドミトリー・ペスコフ大統領報道官は、「特別の関心はない。国際情勢のいつも通りの監視程度と言っておこう。我々の問題ではない」と語った。

 


<解説> ケビン・コノリー、BBCニュース(ブリュッセル)

EUはメイ首相による総選挙の発表について発言する際には、慎重が求められる。加盟国の内政に介入するのはよろしくないし、英国はかろうじて、まだ加盟国だ。

トゥスク大統領(欧州理事会議長)は、多くを語れないときにどう語るべきか、お手本を示してくれた。

「ブレグジットの監督はヒッチコックだ。まず地震があって、緊張が高まる」というトゥスク氏のツイートからは、ヒッチコック映画についてぼんやりとしか知らない様子がうかがえるが、そのほかに、英国内でブレグジット議論が加熱してほしいというブリュッセルの期待感も示唆している。

英国内では、メイ首相は自分のやり方でブレグジットを主導していくため、明確で強力な自分自身に対する信任を望んでいる。もし労働党のジェレミー・コービン党首が勝てば、彼もまた自分が重視する政策課題をブレグジット交渉の中心課題に据えることができるようになる。

いずれにしろ、メイ首相も野党党首たちも、今まで以上に詳細なブレグジット計画を国民に提示しなくてはならない。それがなければ有権者は満足しないだろう。

これを通じて欧州側も、英国の交渉姿勢と、どこが英国にとって譲れないポイントなのか、感触をつかむようになるだろう。

もちろん欧州各地には、選挙へ向けた英国内の議論で、EU残留派の主張が響き渡ることをロマンチックに夢想する人たちもいる。

ブレグジットが速やかに取りやめになるという期待は、今ではほとんど雲散霧消している。しかし欧州各地の政治家たちは、EUや単一市場とのつながりをできるだけ残した形でのソフト・ブレグジットを期待しているし、英国の議員候補たちにもそうした主張を望んでいる。

それは希望的観測かもしれないが、欧州各地ではそういう意見に支持が集まるだろう。


英総選挙の主要日程

4月19日 ― 任期満了前の解散について審議

5月2日 ― 解散前の上下両院の最終開催日

5月3日 ― 議会が解散

5月4日 ― 地方議会と各市の首長選

5月11日 ― 立候補締め切り

5月22日 ― 有権者登録の締め切り

6月8日 ― 投開票日 

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Image caption ブレグジット実施は確実でも、選挙前の議論では親欧派の発言が期待されている

(英語記事 EU's Brexit plans 'unchanged' by snap election announcement

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