麻薬カルテル取材の記者殺害に記者仲間が抗議 メキシコ

長年にわたり麻薬犯罪組織を取材し続けていたハビエル・バルデスさんの殺害に、メキシコの記者たちが抗議 Image copyright AFP
Image caption 長年にわたり麻薬犯罪組織を取材し続けていたハビエル・バルデスさんの殺害に、メキシコの記者たちが抗議

メキシコで長年にわたり麻薬犯罪組織を取材し続けていた調査報道記者ハビエル・バルデスさんが銃殺されたことを受け、メキシコシティーでは16日、報道関係者が抗議集会を開いた。

バルデス記者は地元シナロア州で15日、自ら立ち上げた新聞社の近くの路上で銃殺された。麻薬カルテルを報道し続け、たびたび賞を受賞してきたバルデスさんは、殺害を繰り返し予告されていた。メキシコでは近年、記者の殺害が相次いでいる。

メキシコシティーでは16日、主要道路沿いの独立記念碑の近くに報道関係者らが集まり、「連中は我々を次々と殺している」、「沈黙しては駄目だ」というバルデスさんの言葉を書きだした。

抗議集会に参加した記者たちはバルデスさんの写真を掲げ、仕事で出席できない報道関係者はバルデスさんの画像を編集室に大きく映し出して連帯を表した。

ジャーナリストの権利保護団体のフディト・カルデロン・ゴメス代表は、検察による起訴率は0.03%でしかないと述べ、政府に対して「この国のジャーナリズムを守る気があると、本気で示してもらいたい」と呼びかけた。

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Image caption 集会主催者たちは抗議のメッセージをドローンで撮影した

バルデス記者に一度会ったことがあるBBCムンド(スペイン語サービス)のフアン・ポーリェ記者は、バルデスさんについて「魅力的で勇敢な人で尊敬されていた」、「被害者の物語と夢を語ろうとしていた」と話し、その殺害は「ただでさえ痛めつけられているメキシコのジャーナリズムにとってとんでもない損失だ」と述べた。

ポーリェ記者はさらに、「罪を犯しても罰を受けないのが普通になってしまった国では、こういう事件はこれで終わらないというのが、唯一確かなことだ」と指摘した。

メキシコの報道機関「アニマル・ポリティコ」と「テルセラ・ビア」は、バルデスさん殺害と、記者への危険が続くことに抗議して、17日にストライキを決行する予定。

メキシコ政府は、記者殺害を含む表現の自由に対する犯罪を捜査する専任の検察官を任命したばかり。

バルデス記者はかつて、「政府はこんなことどうでもいいと思っている。皆さんを守るために何もしない。事件がたくさんあっても、なくならない」と話していた。

著作の出版報告会で昨年、バルデス氏はジャーナリストという立場は「ブラックリストに載っているようなもの」で、「いつ自分を殺すのか」ギャングが決めることになると述べた。

組織犯罪や麻薬密売、政府汚職などを報道していたミロスラバ・ブレチ記者が射殺された今年3月には、「沈黙しては駄目だ」、「われわれを全員殺してみろ」と発言していた。

ジャーナリスト保護委員会(CPJ)によると、メキシコでは今年すでに記者4人が殺害されており、1992年以来少なくとも37人が殺害されている。

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Image caption 撃たれたバルデスさんが路上に倒れている(15日、シナロア州クリアカン)

30年近くにわたる記者生活で、バルデスさんはメキシコの強力なシアロア麻薬カルテルを含む、組織犯罪や麻薬密売について書き続けた。

メキシコから米国に入る違法薬物の25%は、シナロア・カルテルによるものだとされている。

シナロア・カルテルの最高幹部だった「エル・チャポ(ちび)」ことホアキン・グスマン容疑者は2度の脱獄を経て、昨年1月にあらためて逮捕され、今年1月に米国へ身柄を移送された

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Image caption シナロア州の位置

メキシコのエンリケ・ペニャ・ニエト大統領は、バルデス記者の殺害を「とんでもない犯罪だ」と強く非難し、報道の自由を政府として今後も重視し続けると述べた。

シナロア州のホアン・ホセ・リオス司法長官は、事件を捜査し、バルデスさんの家族や同僚を保護すると述べた。

戦争が継続していない国で、記者が毎年最も多く殺されるのがメキシコだ。「国境なき記者団」によると、殺害数がメキシコより多い国はシリアとアフガニスタンのみという。

(英語記事 Mexican journalists protest over Javier Valdez killing

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