「羊たちの沈黙」のデミ監督死去 73歳

ジョナサン・デミ監督 Image copyright AFP
Image caption ジョナサン・デミ監督は1992年、「羊たちの沈黙」でアカデミー賞監督賞を受賞した

映画「羊たちの沈黙」でアカデミー賞監督賞を受賞したジョナサン・デミ監督が26日、ニューヨークで死去した。73歳だった。広報担当によると、食道がんの合併症が原因という。

1944年生まれのデミ監督は、ほかに「フィラデルフィア」、「サムシング・ワイルド」などの映画のほか、米ロックバンドのトーキング・ヘッズのドキュメンタリー「ストップ・メイキング・センス」などが高く評価された。

ニューヨーク市ロングアイランド出身のデミ監督は、伝説的な映画プロデューサー、ロジャー・コーマンの下で映画監督として出発した。

広報担当は「悲しいことながら、ジョナサンは本日早朝、マンハッタンの自宅で息を引き取りました。妻ジョアン・ハワードと子供3人に囲まれてのことでした」と声明で発表した。当面は近親者のみの葬儀を予定しており、お別れ会などについてはこれから検討すると言う。家族は供花の代わりに、フロリダ州マイアミの移民支援団体「移民のための正義を求めるアメリカ人」に寄付してもらいたいと希望を示している。

HIV・エイズを正面から描いたハリウッド映画がまだほとんどなかった1993年の「フィラデルフィア」で、HIVに感染した男性を演じたトム・ハンクスさんは英PA通信に対して、デミ監督は「雄大な人」だったと話した。

「人の心がどれだけ広くなれるか、ジョナサンは教えてくれた。広い心を持てば、それがいかに自分の生き方や、自分の仕事の仕方を導いてくれるか、教えてくれた」とハンクスさんは監督をしのんだ。

ハンクスさんは「フィラデルフィア」でアカデミー賞主演男優賞を受賞している。

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Image caption デミ監督(右)と女優ジョディ・フォスターさん。「羊たちの沈黙」ではフォスターさんもアカデミー賞を得た
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Image caption 「羊たちの沈黙」では、サー・アンソニー・ホプキンス(右)が殺人鬼ハンニバル・レクターを演じてアカデミー賞主演男優賞を獲得した

連続殺人犯ハンニバル・レクターを描いた1991年公開の「羊たちの沈黙」は翌春、アカデミー賞の監督賞、作品賞、脚色賞、主演男優賞、主演女優賞を受賞。「ビッグ・ファイブ」と呼ばれる主要5部門をすべて受賞した作品は、ほかに「或る夜の出来事」(1934年)と「カッコーの巣の上で」(1975年)しかない。

1980年のデミ監督作品「Melvin and Howard」では、メアリー・スティーンバーゲンさんがアカデミー賞助演女優賞を獲得した。

近年では、アン・ハサウェイ主演の「レイチェルの結婚」(2008年)や「The Manchurian Candidate(邦題「クライシス・オブ・アメリカ)」(2004年)などを監督。最新作は、歌手ジャスティン・ティンバーレークのコンサート映画「Justin Timberlake + the Tennessee Kids」(2015年)だった。

デミ監督の訃報に、映画界からは次々と追悼の言葉がソーシャルメディアに投稿された。

「愛されし者」(1998年)などに出演した英女優サンディー・ニュートンさんは、「実に素晴らしい人、監督、父親、友人、活動家の訃報に深く悲しんでいる」とツイートした。

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ロン・ハワード監督は「ジョナサン・デミは偉大な芸術家で人道家、活動家で、かつ人を温かく励ましてくれる同僚だった。あんな人はめったにいない。とても寂しくなる」とツイートした。

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今年3月に最新のアカデミー賞作品賞を受賞した「ムーンライト」のバリー・ジェンキンス監督は、「ムーンライトを通じてすごく大勢の人に会ったけど、大好きなデミほど優しくて思いやり溢れる人はいない。ものすごい魂の持ち主だ。愛の中で生きて、今は安らかに休んでいる」と書いた。

ジム・ジャームッシュ監督は「刺激的な映画作家、音楽の探究者、鳥の研究家(!)、そして本当に素晴らしい思いやり深い人だった」と書いた。

作家スティーブン・キングさんは、「友人でご近所さんで同僚のジョナサン・デミが逝ったと知って、とても悲しい。本当にいい奴のひとりだった。君がいなくなって寂しいよ」と書いた。

(英語記事 Jonathan Demme, director of The Silence of the Lambs, dies at 73

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