英政府、テロ警戒水準を最高に 攻撃「切迫」のおそれと

爆弾攻撃のあったマンチェスターでは追悼集会に数万人が集まった(23日) Image copyright European Press Agency
Image caption 爆弾攻撃のあったマンチェスターでは追悼集会に数万人が集まった(23日)

英マンチェスターのコンサート会場で爆弾攻撃によって22人が死亡した事件を受けて、英政府は23日、テロ警戒レベルを最高の「危機的」に引き上げた。テリーザ・メイ首相は、新しいテロ攻撃の危険が切迫しているおそれがあると説明した。捜査当局は、攻撃の実行犯はマンチェスター出身のリビア系男性だと発表した。

メイ首相は、爆破事件のサルマン・アベディ容疑者(22)に共犯がいたかどうか、捜査当局が確定できないため、警戒レベルを引き上げたと説明した。国内の主な公共施設やコンサート会場など、人が大勢集まる場所には、兵士を配備して警戒に当たる。

首相は、市民に「不要に警戒してもらいたくない」ながらも、現状に「相応の合理的な反応だ」と説明した。

調べによると、アベディ容疑者はリビア系の両親のもと、マンチェスターで生まれ、市内のサルフォード大学の学生だったという。

Image caption 死亡したなかには8歳のサフィー・ルーソスさん(左)とジョージーナ・キャランダーさんも含まれていた
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Image caption ジョン・アトキンソンさん(28)も死亡が確認された

テロ対策を統括するロンドン警視庁のマーク・ロウリー警視監は、捜査は「素早く着実に進展している」と話した。

「ただし、死亡したテロリストが単独犯だったのか、グループの一員だったのかの重大な点については、捜査中だ。まだ重要な情報について調べている最中で、そのため未確認要素が残る不確定な状態となった」

英国のテロ警戒レベルは、警察や情報機関を含む政府の関係各省庁の専門家からなる「合同テロ分析センター」が決定する。最高水準の「危機的」になったのは、これまでに2度しかない。初めて最高レベルに引き上げられたのは2006年で、当時は液体爆弾で欧米間を飛行する航空機を爆破しようという計画を阻止するため大々的な作戦が展開していた。その翌年には、ロンドンのナイトクラブを爆弾攻撃しようとした男を捜索するなかで、最高レベルに引き上げられた。この男はプロパンガスのボンベを積んだ車両でスコットランド・グラスゴー空港の建物に突入し、後にやけどのため死亡した。

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BBCの内務省担当、ドミニク・カシアーニ記者は、英国の治安当局が次の攻撃について「切迫している」と言明するのは極めて異例だと指摘する。これまでも政府当局は、英国が直面する危機は深刻だと市民に対して強調してきたが、大規模な攻撃計画を追跡している最中でも、攻撃が切迫しているという表現は避けてきた。

「しかし今回は、切迫しているかもしれないと言うしかないと感じているようだ」と記者は話す。

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Image caption 英国各地で追悼集会が開かれた。ロンドン・トラファルガー広場では大勢が手でハートのシンボルを作った(23日)
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Image caption 英北部サンダーランドの記念碑が事件の被害者追悼のため英国旗の三色でライトアップされた

マンチェスター・アリーナでは22日夜、米人気歌手アリアナ・グランデさんのコンサートが終わった直後に、会場の入り口ロビーで容疑者が自爆した。英国内で起きた攻撃としては、52人が死亡した2005年7月7日のロンドン爆弾攻撃以来の死傷者数となった。

過激派勢力のいわゆる「イスラム国」(IS)が会話アプリ上のIS系チャンネルを通じて、犯行声明を出したが、容疑者との関係は確認されていない。

死亡した22人のうち、サフィー・ローズ・ルーソスさん(8)、ジョージーナ・キャランダーさん(18との情報)、ジョン・アトキンソンさん(28)の名前が公表されている。

負傷した59人はマンチェスター市内8カ所の医療施設で手当てを受けている。負傷者のうち、16歳未満の子供は12人。

コンサートに行ったものの事件後に連絡がとれなくなっている10代の若者が、まだ複数いるという。

Image caption マンチェスター中心部のアルバート広場に集まった人たちは、思い思いに花束やメッセージやろうそくを手向けた。「ISISなど怖くない。私たちはマンチェスターっ子だ」と書いてある
Image caption マンチェスターのシーク教徒たちは「よくないことがあった時に町を助けるため」と、無料で飲み物を配った
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Image caption マンチェスターの追悼集会で詩人トニー・ウォルシュ氏が「ここはそういう場所だ」とマンチェスターを称える詩を朗読し、大きな歓声を浴びた

マンチェスター市内では中心部のアルバート広場で開かれた追悼集会に、数万人が集まった。アンディー・バーナム市長と、グレーター・マンチェスター警察のイアン・ホプキンス本部長のほか、アンバー・ラッド内相、野党・労働党のジェレミー・コービン党首、ジョン・バーコウ下院議長などが出席した。

集会では詩人トニー・ウォルシュ氏が「ここはそういう場所だ」とマンチェスターの功績と住民の結束力を称える詩を朗読し、大きな歓声を浴びた。

ほかにも英国内各地で追悼集会が開かれた。中部バーミンガムでは、大きな刃物と野球バットで武装した様子の男性が近くで拘束されたため、集会は中止された。

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【マンチェスター攻撃】 メイ首相「おぞましく卑劣」と非難

(英語記事 Manchester attack: UK terror threat level raised to critical

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